尾仁岸 梅

アラサー独身会社員。文章の練習です。

尾仁岸 梅

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記事一覧

2024.1.29

久しぶりにも程がある。 これを開いたということは、書きたいことがあるということか。 一言でいうと、疲れた。 もやもやした不安が胸を覆う。 お母さんの退院日が決まっ…

尾仁岸 梅
7か月前

茜さすアパートの窓辺

彼に拾われてから2週間が経つ。 築40年はゆうに超えている古ぼけたアパートの一室、私はこの簡素な黒いパイプが軋むシングルベッドで一日の大半を過ごしている。日焼けし…

尾仁岸 梅
1年前
1

2022.10.12 誕生日

誕生日だった。母の。 仕事を終え、急いで百貨店へ。 閉店間際にケーキとプレゼントを購入し、実家に帰ってお祝い。 しかし、あまり元気がない。父の命日が近づいているか…

尾仁岸 梅
1年前

2022、夏の幻

今年の夏は遊び倒した。ようやく戻ってきた、私の夏! 京都近代美術館で開催されていた、鏑木清方展。清涼感のある美人画が並んでいた。一本の後れ毛が色気を引き出してい…

尾仁岸 梅
2年前
4

そいでも生きてる

手が荒れているせいで、少しの刺激で指の肉がうっすら削げた。 地味〜にじくじくするやつ。 周りの肌の色と明らかに違うオレンジがかった色で、てらてら光っている。 皮膚…

尾仁岸 梅
2年前
1

風の在る山

約千メートルの山に登った。天気は曇り。真っ直ぐ天に向かって伸びる杉の森林を越え、低い植物に囲まれた尾根をぬけ、雪の残る湿地でカエルの卵を観察して、約2時間半で頂…

尾仁岸 梅
2年前
5

おひるやすみ

お昼休みの過ごし方、みんなどうしているの。 私の職場は自席で昼食をとることを禁じている。一応食事用の部屋は用意されているものの、コロナ禍にあって密を避けるため席…

尾仁岸 梅
2年前
5

寺に行きたい

最近はついていないこと続きだ。仕事でもプライベートでも、失敗の連続。心って実はお腹にあるんじゃないだろうか。お腹の奥底がキリキリねじられて悲鳴を上げている。 「…

尾仁岸 梅
2年前

2022.3.5ガタガタの体、ブラシがけ

高校の部活の友人たちと久しぶりに集まり、テニスをした。人数が少ないこともあり、休む暇がない。しかし体はついていかず、足はもつれる、滑る、ラケットは空を切るばかり…

尾仁岸 梅
2年前
2

京都の屋上

京都のおすすめスポットのひとつが、デパート(?)の藤井大丸。 ハイセンスなお店を男女ともに楽しめるし、地元の人たちは買い物するならここに来ることも多いのではないだろ…

尾仁岸 梅
2年前
2

2022.1.1 1年の計は元旦にあり

年末年始、実家に帰ってからはほとんどこたつにへばりついている。久々に顔を合わせた妹と、テレビがつまらない、最近の曲がわからないなどと文句を垂れながら無駄に明るい…

尾仁岸 梅
2年前
6

ユニクロで服を買う罪悪感

ユニクロで仕事用のニットを買った。 限定価格や値下げされたものを狙って選ぶのだが、こんなに安くてもいいのだろうかと心配になるくらいに安い。 私の仕事着は8割がユニ…

尾仁岸 梅
2年前
4

よい乗り物はよいところへ連れて行ってくれる

今年から京都に住み始めた。 市街地からは外れているものの、駅もバス停も一応徒歩圏内にあるし、割と良い立地だ。 しかし、京都は地下鉄や私鉄の種類が少なく、乗り換えに…

尾仁岸 梅
2年前

京都の街に出てきました

くるりが沁みるよな。 新しい街で暮らし始めた。 夜遅くにスーパーで買い物をしたが、なんだか旅行先でビジネスホテルに戻って食べる夜食を選んでいるような感覚だ。 まだ…

尾仁岸 梅
3年前
1

夢に見るほど甘えたい

今日の夢は断片的だがしっかり覚えている。 昔ながらのゲームセンターで巨大なガチャガチャを回して、小さくてしょぼいラクダのフィギュアを手に入れたところで、いかぐり…

尾仁岸 梅
3年前
1

インコの入れ物にすべてぶち込みたい

休日出勤。 電車で行くか、高速代がかかるが時間短縮できる車で行くか悩んだ結果、車にした。 というか車で行くしかない時間までのんびりしてしまった。私の心の弱さ。 出…

