新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

日本版 「Cloud Index」 を公開します

こんにちは、SaaSペンギン(@saas_penguin)です。

昨日、元 Salesforce Ventures Japan Head の浅田が、弊社「One Capital」を立ち上げたことをリリースさせていただきました!!弊社では、アーリーステージのSaaSスタートアップへ投資するだけでなく、出資いただいた企業様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのサービスも同時に提供させていただく予定です。1号ファンドは、みずほ銀行やFFGベンチャービジネスパートナーズをはじめとする金融機関、事業会社、海外投資家などから出資いただき、50億円となりました。

今後、このnoteでは、海外や日本のSaaS情報を、よりわかりやすく、よりオープンにしていくことで、日本のSaaS市場を盛り上げていきたいと思いますので、応援していただけますと幸いです。

記念すべき初めての記事は「Cloud Index」についてです。

はじめに

COVID-19の感染拡大により、さまざまな企業が窮地に立たされています。一方で、Web会議システムや電子契約サービスを利用する光景が当たり前となりつつあり、「SaaS」に対する注目度は高まっています。

画像6

(「クラウドサイン」 の12ヶ月検索動向 ©︎Google)

SaaSにあまり馴染みのなかった方も、ニュースや新聞でSaaSのことを目にする、耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。そして、調べても日本のSaaS企業に関する情報が、あまりオープンになっていないと感じた方も多いのではないでしょうか。

今回は、SaaS大国であるアメリカにならって、日本のSaaS上場企業から独自にインデックス(指数)を作成し、公開することにしました。日本のSaaS市場を盛り上げていくべく、海外にもアピールしていきたいと思います。

アメリカには Cloud Index が存在する

アメリカでは、Bessemer Venture Capital(以下、BVP)というベンチャーキャピタルが「The BVP Nasdaq Emerging Cloud Index」という指数を公開しています。これは、ナスダックに上場するSaaS企業52社(2020年6月末時点)からなるインデックスで、Salesforce,Adobe,Shopifyなどが組み入れられています。

画像9

©︎BVP

上記は直近3年間のCloud Index(紺色)、ダウ(橙色)、S&P500(水色)、ナスダック(黄緑)を比較したものです。長い上昇トレンドを維持し、今年3月のコロナショックにより一時急落しましたが、その後、物凄い傾きで再度上昇しています。高値更新を果たしたナスダックさえも大幅にアウトパフォームしており、成長株の中でも、クラウド銘柄にマネーが流入していることがよくわかります。

日本版 Cloud Index を作ってみた

日本のSaaS企業はどのくらい評価されているのか、上記のようにパフォーマンスを比較をしようとしましたが、日本にはBVP Cloud Indexのような指数が存在しません。

・・・

・・・

ということで、日本版 Cloud Index を作ってみました。今回は、「SaaS企業」を以下のような基準で選定しました。

1. ビジネスモデルが「SaaS」であること(クラウド×サブスクリプション)
2. SaaS収益が全体の7割以上であること(一部、例外あり)
3. 時価総額が100億円以上であること
4. PSRが10x以上であること
5. その他、One Capital がSaaS企業と認定したもの
※2020年6月末時点

その結果、以下20社がインデックス組み入れの対象となりました(基準に関しては今後も見直しをしていきたいと思います)。

2477 手間いらず
3681 ブイキューブ
3923 ラクス
3939 カナミックネットワーク
3966 ユーザベース
3983 オロ
3984 ユーザーローカル
3991 ウォンテッドリー
3994 マネーフォワード
4397 チームスピリット
4431 スマレジ
4435 カオナビ
4443 sansan
4448 チャットワーク
4475 HENNGE
4478 フリー
4488 AI inside
4493 サイバーセキュリティクラウド
4776 サイボウズ
7068 フィードフォース

