見出し画像

Interview : Mora Mothaus in june 2020.

インディロックリスナーの間で「ソロシンガー」が発信する音楽の魅力に惹かれる方が多くいるのではないでしょうか。古くはオルタナティブロックを出自に持つCAT POWERやBright Eyesを筆頭に、近年ではAlex G、SNAIL MAIL、Stella Donnelly、Phoebe Bridgers、Japanese Breakfast 等々、ドリームポップ・ローファイ・フォークなど音楽性は様々でありながらも、メロディラインとフロウの豊饒さやシンガーの心の内を1対1で垣間見れるような詩情の深さに強く惹かれるものがあります。「Mora Mothaus」もまたエレキギター1本と歌でパフォーマンスするソロシンガーですが、中世の深い森の中にタイムスリップしたかのような静謐で荘厳な楽曲は、現行のインディソロシンガーの潮流とはまったく異質でありながらも2020年の先鋭として強いインパクトを放っています。彼女の創作の源について伺いました。

▼Sheltering Storm▼

▽初めまして。新宿NINE SPICESの佐藤です。初めに自己紹介をお願いいたします。

はじめまして。Mora Mothausと申します (読: モーラ・モスハウス)
出身不詳、ジャンル不明の生き物、ソロプロジェクトです。

▽Moraさんの活動については、僕の友達がMoraさんと共演した際の感想をツイッターで呟いていて知りました。去年リリースされたEP “Overture to a Dream” のリンクがあり聴いてみて優しくて力強い歌が素敵だなと感じました。

▼bandcamp▼

ライブはエレキギターをメイン楽器に、ラップトップやルーパーを使いソロでのパフォーマンスをされているかと思いますが(まだ生でライブを拝見したことがなく間違っていたら申し訳ございません…)、今のスタイルに至るまではどのような音楽活動をされてきたのでしょうか?

16か17の頃初めて曲が降って来て、それが後にファーストシングルとなったTail Eaterでした。元々はただ自分が表現を必要としていただけで、音は自分の中にあればいいと思っていました。色々経てライブ活動をまともに考え始めたのは2年前の春辺りからです。

当初はイメージする空間に近づけるには独りでは物足りないんじゃないかと考えた。特定のパートが欲しいというよりは共鳴し、暗黙の空間を拡張してくれるサポートが必要だった。そんな野望に応えてくれたのが友人のKai Kamata。Kkのギターは独創的且つ素直で、何より息がぴったりでした。EPのボーナストラックTo Knowは彼と収録したものです。

一年程前から完全にソロになり、初期はギター2台とラップトップを合わせていた演奏も一人だと音数とバランスを取るのが難点で一旦演奏を根本的に見直しました。音数を減らし演奏に集中し、空気や間を包容したら自分の中の理想的な音が見えてきました。今は割とオーガニックなアプローチですが、機械的な要素を放棄したわけではなく、メカニカル即ち動きを与えてくれる物はパソコンも楽器も何でもありです。ただ呼吸や揺れ、感触、いわゆる生物的な要素は今だに最高度のコンピューターも再現には至っていないですし、そこは自身の細胞を活かし生きているのを実感する動作が好きです。

▽EPのアートワークはご自身の手によるものですね。僕は絵画などアートには明るくないのですが、超現実的で厳かな雰囲気に癒されるものを感じました。日本語で「夢への序曲」と題されたEPタイトルの通り、どの楽曲にも眠りに誘う心地よさと悪い夢が終わらないような不安が同居していてとても不思議です。

▼1st EP - OVERTURE TO A DREAM - ジャケット▼

物心ついたばかりくらいの幼い時期、夜になると得体の知れない気配に恐ろしさを覚えたころのような神聖な雰囲気があります。楽曲を作る際にどんな事柄にインスピレーションを受けていますか?

