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赤騎士団

とある王国、城下町の隅に追いやられたような位置、人間と異形の者が暮らす居住区。私はここで育った。成人した私は、自警団に志願した。私を育ててくれたこの場所を守り、恩返しをしたいからだ。

採用会場の枯れ噴水広場には、人間、亜人、その他が揃っていた。設置されたテントから茶色の襤褸を着た存在がモソモソと出てきた。面接官のよう
だ。

「オイ、さっさと始めろや」

髪が逆立った男が面接官に声をかけた。

「じゃ、そのへんの人からやります。奇抜な髪型の人。お名前は」

「ディーン。クソ強い。カネが欲しい」

「保留します。では次の人」

私は素早い面接に感心したが、ディーンは納得いかないようだ。

「オイ何だそりゃ」

彼は抗議したが、面接官が人差し指を向けた途端、直立姿勢で動かなくなった。

「次、赤い鉢巻きしたお姉さん、お名前は」

黒髪に赤い鉢巻きを締めたラフな女性。

「ケイです。荒事しますよ」

「以前なにかされていましたか」

「白騎士やってました」

周囲がざわつく。白騎士は城勤めの立派な騎士だ。

「採用です」

「オイ贔屓じゃねえのか」

ディーンが直立姿勢抗議。面接官がケイに「殺しちゃだめですよ」と注
意した時には、ケイの剣はディーンの胸に刺さっていた。周囲から

「えっ」

「これ死んでるよな……」の声。

だがディーンは気絶。死んでいない。私はケイが剣を刺した瞬間、何か術
をかけたように見えた。

「次、そこの黒い方、お名前は」

「リッチモンド」

漆黒の男。面接官が「何ができますか」と言う頃には、リッチモンドはなんの躊躇も無くディーンを火炎の術で焼却した。周囲から

「えっ」

「これ死……」

リッチモンドは「死んじゃいない」と呟くと、灰の中から顔色の悪いディーンがムクリと現れた。

「えっ」

「これ死……?」

「採用です。では次、そこの赤いお肌の娘さん」

順番が来た。

「はい」

「お名前は」

「J.K.ワルダーです」

「何ができますか」

「皆を守れます」

私の、大魔王の血を引く力で。

【続く】

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