売買エージェントなかがわさん|メンバーに聞いてみた
omusubi不動産の紹介をすると「いろいろなバックグラウンドの人が働いていて面白いですね」と言っていただくことがよくあります。きっかけはそれぞれ違うけれど、「omusubi不動産」という会社に集い、同じ方向を目指して日々精進しています。
omusubi不動産の一番の魅力は、一緒に働いているひとりひとり。どんな人が、どんなことをしているのか。どうやってomusubi不動産にたどりつき、一見、ちょっと変わった不動産屋で働いてみようと思ったのか。この連載では、omusubi不動産の日常の様子を覗きながら、なかで働くスタッフに話を聞いていきます。
30歳になって、独学で絵を描きはじめた
――なかがわさんの自己紹介の記事を見て、絵を描かれていると知りました……! いつから描くようになったんですか? ぜひきっかけもお聞きしたいです。
なかがわさん:描きはじめたのはちょうど30歳くらいのときで、一社目を辞めるタイミングでした。最初はアパレルの販売員をしていたのですが、先輩や知人でDJやデザイナーだったりと表現の分野で活躍している人が近くにいたので、何か自分の手でかたちにできるようなことをしてみたいなと思うようになったんです。ただ、服の組み合わせを考えることは好きだったけれど、「服を作る」のは違うな、と気づきました。じゃあ他に何かあったっけな、と考えてみたら、従兄弟で絵を描いている人がいたり、なんとなく前から興味があったことを思い出して、絵なら小さくはじめられそうだな、と。
なかがわさん:ある休みの日、池袋で行ってみたい場所がいくつかあり、散歩をしていたら、たまたまギャラリーを見つけたんです。なんか面白そうだなって入ってみると、オーナーさんがいて。いろいろ話をするなかで「絵を描きたいと思ってるんですよね」ってぽろっと言ったら、「じゃあやってみたら?」って背中を押してくれたんです。それで、一年後にそこのギャラリーで絵を展示してもらうために、絵を描き始めました。
――ふらっと入った場所で個展を……! すごいですね。
なかがわさん:オーナーさんはパリに行って現地で場所を借りて、注目している作家の個展もやっていたりしている方なんですが、一回池袋のギャラリーで個展やらせてもらった後に、「一緒に行かせてださい」って言って、パリの美術館でひたすら有名絵画を解説付きで見て回りました。今はやれないですけどね(笑)。
――ええっ、そんなドラマみたいなことってあるんですね(笑)。絵はどういうときに描かれることが多いですか?
なかがわさん:子どもが生まれて以降、なかなか時間がとれなくなってしまったので、最近は夜が多いですね。帰ってからの3時間だったり、時間が空いたときだったり。たまに描かなくてもいいかなって思う時もあるんですけど、でもそういうときに描いてみたらどういう絵が描けるかな、って描いてみることもあります。
ぼんやりと、「いつかは地元に貢献したい」と思うようになっていた
――アパレルの販売員をやめられてから、どうやってomusubiに辿り着いたんでしょうか。
なかがわさん:セレクトショップを退職した後は、まずテレビの制作会社に転職したんですよ。さっき話したアパレルの販売員時代に、自分で何かをつくりたいなと考えていたとき、テレビも好きだったなと思い出して、ドキュメンタリー番組の制作に携われたらいいんじゃないか、と。学生のころ、ちょっとだけテレビ局でバイトしたこともあったので、また戻ってみることにしました。ただ、体力的にハードだったり、30秒のカットを撮るだけでも膨大なタスクを抱えなければならなかったりと、自分に向いていないなと感じることも多かったです。
――そこから繊維商社に転職されたんですよね。
なかがわさん:そうですね。服ではなく、寝具の営業だったんですが、むしろ仕事の幅を広げられて「いいかもな」と思ったんです。仕事は仕事としてやりがいを感じていたんですが、ぼんやりと、いつか好きな地元の熊本に仕事で恩返しをしたいなという気持ちも抱いていて。とは言え住まいはこっちの方なので、何かちいさく関われる方法がないかなと探したときに、立川市子ども未来センターで子どもたちのイベントを企画したり、日々の業務をサポートするようなボランティアスタッフの募集を知りました。そこで土日にボランティアをやるようになったんですが、次第に仕事としてコミュニティデザインやまちづくりにかかわりたいなと思うようになったんですよね。
――ふむふむ。
なかがわさん:営業の仕事経験を生かせて、プライベートで絵を描くので、アートにも近いような会社を探してみようと思ったら、仕事百貨でomusubi不動産の求人を見かけたんです。募集している職種が営業で、「科学と芸術の丘」の運営にも携わっている。さらに、不動産会社なんだけどまちにも根付いている、というところが、自分の経験や関心とものすごくマッチしていて、「ここだ」と思い応募しました。
――omusubiを知ったのは仕事百貨からだったんですね。地元への貢献というところでは、どんなところに可能性を感じたのでしょうか。
なかがわさん:たとえば、僕がもう少し不動産のことを勉強してできることが増えていったときに、もしかしたら九州で不動産にかかわる仕事ができるようになるかもな、とか。あと、つい最近NHKで紹介してもらったことで、茨城のオーナーさんからお問い合わせいただいて戸建を仕入れたところなんです。実際の運営方法は考えなくてはいけないですが、もしかしたら、ゆくゆくは熊本を含む九州の物件を仕入れることもあるかもしれないなとも思っています。
現場での経験を積み重ねながら、今の売買エージェントのポジションに
――そういえば今日は「自分を表すもの」として、メジャーを持ってきてくださっていますよね。なぜこれを選んだのでしょうか。
なかがわさん:今、仕入れの担当をしているんですが、物件を見にいくときに必要だなと思う場面が多いんです。建物の室内はもちろん、建物の敷地に接道している幅や、道路から物件までの幅だったり。古い物件だと、建設当時と今とで建築の基準が違うこともあるので、物件調査や仕入れのときにいつでもどこでも測れるように持ち歩いています。
――道路の幅も事前にチェックしたりするんですね。中川さんはomusubiで初めて不動産の営業をやっているかと思うんですが、最初から今の物件の仕入れを担当しているんですか?