一時期記憶と夢と目覚めの境目が分からなくなり、おそらくそれがその「超現実」、いわゆるハイパーリアリティの探究心に繋がっていった。起きている時は事を身体を通し感じ、認知し、考えたりしなければいけないが、夢は心に直接語りかけてくる様で意識の奥深くまで浸透する潜在意識の中で見え隠れする自分自身の宇宙。全てから解き放たれた開放感と背中合わせの虚無感、宇宙の果てはそんな究極な思いが全て交わる所でもあるのかと、そんな想像にとてつもなくエネルギーを吸い取られながら、感化されています。環境、生き物、人、心、社会、テクノロジー、宇宙とか、ただ生きているから必然的に考えてしまう言葉だけでは説明しきれない無数の現象、そんな不思議でシュールなこの世そのものがインスピレーションです。

▽Moraさんはソロシンガーということもあり、ライブハウスに限らずフットワーク軽く様々な場所で演奏されてきたかと思います。インスタライブを拝見したことがありますが、荘厳な楽曲とは裏腹にリラックスでチルなパフォーマンスが楽しい時間でした。これまでに印象に残っている会場やイベントをいくつか教えてください。

そうなんです。しかしソロだからフットワークも軽いと思いきや、ある時は荷物が体重の半分以上もあって、割と重たいんですよ、笑い。

演奏を小さなスマホ越しに届けるのはちょっと違和感もありますが、これだけ様々なプラットフォームが存在する以上色々試してみたくて。自粛要請が出た時は誰かの癒しにさえなればと思い配信していました。

初期は渋谷のRuby Roomとかかな。ある晩友達に連られて辿り着いたのが始まりで、自主企画も何度か開催した思い出深き場所です。後は割と疎らに様々なイベントに呼んで頂いてますが、多彩で感動や刺激的な出会いを与えてくれるようなイベントは貴重です。最近甲府の桜座にて無観客配信イベント(※リンク動画の2:27:20ころからMora Mothausの演奏が視れます)に参加し、思いがけぬタイミングで自分が理想的と感じる物に一番近い企画に巡り会いました。

皆んなに生で体感して頂けたらなという気持ちも勿論ありましたが、映像チームはそれを覆すべくレンズ越しに別の世界を捉え配信そのものを作品として創り上げてくれました。互いに共鳴し、一つのイベントが素敵な出会いとなりました。

今回の配信でもそのチームと共同で光や映像の演出をお送りするつもりですので、どうぞお楽しみに。

▽コロナの影響で人が集まるのが難しい状況が続いています。そんな中ですがバンドのみなさんは活動を続けるために、データのやりとりやオンライン通話など様々な工夫で創作活動をしています。困難な社会情勢でも、音楽を作ることはちょっとやそっとでは止められない魅力があると思います。Mora さんは今後どのような活動をお考えでしょうか?

引きこもりがちなもので、生活はあまり変わりなく過ごしていますが、考えに埋もれ頭の中から出られない時間が圧倒的に増えています。同時に、音楽を始めとするあらゆる表現はこれからも在り続けなくてはならないとより強く感じています。表現の自由の為、そして自分が唯一心から繋がりを感じられる物だから。今だからこそ生まれる相応しい表現の在り方はきっとあって、この度の配信もその表れでしょう。

固定観念を脱構築する事により何か別のものが見えて、形成されるそのプロセスを今まで通り続け時に安らぎ、時に刺激を発信したいです。

近頃は自然を舞台にしたりしていますが、その話はまたの機会に。

▽最後に読者のみなさんへメッセージをお願いします!

暗闇に包まれた時、光はより明るく、鮮やかに感じられる

想像力と感受性を潤せばそこから芽が出てきっと花が咲く

移り変わる時を手掛かりに今は我々が音や光をあなたの元に届ける番

どうか、焦らずに
いつでもどこでも
きっとまた会えるよね

辿々しい文章に最後まで付き合ってくれてありがとうございました。そして耳を貸してくれる全ての人にありがとう。


▼Spotify

▼Apple Music

▼MVリンク "Sacred Darkness, Sunshine." [Odd Connection Ep.01]


▼Twitter

▼Face book

▼Instagram

▼Website

--------------------------------------------------------------------------------------

※視聴期間はライブ配信時間の当日19時より終演までとなります。

本公演は「Rinky Dink Channel」を利用した有料チケット制配信ライブとなります。ご購入・ご視聴に際し下記URLより会員登録をお願いいたします。

▼会員登録URL

その後、下記新宿NINESPICE / LIve streaming channelのURLよりご購入・ご視聴をお願いいたします。※スマートフォン用サイトお使いで決済される際は、下写真下部の黒枠「決済方法を選択」をクリック下さい。ブラウザの設定によって見づらいですが、スクロールしてご確認下さい。

▼販売ページURL

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?