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コロナ禍での変化と孤独に向かい合うあなたへ 〜今触れるべき作品5選〜

2020年もあっという間に半分が終わりました。本来この2020年は新たな10年の幕開けとして、東京オリンピックが開催される年として記憶されるはずでした。ところが実際には、COVID-19、通称コロナウィルスの世界規模での流行と、アメリカで白人警察官がジョージ・フロイド氏を殺害したことに端を発したBlack Lives Matter再燃により世界史上でも稀に見る混沌の最中にあります。

私事になりますが、チェコ共和国で赴任している中で経験したこの変化は当然ながら人生観が変わるインパクトを持つものでした。3月上旬、イタリアでのクラスターが誘発したチェコでのいち早いロックダウンの実行で生活は激変。欧州での感染拡大を受けて日本への緊急一時帰国で実感した日本政府の水際対策の甘さ。都内での自主隔離生活中に味わった疎外感。複雑な心中での家族との再会。時差がある中での自宅勤務…1日1日が新しいことの連続で、日々更新される感染者のデータと共に頭の中がパンクしそうになる日々でした。

今この記事を書いている7月現在、チェコでは祝日を含む3連休がありました。6月からロックダウン政策は段階的に緩和され、局地的なクラスターはあれど比較的感染者が爆発することもなかったため、旅行に出かける人も少なくなかったようです。正直僕もどこか遠くに出かけたいという気持ちがありましたが、今回は見送ることにしました。慎重すぎると同僚たちにも思われているだろうなと感じながら。それでも、今もウィルスが猛威を振るっており、対抗できるワクチンが存在しないことも事実。そんな中でどう行動するかを考え抜いた中での結論でした。

すでに世界は変わり、メディアでもウィズコロナ/アフターコロナなんていうそれらしき言葉が氾濫しています。そんな時代に1人部屋で過ごすとき、寄り添ってくれる作品たちを5つ選びました。実際にたくさんの作品に触れる中で、『変化』や『孤独』をキーワードに僕なりの琴線に触れた作品たちをセレクトしています。

1. 『コロナの時代の僕ら』 パオロ・ジョルダーノ

イタリアのベストセラー作家がコロナ禍で記したエッセイ集です。27のエッセイと日本版にのみイタリアの新聞に別途寄稿した文章があとがきとして追加されています。このあとがきが訳者の表現を借りると「宝石のような文章」です。単にコロナを一過性の現象として捉えるのではなく、その真因である人間の行動を見つめ、復興後に元に戻って欲しくないことは何かを今からリストアップすることを私たち一人一人に対して勧めています。これからの10年を見据える上で必読の書です。

2. 『All The Bright Places』 directed by Brett Haley

10代のメンタルヘルスを扱ったベストセラー小説の映画化。姉を交通事故で亡くし心を閉ざしたバイオレットを励ますセオドア。次第に立ち直っていくバイオレットだが、実はセオドアも心に闇を抱えていて…というお話。

「あなたが必要としている人は、もっとあなたを必要としているかもしれない。」という予告編のメッセージが象徴的。10代の頃に悩んだ人ほど感情移入して観てしまうと思います。

バイオレットの調子が上向いた束の間、すれ違うように下降していくセオドア。2人の心の通い合い・すれ違いがとても、とても切ないです。

3. Walking Like We Do - The Big Moon

『いつも通りに歩いていく』-ジュリエット・ジャクソンが個人として経験した悲恋と、ここ数年で起きた世界/英国での出来事(トランプ大統領、ボリス・ジョンソン、ブレグジット…)。リリックに目を通すといかに彼女が困難な時期を過ごしてきたのか、そして彼女の内面の暗闇を大切な人の「光」ー これはAll The Bright Placesにも通じるテーマ ー が救ってくれたという事実が痛切に伝わってきます。彼女の内面を追体験した後、アルバムのタイトルの意味を今一度噛み締めると、あなた自身にも不思議と明日への一歩を踏み出す勇気が湧いてくる。今こそ聴き込みたい作品です。

4. Pony - Rex Orange County

Tyler, The Creatorのフックアップも効いたのか、本国英国のみならず米国での成功も手にしたRex Orange County。本作はそんな彼が成功してから体感した苦悩、周囲の変化に戸惑いながらも僕は変わらないという決心が綴られています。事実、ブレイク前から交際している恋人への想いを綴ったリリックには彼の誠実さや良くも悪くもナイーヴな一面が垣間見られ、ますます好きにならずにはいられません。聴きどころはラストを飾るIt's Not The Same Anymoreで、売れても変わらないと宣言しつつ、「もはや変わってしまった」という諦め、将来への不安に苛まれながらも、さらにもう一歩進んで自立し前進していくことを誓っています。「もう今までの僕とは違うんだ」と、同じフレーズで陰と陽を表現する素晴らしい歌詞です。

5. 『人生を豊かにしてくれる「お金」と「仕事」の育て方』 
 松浦弥太郎

時間とお金に関する投資の考え方がとても参考になりました。リターンを意識してお金・時間と仲良くなること。自分の資産が何かを把握し人生のポートフォリオを作り、1年に1回見直してリバランスすること。これに限らず今日から実践できる生きる知恵が載っています。人生の羅針盤として本棚に大切にしまっておきたい一冊。不透明な将来に悩むあなたに今おすすめしたいです。


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