Mリーガーが麻雀道とか言い出す前に

朝倉が勝てない。

3月19日の対局でラスを引き、レギュラーシーズンから数えて5連ラスだ。

本人のツイートを見ると内容的にも良くなかった、という自覚があるらしい。

僕のような凡人には知る由もないことだけれどそんな気に病むようなことじゃあるまいと正直思う。

だってそんな戦える手あった?

毎回酷い配牌ばっかりでたまにめくりあうと負けて。あんなん誰が打ったって勝てないでしょ。所詮運ゲーだと思って割り切っておくくらいでいいんだよ。

ああやって朝倉みたいにいろんなディテールを突き詰めていく人を見ると

かつて大毎オリオンズ(今のロッテだ)にいた榎本喜八という選手の話を思い出す。

リンクは彼のwikipediaだけれど、ちょっと世代が昔で、僕は現役時代を知らない。

でも、学生時代にラジオ局のスポーツ部で、ADのアルバイトをしていた頃、アナウンサーに彼の話を聞いたことがある。

プロ野球が休みの月曜日。ラジオ局で資料を整理していた僕に、そのアナウンサーが話しかけてきた。

どんな選手が好きなのかとかいろいろと聞かれて、野球部出身だった僕は好きなタイプの選手を挙げた。たしか篠塚とか前田だったと思う。打撃センスに優れた安打製造機が結構好みだったのだ。

「ああ、そういうタイプが好きなんだ。昔大毎、今のロッテね、に榎本って選手がいたんだけど榎本のことは知ってる?」

ほとんど知らない、と僕が答えると、局アナ氏はエピソードをいろいろと教えてくれた。中でも印象に残っているのが

「榎本はね、とにかく文字通り求道者だった。ポテンヒットなんかで出塁してもにこりともしなかった。逆に会心の当たりが正面に飛んでゲッツーになってもニコニコしているような選手だった。自分にとって野球というのは究めるべき道だと心から思ってた。だからとにかく細かいところにこだわる選手だった。そのせいで精神を病んでしまったんだな。榎本がもう少し良い意味でいい加減な選手だったらって俺はつくづく思うよ」

今、朝倉のツイッターを見ていると、僕はその話を思い出す。朝倉、麻雀楽しいか?って聞きたくなる。

どうせ人間のやることなのだ。全てを背負うなんてことはできないし(なんて傲慢な考え方なのだ)全てを読むこともできない。朝倉に限らず、Mリーガーは少し悲壮感を漂わせすぎだ。

一生懸命打つのはいいけれど、背負いきれないものを背負いに行って、考えなくていいことまで考えている。

不完全情報ゲームはどうしても最後は運だ。わからないことはわからないでいい。読めないことは読めないでいい。

もっと笑え。そして一牌の後先に泣け。

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