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宇宙を知るということ。

本書は宇宙飛行士の野口さんと歌手の矢野さんとの対談形式。宇宙にまつわるあらゆることについて話が進んでいく。

もともと星や地球や宇宙が好きな私。
しかし当たり前だが宇宙に行ったことはないし
地球を見下ろしたこともない。
実際に2度宇宙空間で船外活動をした野口さんの詳細な体験談が語られていることにより、
脳内で無重力体験、地球を見下ろす感覚、
音のない世界を目一杯想像することが出来た。

野口さんは宇宙からみた地球の絶対的な存在感に圧倒されたという。一切の生を許さない宇宙空間の中で、まばゆい光を放った水の惑星。まさにそれは生命の輝きそのものだと。

太陽・地球・月が奇跡のような条件で存在していることで、私たちは生かされている。それを知ることは”生きていることの歓び”を確認し培うことだと思うのです。

矢野さんが語られた通り、私たちは薄い大気のヴェールに包まれあらゆる星や惑星、そして恒星(太陽)に助けられて生きている。それは密接につながっていて、ひとつでも欠けるとおそらく生きていけないだろう。
そんな奇跡のなかで日々生きていると思うと、ちっぽけな取るに足らないことでウジウジ悩んでいることが良い意味でどうでもよくなった。

宇宙を深く知ることで宇宙的な視点=超俯瞰的な視点で物事を捉えることができるのではないか。

宇宙から見た地球、生命の営み。そしてそこで生活している人間。
私たちは日々いろいろな感情と向き合い生きている。そして苦しい時、辛い時、どうしようもなく逃げたくなる時。そんなときは箱の中に入っているような感覚で八方塞がりになる。
地球が自転し、地球の水が刻一刻と姿を変えて流れているように、私たちの中にある水分も流れ、細胞が分裂し目には見えずとも刻一刻と変化している。八方塞がりではない、生きている限り地球と一緒でずっと流れ続け変化しているのだ。
そんなふうに水のように思考を巡らせることで新たな希望や少しの勇気をもって、次の行動も変えることができるのではないかと思う。

矢野さんや野口さんが「大人が宇宙が好きです!ということ自体恥ずかしい風潮があるのでは?」というような内容を本書で書かれていた。私も実際に宇宙が好き!と身近な人に語ることはあまりできない。
まえに「木星が好き!」と友人に言ったらものすごく笑われたこともある。宇宙について知れば知るほどいろいろな疑問が出てくるし、人間の神秘も感じるし、生かされていることの奇跡や感謝の念が湧いてくる。

野口さんのあとがきで「宇宙は誰にでも開かれていて、思っているよりも近くにある」にはとても勇気をもらえた。
もっと宇宙が私たちの身近な存在になることで、一人一人が日々宇宙や地球に守られて生きていることに感謝できると思う。息が出来ていること、美味しいごはんが食べられていること、そんな当たり前のことに感謝ができれば、幸せの感度もあがり自分が満たされる。そうすることでもう少し周りの人にも優しくなりトゲトゲした世界から地球のようにまあるい世界になるのではないかな、と思う。

本書のタイトル「宇宙に行くことは地球を知ること」
民間ロケットが開発されたり、宇宙が近くなった時代とはいえ、宇宙に行くことはまだまだ限られた人。でも宇宙を知ることは誰にでもできる。

「宇宙を知ることは地球を知ることそして自分を知ること」
というサブタイトルを勝手ながらつけてこの感想文を締めくくろう。

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