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特攻精神を「お笑い」と「歌」で表現する”アップダウン”さん

戦時中の特攻隊の生き方に触れたことをきっかけに、「自分たちが今生きている時代に、ただ面白いことだけではなく何かを届ける」そんなお笑いができないだろうか?常に本質的なメッセージを持ち続けているお笑い芸人のアップダウンさんにお話を伺いました。

アップダウン プロフィール
1996年北海道札幌月寒高校在学中に阿部浩貴(あべひろき)さんが声をかけ、竹森巧(たけもりたくみ)さんとお笑いコンビ「アップダウン」を結成。
竹森さんは2005年4月「ぬか漬けのうた」がNHKみんなの歌に採用。2017年に歌手の岩崎宏美氏に楽曲提供した「絆」がシングル曲に採用されるなどシンガーソングライターとしても才能を発揮。2018年12月にサッポロファクトリーホールで行われた150本ライブファイナルは700名のチケットが完売動員するなどミュージシャンとしても幅広く活動している。また、阿部さんは数多くの舞台に役者として出演し、演技力と歌唱力が評価されミュージカル俳優イベントに優勝する。
またキャラクターデザイン、オリジナルアニメの製作を行う他、多くのアーティストのCDジャケットやビジュアルデザインなどを担当している。2019年二人芝居劇「桜の下で君と」をミュージカル脚本家まきりかさんと共に脚本、演出はアップダウンが行なっている。戦争、しかも特攻というシビアなテーマに音楽劇という新しい表現スタイルにチャレンジをしている。
座右の銘:阿部浩貴「我が生涯に一片の悔いなし」
         竹森巧「意味のない事なんて何一つない」 

北海道でエンターテイメント文化を作ること

Q1: 今後やっていきたい夢はありますか?
竹森:今は北海道のエンターテイメント文化を作ることです。その文化がどういった所で出来るのかと言うと、やっぱり常設(常に設けられている劇場など)なんですよね。常設の劇場、施設があるかないかで全然変わってくると思うんです。
エンターテイメントはあるのに、それぞれが個々にやっていて全然まとまらない所がクオリティ—をあげることに繋がらない。

うちうちに籠り過ぎるんじゃなくて、もっと外に目を向けて「あそこはすごい」「そういうところはダメでしょ!」など率直に意見し合う事で「何クソ精神」が生れ、相乗効果で切磋琢磨すると思うんですよ。
例えば、関西だったら、吉本、なんばグランド花月、落語協会もあったり、松竹(大阪松竹座)、宝塚(歌劇)などがあります。そういった発信のエンターテイメントがあり、そこで切磋琢磨するわけですよ。

意識を作る作業作り

Q2: 今後、常設を作るためには、どんなアクションを?
竹森:常設の劇場を作るのが目標なので、そこに向けて臨機応変にやっています。今進めているのは、エンターテイメント業界の人たちや、それ以外の業界の人達に同じ意識を共有させてもらってます。常設作りは新たな常識を作ることだと思うんですよ。常設をつくったら「こんなメリットがあるんだ、こんなことが出来るんだ」とかね。
そういった常識が芽生えたら多分、みんな作り出す。その意識を作る作業ですよね。
阿部:今度12月(2019年)にそういうライブを計画しているという段階なんですよ。僕ら吉本の芸人ですけど、他の事務所でお笑いやっている方とか、いろんな歌手やアイドル、マジシャン、その他いろんなエンタメの人達とライブを通して交流していく。そういったパフォーマンスやっている人達と板(ステージ)の上に立つとより分かり合える。  
竹森:その都度、必要な何かが現れると思います。

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日々、自分の心に素直になる

Q3: 日々意識して心がけていることありますか?
竹森:「逃げない。」こと。とにかく何でも「逃げない。」と決めています。例えば「お前と話しても先に進まんわ」と言うのは、ある種これは逃げだと思う。時間が許す限りなんですけど、自分が面倒臭いからという理由で、途中で辞めることはしない。
逃げている人が嫌いってだけなんですけど、結構な人が逃げていると思うんですよね。

記者:確かに逃げている人は多いと思いますね。では、阿部さんはどんなことを日々意識してますか?

阿部:できているか分からないですけど、自分に素直になることですね。 例えば、「俺キムチ嫌いだな」って40歳超えて初めて思ったの(笑)。普通に缶ビールとキムチを買って家で食べてたのに、よくよく考えたら好きじゃないなって気づいた。「ビール飲みたい、何かつまみ欲しい、野菜はヘルシーだからキムチ」みたいな感じで。要するに流れで買ってたんですよ。

そんな風に「これ好きなのか?」と1個1個考えだすと、アップルパイ大好きとか、いろんな好き嫌いが40歳超えてからハッキリしてきたんですよ。

そうすると、この人の笑いが好き、この人の芝居が好きとか出てきたりして。
自分の価値観が構成されていくんです。

記者:日々、いろんなことを立ち止まって考えているわけですね。

阿部:考えようとして考えているわけじゃないけど「これどうなんだろう?」「自分にとってこれどうなんだろう?」って自分の好きなこと、嫌いなこと、世の中の人が思うことを自分はどう思うのか?そんなことを考えるようになりました。

記者:お笑い芸人としてメッセージを発信しているので相手がどう思うのか?常に考えているんでしょうか?

