暮らしの中に小さな挑戦を
現在、私は休職5ヶ月目に突入。
病院で「うつ」と診断されてから、私は仕事や窮屈な人間関係から離れ、1LDKの小さな部屋で、静かに自分の時間を過ごす日々を送っている。
会社員として働いていた頃よりも、自分と向き合う時間が増えた。平日も土日もすべて私が自由に組み立てられる。
体調を良くするために組み立てた、私の理想の1日のルーティン。それをこなすうちに、少しずつ身体は軽くなっていった。
しかし、私は繰り返されるその理想の毎日に、少しマンネリをしていた。
そんなマンネリを打ち壊すため、小さな挑戦をする約束を自分と交わした。それは、食べたことのないアボカドトーストを作るということ。
先日、たまたまウェブで見かけたアボカドトースト。食パンの上にチーズとアボカドを乗せ、オリーブオイルと塩コショウをかけたシンプルなものだ。私は衝撃を受けた。
私の世界では、アボカドはスライスしてわさび醤油で食べるものであり、食パンの上に乗せて焼くという概念がなかったのだ。
そんなアボカドのまだ見ぬ可能性に、わくわくした。私のマンネリな日常に、光が差した瞬間だった。
そして今日は、満を持して、アボカドトーストに挑戦をする。
食パンの上にスライスチーズと薄くスライスしたアボカドを乗せ、トーストで焼く。仕上げに、オリーブオイルと塩胡椒を好きなだけ。
未知の世界に不安と緊張を感じながら、ひとくち、がぶり。
・・・!
美味しい、よりも、驚きの感情が勝った。
甘くない、卵サンドのような味がする。
いつもの私の朝ごはんは、はちみつたっぷりの甘〜いハニートーストが定番だから、私の舌はてっきり今日も甘い味が入ってくると期待していたようだ。
脳みそよりも舌がびっくりしている。
おかず系のトーストだったのか。アボカドよ。
しばらくして、私の脳みそが、口の中にあるのはおかず系のトーストだと理解すると、無性にマヨネーズをかけたくなった。
いや待てよ、はちみつをかけたらどうなるんだ?
そんな好奇心に後押しされて、アボカドトーストにはちみつをかけた。
結果は、うん。アボカドにはちみつをかけたモノという感想だ。まさにそのままの表現だが、ぴったりだった。予想外の味の化学変化は起こらなかった。
アボカドトーストの最後のひとくちを食べ終え、コーヒーの残りを飲み干しながら、私は身体の内側から湧き上がる歓びを味わっていた。
未知の味に挑戦できた。そしてこの小さな挑戦が、これからの私の朝ごはんの世界を広げたのだ。
いつのまにかマンネリという感情は消え、次なる挑戦への好奇心に燃えていた。明日もアボカドトーストを作ろう。そしてマヨネーズを少しかけて焼いてみよう。
日々のマンネリを打ち壊すために、特別なことは必要じゃなかった。もしまたマンネリの波が押し寄せて来ても、もう大丈夫。暮らしの中に小さな挑戦をひとつ作ってあげよう。愛する私を楽しませるために。
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