なかがわさん:最初は賃貸の案内に同行したり、契約に立ち合わせてもらうところから、次第に殿塚さんと一緒に売買の相談へ行って経験を重ねていき、徐々に戸建やマンション一棟の仕入れを担当したり、収益物件の販売を手伝ったりするようになりました。
――寝具メーカーの営業と今の仕事とで、違いを感じる場面はありますか?
なかがわさん:いちばん大きいところで言うと、不動産は価格の設定が所有者さんの感情や気持ちで変わるところですね。たとえば服なんかだと、原価に粗利を乗せた金額を販売価格として設定します。一応、不動産でもオーナーさんに「市場ではこのくらいの金額でお取引がありますよ」とお伝えするんですが、「思い入れがあるからこのくらいの金額では売りたくない」という場合もあれば、なかなか売れなければ「なんだ、じゃあ下げようかな」って急に金額を下げたりする場合もある。その点では有形商材を扱う営業とはまた違うなと。
――「不動産」って売るものとしてちょっと特殊ですよね。
なかがわさん:そうなんですよね。僕の場合、個人のオーナーさんとお仕事をする機会が多いんですが、仕入れにしろ、販売にしろ、みんなが同じ条件ということはなく。それに対して知識であったり、お話しながら勉強しないといけないことがあるので、その点も前の会社とは同じ営業でも違いますね。一方で、税理士の人に相談したり、市役所に行ったり、いろんな人に協力してもらう場面も多く、さまざまな人の知識が集結した仕事だなとも感じています。
メンバーの持つ目標はそれぞれ違うから、競争が起こりにくい
――他の会社と今のomusubiを比べて、組織として「ここが違うな」と思うことはありますか?
なかがわさん:会社が小さいからというのもあるかもしれないんですが、少ない人員でみんなが最適化を目指しながら動いていくことを自然と求められるかもしれませんね。他の会社の営業と違うなと感じるのは、あまり競争がないこと。殿塚さんが「この人はこれが得意だからお願いしよう」とその人に合わせた仕事を任せるから、それぞれやっていることがオリジナリティのある仕事なんですよね。人によって目標も違うから、他人と比べずに済むっていうのはいい部分だなと思います。
――たしかに営業職だと数字にシビアだったり、周りと比べざるを得ない環境が生まれやすい気がします。入社して一年半ほど経っているそうですが、omusubiで働いているなかで、印象的だった出来事はありますか?
なかがわさん:omusubiで管理させていただいている物件のオーナーさんが別の建物を所有されていたんですが、販売の際に、いろいろありながらも最終的にはしっかりと高い金額で売ることができたときですね。途中で他の不動産屋さんから「もっと高く売れますよ」「うちでも販売しませんか」と提案されたようで、値上げをしたり、他社さんでの販売もするようになったのですが、なかなか反応がない期間が続いてしまっていました。そこで、以前omusubiへ「興味がある」と連絡をくださっていたお客さまにもう一度連絡したところ、まだ興味を持ってくださっていて。結果、他の不動産よりも高い金額で購入してくださいました。オーナーさんとのこれまでの関係もありましたし、omsubi不動産としての信頼を積み上げられたことはほんとうによかったなと感じた出来事でした。
できることを増やして、提案の幅を広げていきたい
――お仕事、プライベート問わず、今後やってみたいことがあればぜひ教えてください。
なかがわさん:現状では、ひとつの物件をどのように売ったらいいかのご相談に応える仕事をしていますが、いずれは複数の物件を持っているオーナーさんに、トータルでご提案できるようになりたいです。将来的に「この物件は古くなっているから売るか、修繕して保有を継続するべきか」や「どこどこ建設から賃貸マンション建築の相談をもらってるんだけどどう思うか」のようなご相談をいただく可能性があることを踏まえると、今よりももっと広い守備範囲でお悩みやご相談に応えられるようになりたいなと思っています。
なかがわさん:また、これはプライベートなんですけど、まず12月には絵の個展をやろうと決めています。もうひとつが、地元でも展示をすること。よく一緒に遊んでもらっていた先輩やDJを呼んで、地元の人と楽しめたら嬉しいですね。
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取材・撮影=ひらいめぐみ
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