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今日、私なりの一歩を踏み出した。

「明け方の若者たち」という小説を読んだ。

仕事終わりに郵便受けに届いてるのを確認して、今日が終わる頃には、読み終えていた。

そして私は、私なりの一歩を踏み出した。

エモい恋愛小説かなぁ...?

元々、筆者のカツセマサヒコさんはTwitterをフォローしていたから、小説を出すことも知っていた。
でも、「まぁ...、エモい恋愛小説かなー?」と思って、なかなか手を出せずにいた。

今年23歳になるが、最近恋愛系のエンタメを身体があまり受け付けなくなってきている。
自分自身が恋愛面でもかなり落ち着いているからなのだろうか。
クリープハイプの『ラブホテル』を聴きながら、早朝のコンビニで朝ごはんを買ってから自分のアパートに帰っていたあの頃とは、色々と違ってきていた。

そもそも小説を読むのも久しぶりだった。
最近は、もっぱらエッセイ大好き人間だ。仕事がしんどくても、休憩時間に朝井リョウさんやさくらももこさんのエッセイを読み返して、プププと笑って毎日を乗り越えていた。
それが、楽しくない毎日の、唯一の楽しみだった。

まあ、そんな感じの期待感のままAmazonのカートに入れて購入手続きを済ませた。

「うーん、本当に買って正解だったかなぁ」

最近衝動買いした漫画があまり好みではなかったこともあり、本の購入には慎重になっていた。

ただ、無料で公開されていた内容の一部を読んだことが、Amazonの残り冊数よりも私の背中を押してくれたことは確かだった。

読んでみたら、ちょっと悔しくなるくらい、続きが気になった。面白かった。
はやくその続きが読みたくて、届くのが楽しみだった。
でも、実際読んでみたら大したことなかったなぁってなるのも悲しいなぁと思い、あまり期待しないようにもしていた。


苦しくなるくらい私のための本だった

前置きが長くなったが、ここからは感想を書いていきたいと思う。

一言でいうと、「私のための物語だった」。
全然、ただの恋愛小説じゃなかった。

なんでこんなに、私のための本だと思えるんだろうと考えた。
境遇が似ているからだろうか。
新卒、20代、文系卒、大企業、東京...たしかに主人公と私はさまざまな共通点を持っていた。

でも、一番大きかったのは「こんなはずじゃなかった」という思いだった。

私は、4月に入社して以降、コロナの影響で一度も出社せずに研修を受けている。
色んな不満やストレスで体調にも変化が出た。
でも、そんなことよりも一番つらいのは、仕事がつまらないことだった。
つまらないなりに、目の前のことを頑張ろうとした矢先に、研修中にも関わらず部署が異動になった。異動先では、まったくやりたくないことをやることになった。
元々いた部署も志望していたところではなかった。だけど、ようやく割り切ろうとしていたところだった。それなのに、もっと行きたくない部署へ異動になった。
「こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃなかった」
彼氏や友人や同期に愚痴を漏らしても、前向きな考え方をしようとしても、また浮かんでくる。
「こんなはずじゃなかった」

そんなダークサイドから抜け出せずにいた私は、この物語を読んでいる途中、少し絶望したりもした(ネタバレにならないよう詳細は控える)。

でも最後まで読んだら、なんだか少しスッキリしていた。

前向きになれた!とは言わない。

スッキリした。

何者にもなれないかもしれないし、やりたいこともやれないかもしれない。ずっとこのままかもしれない。「こんなはずじゃなかった」って思ってる人も、私だけじゃない。
でも、だから、「僕なりの一歩を踏み出さなきゃ」。
私も、私なりの一歩を踏み出したくなった。

最初はこの感想文のタイトルを「私なりの一歩を踏み出すために背中を押してくれた一冊」にしようと思っていた。

でも、"背中を押す"って言うと、「頑張れよ!!」って力一杯応援するイメージがある。

この物語は違う。

まだ読んでいない人には、こう言ってあげたい。

この先どうなるかわかんないけどさ、この本読んでどう感じるかもわかんないけどさ、少なくとも私は一歩踏み出そうって思えた。「失敗してもいい!」とか「考えるよりまずは行動!」とか、そういう言葉とも、なんかちょっと違う。主人公は、「一緒に頑張ろうぜ」とも言ってない。でも、きっとあなたに寄り添う物語だよ。

私なりの一歩

そんな私が踏み出した一歩は、「Twitterアカウントの作成」だ。


人によってはめちゃめちゃ小さな一歩だと思う。

でも、私は今までフォロワー0非公開アカウントしか持っていなかった。
自分のTLにしか流れないなかで、社会に対する意見をツイートしたり、応援したい人の投稿をRTしていた。
そんな私からすれば、大きな一歩だ。

誰にみられるか分からないなかで、自分の意見を発信する。やりたいことを発信する。

ちゃんと調べて根拠のある意見を言うとか、おかしいと思うことには声を上げるとか、賛同したキャンペーンはRTして応援するとか・・これから出来ることが増えることに、結構ワクワクしている。

そんな一歩を踏み出すことができた。
この本を買って本当に良かったと思う。

おわり


追記

恋愛要素について全然触れていなかったけど、恋愛要素もとてもよかった。
というか、本当はそっちがメインかもしれない。
だけど、読む人によって、どんな話にも化けるのかもしれない、と思った。

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