買うのはオンラインで構わない。顧客体験が最優先のNikeの新たな店舗戦略 | Nike House of Innovation
【一言で言うと】商品のラインナップではなく、顧客体験を重要視したNikeの新たな店舗戦略
基本情報
主に展開する国:アメリカ・中国
設立:2018年
店舗数:2店舗(Nike House of Innovationと称する店舗。2019年9月時点)
ジャンル:アパレル・スポーツ
なにが特徴か
Nike House of Innovationは、商品のディスプレイや購買を軸とせず、店内での体験やNikeのブランドを(テクノロジーや店内のギミック・イベントなどを通じて)より浸透させるために設計された店舗である。NYC店の「ソニック・タワー」と称するディスプレイを配置した巨大モニュメントや、上海店の各フロアを突き抜ける滝のような巨大ディスプレイ、レジを無くした会計システムやピックアップロッカーはその象徴とも言える。買い物のほとんどはスマートフォン上で行う。店舗では顧客体験を重要視しており、店舗内のアスリート(※)が1対1でその体験をサポートする。
※ナイキの店舗では店員の事をアスリートと呼ぶ
ナイキのアスリートからアドバイスを受けることが出来るスタジオ/Photo by Business Insider
1. 会計レジに並ぶ必要のない決済システム
Nike House of Innovationのインスタントチェックアウトではナイキのアプリをダウンロードし、バーコードを読み取れば決済を店員を介さずに出来るようになっている。レジ待ちをしなくても良いという購入者にとってのメリットのほか、そのデータを元に店舗設計や広告、商品開発にフィードバックすることができる。
また、Nike House of Innovationでは、オフラインで試した靴やアパレル商品をその場でアプリで在庫があるか確認し、さらにそのままオンライン上で購入することができる。
つまり、オフラインでしかできないことに特化し、オンラインでできることはアプリに寄せている。
2. 今までのショッピングスタイルを変えるスピードショップ
店員とやり取りし購入に至るまでのプロセスが面倒という顧客も珍しくない。そこで、開発されたのが、スピードショップだ。スピードショップは、オンラインで試着したい靴を予約することができ、店頭には自分が試着したい靴が名前付きでロッカーに取り置きされている為、店員を介することなくすぐに試着することが可能だ。顧客は、スマホでロッカーを解除して試着した上で、どの靴を買うか決めたら上述のようにアプリによってオンラインで購入可能だ。
Nikeは、リアル店舗はよりブランディングや顧客体験に特化し、そこで獲得したエンゲージメントの高い顧客に対してシームレスにオンラインでの購買行動へと繋げる、といったOMOの設計を、上海とニューヨークという巨大な実験場で試しながら、同時に常に新しいものを求める顧客へと提案している。
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3割強の消費者が「洋服・靴・鞄」をネットとリアル店舗の両方で購入【オプト他調査】
https://markezine.jp/article/detail/31478
「好きなように買える」体験の提供を 中国の先進事例に学ぶ、OMO時代の店舗が果たすべき役割
https://eczine.jp/premium/detail/6796
参考
NIKE NYC Flagship:https://news.nike.com/news/nike-nyc-house-of-innovation-000
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