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住む場所を決めることは、そこで生きる覚悟を決めること

最近は、家を持たずに各地を転々としながら働く「アドレスホッパー」と呼ばれる人たちが増えてきているらしい。株式会社アドレスが立ち上げた全国にある登録された物件に定額で住めるサービスは、これから来る仕組みだと注目されている。

会社に通う必要もなく、働きながら日本全国を飛び回れるサービス。ほとんどいないアパートにお金を払う必要もなく、好きなときに好きな場所に移動できる。自由で憧れる働き方だ。

私自身も最初は「所詮、ライターやカメラマン、エンジニアなど一部の職だけでしょ」と思っていたが、最近は営業などもこうした働き方をしているらしく、技術の発達とともにこうした働き方ができる職種はどんどん増えていくと思う。

実際に私も海外を放浪しながらWEBライターの仕事をちょこっとだけやってみて、できなくはないなと感じた。あとはその人の時間管理と体調管理さえしっかりやれば、なんら日本にいるときと変わらなかった。

そう感じる一方、私は環境が変わり続けるストレスに耐えることができなかった。毎日ホテルを調べ、他人がいるドミトリーで眠りにつく。それに加え、孤独と常に戦う時間。どこまで行っても私はただの旅人だし、オフラインで誰かに必要とされることなどなかった。たとえ同室で親しくなった外国人と一緒に観光したとしても、その日限りの仲。寂しいといった感情は常に消えることがなかった。

「私にこの働き方は無理だな」と早々と諦め、地元に帰ってきた。周りでは好きな地域に移住したり、お店を構えたりと地域と生活がセットになって暮らしている人がいる。そういう人を見ていると「自分にとって好きな地域は何だろう。移住したいほど心惹かれる場所はあるのかな」と思う。自分が住む市に目を向けてみて動いてみたりもしたけど、「ここに住みたい」と惹かれる理由はなかった。

そんなときに阿部さんが書いたSUUMO記事を読んだ。そこには阿部さんの昔の仲間が函館に店を構え、生活を営んでいる姿が書かれていた。お店を構えるにはたくさんのお金が必要だ。地域の人との交流も密に行わなければならない。相当な覚悟が必要だと思う。

「都合ではなく、意思で住む。」

「仕事があるから。通勤に便利だから。」ではなく、「この地域が住みたいから住む」を選択する人たちが出てくるんだろう。インターネットさえあれば、どこでも生活できる時代だからこそ、そこで住むと決めることがかっこよくて、眩しく見える。そんな風に好きな地域を見つけることができるのは羨ましいなと心底思う。

そんな住みたい場所を求めるからこそ、アドレスホッパーの人たちは全国・海外を転々と回っているのかもしれない。

実際私もアドレスホッパーではないけど、海外をまわってみて「私にこの働き方は無理だ」と知った。そしていま、新潟に拠点を構えながらも様々な地域に顔を出している。それは次のフェーズ、「好きな地域を見つける」ために無意識に動いていたのかもしれない。

でも結局は、結婚して子供が産まれるという制約ができて初めて住む場所が決まるような気もしている。だから、この問題は頭の片隅に入れながらも焦りすぎることなく、これからもゆっくりと探していきたいなと思う。

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