尾仁岸 梅
3年前
1

2024.1.29

久しぶりにも程がある。
これを開いたということは、書きたいことがあるということか。

一言でいうと、疲れた。
もやもやした不安が胸を覆う。
お母さんの退院日が決まったのは喜ばしいことだが、今の状況を見るに、退院してすぐに一人で生活することは難しそうだ。
私がしばらく一緒に住むのは全然問題ないが、仕事を定時に切り上げて帰ることはできるだろうか、そうなると職場に迷惑をかけることになるから、3月からは有

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茜さすアパートの窓辺

茜さすアパートの窓辺

彼に拾われてから2週間が経つ。

築40年はゆうに超えている古ぼけたアパートの一室、私はこの簡素な黒いパイプが軋むシングルベッドで一日の大半を過ごしている。日焼けした壁紙とは対照的な白い清潔なシーツの上にあぐらをかき、やわらかな薄黄色のブランケットを手繰り寄せてため息をついた。

あれは雨の降る肌寒い夜だった。
どれくらいの時間が経ったかも考えられないくらいに歩いて歩いて、もう歩くのにもいい加減飽

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2022.10.12 誕生日

誕生日だった。母の。
仕事を終え、急いで百貨店へ。
閉店間際にケーキとプレゼントを購入し、実家に帰ってお祝い。
しかし、あまり元気がない。父の命日が近づいているからだ。
この季節になると息がしづらくなるらしい。ぽつりとこぼした「ここ10年全然いいことないなぁ」という言葉が胸に刺さった。
私は彼女を支えられていただろうか。父が亡くなる前は子どもだったから、自分のことばかり考えて行動していた。そのこと

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2022、夏の幻

2022、夏の幻

今年の夏は遊び倒した。ようやく戻ってきた、私の夏!

京都近代美術館で開催されていた、鏑木清方展。清涼感のある美人画が並んでいた。一本の後れ毛が色気を引き出している。美人たちの着物のおしゃれなこと。細かーく模様が描かれていた。こういうのって現代の漫画家のようにアシスタントとかいるのかしら。
日本画は余白があるところが好きだ。私の好きな言葉、「余白の美」。

初めて訪れた桂離宮。この敷地内を舟で移動

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そいでも生きてる

そいでも生きてる

手が荒れているせいで、少しの刺激で指の肉がうっすら削げた。
地味〜にじくじくするやつ。
周りの肌の色と明らかに違うオレンジがかった色で、てらてら光っている。
皮膚の内側ってこうなっているんだなぁ、となんだか自分もちゃんと生物なんだと感心する。

人間の大まかな構造、臓器があって血が流れていて、脳から指令が出て身体は動いている、などということはもちろん知識として理解しているが、小さな頃は、自分だけは

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風の在る山

風の在る山

約千メートルの山に登った。天気は曇り。真っ直ぐ天に向かって伸びる杉の森林を越え、低い植物に囲まれた尾根をぬけ、雪の残る湿地でカエルの卵を観察して、約2時間半で頂上にたどり着いた。
登山のお楽しみは食べることにあると言っても過言ではない。山で調理するごはんはなんでもおいしい。お湯を沸かしてカップ麺の容器に注ぐと、ジャンキーな香りが辺りに充満した。なんとなく、いつも日清カップヌードルを選ぶ。山に一番似

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おひるやすみ

おひるやすみ

お昼休みの過ごし方、みんなどうしているの。
私の職場は自席で昼食をとることを禁じている。一応食事用の部屋は用意されているものの、コロナ禍にあって密を避けるため席が間引かれており、社員同士のゆるやかな席の奪い合いが生じている。「今はあのグループがいるから…」などと考えるのが面倒なので、最近は一人で外をあてどなくぶらついている。
いい天気だから気持ちがいい。今日は桜舞い散る公園のブランコを漕ぎながら、

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寺に行きたい

寺に行きたい

最近はついていないこと続きだ。仕事でもプライベートでも、失敗の連続。心って実はお腹にあるんじゃないだろうか。お腹の奥底がキリキリねじられて悲鳴を上げている。
「辛いとき辛いと言えたらいいのになぁ」と、かのAqua Timezも歌っていたけれど、実際は不甲斐なさすぎて口に出すことこそ辛い。