TOPIXおよびマザーズ指数と比較をし、SaaS企業がどの程度評価されているかを明らかにしたいと思います。そのため、まずはTOPIXとは何か、どのように算出されているかをおさらいしたいと思います。すでにご存じの方は、次項目まで飛ばしていただければと思います。東証のHPには以下のように記載されています。

TOPIX(東証株価指数)とは、東証市場第一部に上場する内国普通株式全銘柄を対象とする株価指数です。昭和43年(1968年)1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したものであり、日本経済の動向を示す代表的な経済指標として用いられるほか、ETFなどの金融商品のベンチマークとして利用されています。(東証HP

TOPIXは、トヨタやキーエンスをはじめ、日本を代表する東証一部企業2,169社(2020年4月末時点)が組み入れられています。詳しい銘柄などは東証HPをご覧ください。また、算出方法は以下の通りです。

1. 東証1部の指数用株式=東証1部の各銘柄の指数用上場株式×浮動株比率
2. 算出時の指数用時価総額=(東証1部の指数用株式×株価)を東証1部の全銘柄について計算して足し合わせた数値
3. TOPIX=(算出時の指数用時価総額÷基準時価総額(1968年の時価総額))×100 (美人のマネ活

ここで「浮動株」という言葉が出てきました。本来であれば浮動株、つまり市場に出回っている株式比率を考慮すべきですが、今回は考慮していません。また、時間の都合上、発行済株式数の変動についても考慮せず算出しました(今後はちゃんと反映します・・・)。なので、あくまで参考程度に見ていただければと思います。

日本では2018年が「SaaS元年」と言われているということもあり、2018年1月4日を基準日(100とする)とし、各銘柄の時価総額を加重平均してパフォーマンスを算出しました。IPO銘柄は新規上場した時点から組み入れ、加重平均して算出しております。

これが日本版 Cloud Index だ

ということで作ってしまいました。「One Capital Cloud Index(以下、OCCI)」と名付けることにします。

画像10

しばらく横ばいに推移していましたが、2019年を境に上昇トレンドに転じています。BVP同様、コロナショックで一時急落していますが、その後、V字回復を達成しています。足元では、マザーズ指数が好調ですが、OCCIはそれを大幅にアウトパフォームしていますね。

画像10

上記に組み入れ銘柄のIPO時期をまとめました。2019年からSaaS企業のIPOが相次いでおり、こうした背景から、SaaSへの注目度が急激に高まっていると言えます。

COVID-19禍におけるOCCI

OCCIがコロナショックによる急落後、V字回復を果たしたことは前述しましたが、どの銘柄が優れたパフォーマンスを発揮しているのか見ていきたいと思います。

画像9

最も高いパフォーマンスを出しているのが、AI inside(4488)。同社は「DX Suite」というAIを活用したOCRサービスを提供しています。足元でバズワードとなりつつある「DX」銘柄ということで期待されているのかもしれません。5月15日に発表された2020年3月期の決算情報は以下の通り。

売上:1,591(YoY+257.4%)
営業利益:432(黒字化)   (百万円)

トップラインの絶対額がそこまで高くはないですが、急成長していることがわかります。また、黒字化したことも評価されているポイントの1つかと思います。今期の売上予想は2,632百万円(YoY +65.4%)と、高い成長率が続くことが想定されており、現在の時価総額は1,200億円、PSRは45.7xとなっています(7月7日時点)。

HENNGE(4475)は、「HENNGE ONE」というIDaaSを提供している企業になります。HENNGE ONEを利用すると、SaaSをはじめとする様々なツールへセキュア、かつ、スマートにアクセスすることが可能となります。テレワークの普及に伴うセキュリティ対策へのニーズの高まりが、同社の成長を加速させるとして評価されていると推察します。5月13日に発表された2Q決算情報は以下の通り。

売上:1,953(YoY+21%)
売上総利益:1,596(YoY+20.7%)
営業利益:127(YoY+1,510.2%)   (百万円)

