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”中国のZARA”が推進する顧客体験のデジタル化|URBAN REVIVO

【一言で言うと】最新技術を活用した商品開発スピードの向上と店舗における顧客体験のデジタル化を推進する、”中国のZARA”

基本情報

展開する国:中国、シンガポール、イギリス
設立:2006年
店舗数:約235店舗
ジャンル:アパレル・スポーツ
売上高:―

なにが特徴か

13年間、スペインのファッションブランド「ZARA」を徹底的に参考にし、中国の消費者の支持を得てきた中国のファストファッション・ブランドが、スピーディーな商品管理と店舗でのスムーズなデジタル・ショッピング体験で世界を狙う。

1. 「中国のZARA」を目指してきたブランド

Urban Revivo(UR、快尚時装[クヮイシャンシーチュアン])は中国のファストファッションブランド。2006年に広州で創業した。現在のURグループ本社はカリブ海のケイマン諸島と香港にあるが、展開しているのは主に中国国内だ。

ところが中国人でも、URをヨーロッパのブランドと勘違いしていることがある。洗練度で他のドメスティックブランドを引き離しているためだろう。ZARAから徹底的に学んできた賜物に他ならない。「URを中国のZARAにする」というのが創業者・李明光(Li Mingguang、リー・ミングゥアン)の口癖である。

もっとも、欧米人用の服そのままでは中国人には合わない。裁断のし方や色使いの好みも違う。中国人の好みを勘案しつつ、しかも価格はZARAより3割ほど安価とくれば、近年のURの快進撃も納得できる。

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UR創業の地は広州/Photo by Chilam Siu on Unsplash

2.商品管理の最新技術が加速させるスピード

URの強みは洗練度だけではない。商品開発から店頭に並べられるまで、1週間しかかからない。アパレル業界ではかなり早い方とされるZARAでも、通常2、3週間かかるというからダントツの速さだ。そのおかげで毎週100品目以上の新製品を売り出し、基本的に2か月で棚に並べた商品は入れ替えられる。

2018年には、シリコンバレーに本社を持つCentric Software社と提携し、PLM(製品ライフサイクル管理)システムを導入した。急速な店舗拡大とIoT化、今後予定されている海外進出に備えて、さらなるスピードアップと効率化を図っている。

3.ハイテク装備の実験店舗

もっともURが追及しているのは、スピードだけではない。顧客にスムーズかつ楽しいショッピングを体験してもらう工夫も怠らない。上海の世博源ショッピングモールに2018年オープンした実験店舗は、そんな工夫を詰め込んだハイテク尽くしの店舗だ。

会員限定店なのでまずは会員になる必要がある。入口の脇に設置されたフィッティングミラーの前に立つと、ミラーには体型データが表示される。

入店するとMサイズで統一された各種の服が、100点ほどハンガーに掛かって並べられている。ハンガーにはセンサーが内蔵されているので1点手に取ってみると、傍にあるディスプレイスクリーンにその服を着たモデルの姿が映し出された。服についての詳細なデータも表示される。試着をしたければ、画面に出ているQRコードをスマホで読み取ればいい。後は指示に従ってサイズを指定すれば、自動的に2分ほどで服が準備される。試着室の前にあるスクリーンには、準備状況が表示されるから安心だ。

試着室ではただ試着するだけではなく、自動撮影機が設置されていて写真も撮ってくれる。試着が終われば服はそのままにして、手ぶらで出てくればいい。買う服が決まった場合は、出口の脇にある自動精算機で支払いをする。以上の一連の流れが、ほぼスタッフの手を煩わせることなくできる。実際に体験してみると、みなそのスムーズさに驚くという。

4.今や目標は「中国のZARA」から「世界のUR」へ

これまでは中国国内にしか出店してこなかったURだが、創業10年を迎えた2016年、シンガポールに海外第一号店をオープン。2018年にはバンコクやロンドンのショッピングモールにも出店した。

URにとって念願だったヨーロッパ進出は、現地の消費者向けに販売し嗜好を把握することももちろん目的だが、ロンドンに遊びに来た中国人観光客に対し「世界が認めたUR」を印象付ける狙いもあるといわれている。

今後はアメリカ、フランス、そして日本などの市場にも参入し2020年中に国内外で400店舗を達成したいという。今や目標は「世界のUR」のようだ。

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中国独自のファストファッションブランドURBANREVIVOの秘密|海外ファションニュース・アジア
https://world-fn.com/urbanrevivo-china-fastfashion/

参考


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