父の眠る墓のある寺に行きたい。あそこは静かでいい。大通りに近いのに。風が吹くと卒塔婆がカタカタとさざめき出し

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2022.3.5ガタガタの体、ブラシがけ

2022.3.5ガタガタの体、ブラシがけ

高校の部活の友人たちと久しぶりに集まり、テニスをした。人数が少ないこともあり、休む暇がない。しかし体はついていかず、足はもつれる、滑る、ラケットは空を切るばかり。風が強いことも影響し(言い訳)、思っているよりも形にならずにこっそり落ち込んだ。ちなみに他のメンバーはめちゃくちゃ元気に試合をこなしていた。まぁ、彼女たちは部活のときから化け物級のスタミナだったので、そこに驚きはない。

ひとしきり楽しん

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京都の屋上

京都の屋上

京都のおすすめスポットのひとつが、デパート(?)の藤井大丸。
ハイセンスなお店を男女ともに楽しめるし、地元の人たちは買い物するならここに来ることも多いのではないだろうか。

お立ち寄りの際は、ぜひ屋上を訪れてみてほしい。
今日日屋上に上がれる施設はそう多くないが、ここは喫煙場として解放されており、簡易ベンチやテーブル、自動販売機が備えられている。昔は遊園地だったのかもしれない。
アクリル板越しでは

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2022.1.1 1年の計は元旦にあり

2022.1.1 1年の計は元旦にあり

年末年始、実家に帰ってからはほとんどこたつにへばりついている。久々に顔を合わせた妹と、テレビがつまらない、最近の曲がわからないなどと文句を垂れながら無駄に明るい画面を眺めているうちに年を越していた。

2021年を振り返ろうと思っていたのに、もう新しい年だ。去年は特に何もない1年だったように思う。仕事では新しい部署に異動して、慣れない業務に苦戦した。人に迷惑をかけ続け、苦手な先輩はさらに刺々しい空

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ユニクロで服を買う罪悪感

ユニクロで服を買う罪悪感

ユニクロで仕事用のニットを買った。
限定価格や値下げされたものを狙って選ぶのだが、こんなに安くてもいいのだろうかと心配になるくらいに安い。
私の仕事着は8割がユニクロで構成されており、今日も仕事帰りユニクロの服を着てユニクロのレジに並んだのだ。
職場でユニクロの服がかぶる、いわゆるユニ被りは案外ないもので、逆にみんなどこで服を買っているのかと不思議に思う。

いつもユニクロで服を買うと、「安く買え

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よい乗り物はよいところへ連れて行ってくれる

よい乗り物はよいところへ連れて行ってくれる

今年から京都に住み始めた。
市街地からは外れているものの、駅もバス停も一応徒歩圏内にあるし、割と良い立地だ。
しかし、京都は地下鉄や私鉄の種類が少なく、乗り換えには少し不便を感じるし、バスは時刻通りに動くことはほぼないと言っていいだろう。
自転車があればもっと色々な場所を巡ることができ、楽しい京都ライフを送ることができるはず!と、本気すぎないけれども少し早くてカッコいい自転車を探し求めて早数ヶ月…

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京都の街に出てきました

くるりが沁みるよな。

新しい街で暮らし始めた。
夜遅くにスーパーで買い物をしたが、なんだか旅行先でビジネスホテルに戻って食べる夜食を選んでいるような感覚だ。
まだこの街の一員になりきれていないのだ。
家に帰ったって落ち着かない。だってほとんど何も揃っていない。
今何が1番欲しいかって、ぬいぐるみだな。寂しい気持ちを紛らわすためにふわふわを抱っこして寝たい。ぬいぐるみは必要なもの。勉強になった。

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夢に見るほど甘えたい

夢に見るほど甘えたい

今日の夢は断片的だがしっかり覚えている。
昔ながらのゲームセンターで巨大なガチャガチャを回して、小さくてしょぼいラクダのフィギュアを手に入れたところで、いかぐり頭のぽっちゃりしたお兄さんに頭を撫でられた。その人はYouTuberのとっくんだった。なんでや。
しかし、歳を重ねた今、頭を撫でられるなんてほとんどないことだ。分厚い手の温かさがすごく嬉しかった。私は人の温もりに飢えているのかもしれない。

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インコの入れ物にすべてぶち込みたい

インコの入れ物にすべてぶち込みたい

休日出勤。
電車で行くか、高速代がかかるが時間短縮できる車で行くか悩んだ結果、車にした。
というか車で行くしかない時間までのんびりしてしまった。私の心の弱さ。

出勤してすぐ、私が今日やろうと積み残していた仕事を先輩が片付けてくれていたことに気づき、なんとも言えない気持ちになる。
迷惑をかけてごめんなさいという罪悪感、自分の無能さに対する呆れ、明日朝一番に謝らなければならない気の重さ。
最近頻発す

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