COVID-19による短期的な影響としては、イベントやセミナー延期により、新規顧客獲得が遅延する見込みとしています。これは他のSaaS企業でも起きている事象ですね。また、景気が悪化するとユーザー企業の社員数が減少し、ARPA低下につながる恐れもあるとのことです。

ただし、長期的な影響としては、リモートワークをはじめとする多様な働き方へのニーズが高まり、潜在顧客が拡大するとしています。業績予想(売上成長率:約20%)に変更はないとのことです。

スクリーンショット 2020-06-08 23.03.56

(同社 決算説明資料)

一応、ワースト3も見ておきましょう。

画像9

最もアンダーパフォームしているのが、ORO(3983)です。同社は「クラウドソリューション事業(クラウドERPなど)」と「デジタルトランスフォーメーション事業(デジタルマーケ支援など)」を展開しており、売上割合は約半々となっています。企業のマーケティング投資の落ち込みからデジタルトランスフォーメーション事業(≠SaaS)の成長低下が見込まれていると推察します。そのため、解説は割愛します。

手間いらず(2477)は、ホテル・旅館向けに宿泊予約管理ツール「TEMAIRAZU」を提供している企業になります。あまり知られていない企業なのですが、営業利益率が65%(!)と超高収益質です。5月1日に発表した3Q決算は以下の通り。

売上:1,267(YoY+27.8%)
営業利益:885(YoY+39.5%)  (百万円)

同社によると、固定収入がメインのため短期的な影響はないとしています。しかし、旅行需要の蒸発により変動収入(予約毎に発生)が減少していることに加え、顧客獲得ペースが鈍化する恐れがあること、さらには閉館によるユーザー数減少というリスクを抱えています。旅行業界はインバウンドに支えられていた面もあるため、他業界より回復までに時間を要するかもしれません。

Sansan(4443)は言わずと知れた名刺管理ツールを提供している会社。テレワークの普及に伴い、名刺交換をする機会の減少が想定され、このような評価につながっていると考えられます。しかしながら、7月6日には上方修正(売上/営業利益)が発表され、前期は黒字に転換する見込みです。7月14日に20年5月期決算が発表される予定です。

こちらが全銘柄(3月にIPOしたサイバーセキュリティクラウドを除く)の年初来パフォーマンスとなります。

画像9

OCCI はNo.7−8にランクインしていますね。上述した AI Inside や HENNGE に加えて、Web会議システムを提供する「ブイキューブ」、ビジネス用チャットツールを展開する「チャットワーク」など、一部の企業がOCCIを牽引していることがわかります。

さいごに

ということで今回は、日本を代表するSaaS企業からCloud Indexを作ってみました。海外投資家から日本のSaaS企業に関心を持ってもらうこと、そして、SaaSスタートアップにとっての指針となるべく、今後もこのインデックスはアップデートし続けていきたいと思います。

生産性の向上や柔軟な働き方が求められる現代において、SaaSの普及はもはや避けて通ることができません。足元では過熱感があることは否めないものの、10年後これらのSaaS企業がどのようになっているのか今から非常に楽しみです。

弊社では主にアーリーステージのSaaS企業へ投資をしています。資金調達の相談や壁打ちは、Twitter(@saas_penguin)にてDMいただければと思います!

※ディスクレーマー
・本記事は投資勧誘を目的としたものではありません
・本記事の内容について正確性、完全性、信頼性等について、保証をするものではありません


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
よろしければシェアもお願いします!
204
SaaSスタートアップへの投資と大企業のDXを支援するベンチャーキャピタルです。スタートアップと大企業の両面から、日本の変革を推進します。コーポレートサイト(Notionで作りました):http://www.onecapital.jp/

こちらでもピックアップされています

note編集部お気に入りマガジン
note編集部お気に入りマガジン
  • 17303本

様々なジャンルでnote編集部がおすすめしている記事をまとめていきます。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。