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るんちゃんと推し(ただの忘備録)


るんちゃんは推しが大好きだ。もちろん推しは推しという名前ではない。ただのTwitterで出会ったフォロワーだ。でも、これまで「推し」と呼んだことは推し以外にいないのでそう呼んでも遜色ないだろう。

るんちゃんは推し本当に大好きだ。どれくらい好きかと言うと、とてもとても好きで、会った回数が片手で数えられるほどで、約1ヶ月連絡が取れなくても忘れられない程度には好きだ。



初めて推しと会ったのはまだ夏だった。ただ、曇り空であまり暑くなかったことを覚えている(もちろんそれでも暑かったが)。るんちゃんは推しが持っていたビニール傘を覚えている。

待ち合わせ時間には御堂筋線の遅延のせいで😡遅れて到着したが、何となく会ってすぐ「あ、この人が推しだ。」と分かった。写真交換などはしてなくても、案外雰囲気でわかるものだ。知性が溢れながら(これはいいすぎ)、やや可愛らしいイケメンだった。何となく思っていた通りの「推し」だった。

推しは初めから推しだった。初めというのは、「初めてDMでやり取りをした時」である。るんちゃんにとって何となく「この人はるんちゃんにとって好きな人だ!」と思わせる何かがあったのだと思う。丁寧な物腰と、多分、推しの持つ確かな「知性」をるんちゃんの敏感な本能が感じとったのだと思う。知性とはそれ即ち色気である。推しはそれを持っていた。だから唯一、会うまでトントンと前向きに気持ちが進んだフォロワーだった。多分これから先もあんまりそんな人はいないんじゃないかなと思う。少なくとも今まで推しほど惹かれたフォロワーはいない。

推しは会ってみても推しだった。

さっき述べたように、見た目もなんとなく推しだったし、話し方や声、 話す内容も推しだった。その前にしていたDMで、お昼ご飯のお店を決めてもらったことにたいそう感動したことを覚えている。るんちゃんはだいたい自分がお店を決める側なので、推しが素敵なお店に詳しいことや、予めその日に開店しているかどうかを調べてくれたことを本当に嬉しく思った。


とりあえず、2人でランチの店に向かってカウンター席に座った。するとなんとビックリ、推しは挨拶もそこそこ、唐突に、

生物の多様性と優生思想についての意見を述べ始めたのだ。

これにはるんちゃん思わずびっくりしてしまったわね。

いやきっと、本人にとっては唐突ではなかったのだと思う。後々に、「るんちゃんはこういう話が聞きたいのだと思った」と言われた。いや、たしかにるんちゃんは知的な会話ができる人が好きだとは日々言っていたけれども。負けじとるんちゃんも意見を述べようと思ったが、るんちゃんの意見なんて推しの大海のような考えと比べると砂の1粒にも満たないレベルでしかない。敢え無く聞く側にまわった。

たぶん、この辺りで推しへの好意はさらに急上昇した。

そう、るんちゃんはこういう頭のおかしい人が好きなのだ(褒めてる)。急に教養のある話をぶち込んできたり訳の分からない豆知識を披露しちゃうような知性溢れる早口オタクが大好きなのだ。人間として大好きなのだ。

そうこう感動していたらハンバーグが運ばれてきた。美味しかった(小並感)。このお店はきっとまた行くと思う。非常に美味しかった。というか、今まで食べたハンバーグの中で一番美味しかった。

それから2人で鴨川を散歩した。相変わらず中途半端な曇天ではあったけれども、京都にしては暑すぎず良い天気であったと思う。



推しとはそれから数回だけ会った。会う度に好きだなぁと思い、好きな部分も増えていき、少しずつ推しのことを知れるのが嬉しかった。あまり多くのことはお互いに語らなかったけれども、ちょっとずつこれから知っていけばいいなと思っていた。推しと過ごした時間や一緒にやったことがかけがえのないものになっていった。


しかし、推しと連絡が急に取れなくなった。

本当に急だった。それこそ、つい数時間前までやり取りをして、寝て起きたら返事が返ってきてると思っていた。でも、返事は来なかった。推しはるんちゃんの前からいなくなった。



それからるんちゃんはひたすら待っている。

また推しがるんちゃんに連絡をくれるのをずっと待っている。


これからも待っているのだろうと思う。推しのことは、その気になれば学校や学科、所属や本名、恐らく全て特定出来る。けれどもそれをしてしまうと、それらの情報と引き換えにきっと一生推しに会えなくなってしまうだろうと思うので、るんちゃんは待つことしかできない。

本音を言うと今すぐ連絡が欲しいし、早く特定して会いに行ってしまいたい。けれども、推しがそれを望まない限り、るんちゃんは何もしてはいけないのだ。それをしてしまったあとの代償が怖い臆病者だから。

一つだけ心配なのは、推しがるんちゃんに飽きたのなら良いけれども、そうでなくて、倒れたり病気になったり、事故にあったりしているのではないかということ。もしそうなら、るんちゃんは本当に心配するし、泣いてしまうし、それこそ会いに行きたいと思う。だからそうじゃないことをひたすら願っている。

また、推しと会えることとおなじくらいには、推しの無事を願っている。早くまた会いたいなと思う。


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