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導入決定の種牡馬ノーブルミッションが日本で成功できる条件


JBBA日本軽種馬協会が10月9日(金)、種牡馬ノーブルミッション(Noble Mission、2009年生、11歳、米国産)を導入することを発表した。

本馬は、14戦無敗のフランケル(Frankel)の全弟で現在は米国レーンズエンドファーム(Lane's End)で繋養されている。

現役時代に愛G1-タタソールズゴールドカップ、仏G1-サンクルー大賞、英G1-英チャンピオンステークスを勝利しており、欧州の芝中距離戦で強さを示した馬である。

先日、種牡馬ナダルの導入を発表した社台スタリオンステーションは近年米国系血統種牡馬の導入が多く、

本国の血統改良に視点を置いている軽種馬協会らしい血統馬の導入である。

同じくガリレオを父にもち、2015年から我国で種牡馬生活を送っているケープブランコは、これまでに産駒は毎日杯(GIII)を制したランスオブプラーナが目立っている程度であり、

供用初年度には132頭の繁殖牝馬が集まったが、翌年には1/3の47頭におさまり、昨年の2019年には過去最低の17頭にまで数は落ち着いた。

現代の日本の競馬において、欧州血統の種牡馬の直子の活躍は目立っているとは言い難いが、

米国と欧州の血統のバランスは、今後のサラブレッドの進化には必ず必要であり、

軽種馬協会は再度ガリレオの血にかけた印象である。

そして、単なるガリレオの血に期待しているだけでなく、そこには意図が感じられる。

まずは、先述したが本馬がフランケルの全弟という血統背景だということ。

すでに、ソウルスターリング、モズアスコットという2頭のGI勝ち馬を筆頭に、ファンタジーS(GIII)勝ち馬のミスエルテも輩出し、日本競馬への適性が証明されている。

同血への期待である。

そして、ノーブルミッション自身はすでに米国でトラヴァーズSなどG1・2勝のコードオブオナー(Code of Honor)を輩出し、

欧州とは異なるスピード競馬にも対応できる産駒を輩出している点だ。

ただし、兄のフランケルとは血統は全く同じだが現役時代から競走馬としてのタイプは全く異なっていた。

フランケルはスピードの絶対能力が高く、トップクラスのレベルであるマイル戦においても鞍上の指示にすぐに反応し、一瞬にして前を捉えに行ける瞬発力を兼ね備えていた。

素軽さもあり、フットワークからして一緒に走っていた馬達と明らかに違っていた。

その点が、レベルの高いレースになればなるほど瞬発力が必要とされる日本の競馬において対応できる資質と私はとらえている。

対して、ノーブルミッションは一瞬にしてギアを上げるスピード能力は兄に比べてだいぶ劣り、走りも決して素軽いとは言えない。

それがゆっくりとスタートして流れに乗りながら押し切れる中距離で成功した一つの要因である。

米国のスタートしてからのスピードの持続力が要求される競馬とも本国の競馬の質は少し異なるので、

単純に米国での成功が日本での信頼にはつながらない。

エンパイアメーカーもそうでった。

自身の特徴を誇張して産駒に伝えるようなら、ガリレオ産駒らしいケープブランコのようなタイプの種牡馬になる可能性は高く、

逆に兄のフランケルのような資質を隔世的に伝えることができるようなら、成功できる可能性は十分にある。

生産者がどういう繁殖牝馬に配合するか今から注目している。



※作者 一口馬主マスターB
Twitter  → https://twitter.com/onemouthmaster2


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