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【ファンタジー】ケンとメリーの不思議な絆#09

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第二章 見知らぬ旅行者


メリーのワイン

 メリーはワイングラスを二つ持って奥の方の樽から直接白ワインを注いで有り合わせのチーズと共にケンのところに持って来た。

「どうぞ。これもご縁。我が家のワインを召し上がれ」

「うわー、ありがとう。本場のワインだね」

 二人は、グラスを軽く傾けカチンと音を立ててワインを口に運んだ。

「お味はどお。ちょっと薄く感じない」

「言われてみれば、サラッと飲めるような感じがする」

「どうしてもアルコール度数が上がらないのよね。これで5%も無い位なの。たぶん葡萄の糖度が足らないの。本当は10-12%位にしたいのよね~。大抵美味しいワインはそのくらいのアルコール度数なのよ。でも今の状況ではこれ以上無理なの。一人で畑を手入れする限界なの」

「あぁ、だからこんなに飲みやすいんだ。それじゃあ、アルコールが弱いことを売りにすればいいかも知れないね」

「えっ、どういうこと。アルコールが低いことを売りにできるの」

「うーん、ネット上で、超低いアルコール度数の飲みやすいフランス産ワインみたいなキャッチで販売してみると面白い気がする。だって、そんなワインは市場であんまりみたことないし、それに、仕事をしている女性の家飲みとか、ホテルでのディナーにマッチしそうな気がするな。高い価格では売れないけど結構市場はあるような気がするよ。気がついていないだけで」

「ふーん、そんなものなのかなぁ。フランス人には全く受け入れられないけど、このワイン。場所が変わると好みも変わるのかしら」

「そうだと思うよ。試してみる価値は大いにありだと思う」

「うーん、でも試すにしてもルートに心当たりがないからダメよ」

 ケンは、いろんなところを回っていろんなアルコールも飲んできたけど、最近はあまり強く無いお酒が好まれる傾向にあることを感じていた。なので直感的にこんな話をしたのだった。この後しばらく日本でのワインの市場話で盛り上がったが、メリーはふと気づいたかのように聞いて来た。

「この辺りはホテルもないわよ。今夜は、どうするつもりだったの。何処か泊まる予定の場所はあったの?」

つづく


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松浦 照葉 (てりは)
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