阿部:
僕は多分、0から自分を作ることができないと思う。自分はずっとお笑いやってきて、どこかのお手本や、この人の芝居いいなって思うもの、自分の経験値、お笑いの方程式を咀嚼しながら構成している気がしてるんです。それがいつかオリジナルに変換する気がします。

一回だけのコンビのはずが

Q4:もともとお笑い芸人になるきっかけは何ですか?
竹森:阿部が「元気が出るテレビのお笑い甲子園に出たい」と言って、高校の同級生と別のお笑いコンビを組んでいたんです。

そのコンビで全校生徒の集まる送る会のイベントにエントリーしていたんです。それが本番3日前に、その相方がおじけづいて「俺出ねえよ」って言い出したんです。

それで阿部に「全校生徒1000人の前で一人でどうすればいいんだ!助けてくれ!」って言われて。自分は「絶対に出ないよ!」て断ってました。でも「頼む、1回だけでいいから!」と言われて・・・「しょうがないから、ボランティア精神で1回だけやろうか」と言ったんです。それがアップダウンのコンビを結成したきっかけです。 

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記者:ボランティア精神からコンビが生まれたんですね。(笑)

竹森:お笑いも見たことないし、しかもお笑いが好きじゃなかった。 TVでドリフターズさんの番組は見たことありました。でもその番組がやっている土曜の夜8時には「明日から休みだ!」というテンションが上がって、知恵熱が出て具合が悪くなっていたんです。そんな具合悪い中で見ていた番組なので、好きになれなかった。 

記者:それでどうして、今もお笑いを?

竹森:阿部と全校生徒の前でコンビをしてやり終わったそのタイミングで、吉本が札幌に事務所を作ったんです。

その後に、UHB(北海道文化放送)で、オーディション番組がトミーズさんの司会で、行われるようになったんですね。

それが高校2年生の時で、1個上のタカトシさんがオーディションを受けてたんですけど、阿部がそのお二人の漫才のビデオを持ってきました。それが初めて漫才を見た時だったんですね。そして今度は、このオーディションを受けに行こうって阿部に言われました。

「え?1回だけって言ってたのに?」って思ったけど、オーディション番組に出るためのネタを作ろうって言われたので、作ったんです。

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それで、オーディションを受けにUHB(北海道文化放送)に行くんですが、どうやらオーディションのネタは1、2分だったらしいんです。それを知らずに15分のネタ持っていってしまったので、4分ぐらいネタをした時点でSTOPが入りました。吉本のプロデューサー、所長さんから「長い」と言われてオーディションを落とされたんですね。

その当時は訳が分からず「まだ面白い所まで行ってないのに!」と腹が立って、次のオーディションに参加するために1、2分のネタを作り、オーディションにまた参加することになりました。

記者:いわゆるなにクソ精神」でやり続けたわけですね。

阿部:自分の場合は、お笑い芸人に憧れもあったんです。月寒高校は進学する学校なので、みんな受験するんですよ。 自分は受験勉強が嫌だったので、オーディションを受けることを就職活動にしようと思い、オーディション受け続けたんですね。

記者:なかなか面白い理由ですね。

竹森: お笑いが好き、テレビ出たい、司会になりたい、お金持ちになりたい、女の子にモテたい、とかそんな感覚じゃない。オーディションに受かったから次のネタを作る。そしてオーディションのお笑いですべり、それに腹が立ち、さらに作り直す。そうこうしている間に2年間ぐらいオーディションを受け続けることになり、高校卒業し、気づいたらいつの間に吉本に入ってたんですよ。

阿部:ご存知の通り吉本は契約も何もないんです。
竹森:その後は、東京でオーディションが受かってレギュラー番組を持ち、そこから東京へ行くようになったんです。
阿部:お笑いのほうでは20代前半までは、とんとんとんって(上手くいく)感じでしたね。

本質を発信する開拓精神

Q5:それでは質問が変わりますが、アップダウンさんが一番大事にしていることは何でしょうか?
竹森:本質です。
記者:本質?特攻隊の内容をお笑い、歌、劇などで表現するのが本質ということでしょうか?

阿部:
本質は言葉にすると難しいんですけど、「これで売れたい」とか、「人気出たい」とかっていう「エゴ」だと作品の伝わりが全然違うと思うんです。

最初僕は、特攻隊2人劇に対して、お笑い芸人が戦争を取り扱うなんてデリケートなところがあるので厳しいんじゃないか。戦争の史実を調べないといけないし、ちゃんとやらないと叩かれたりする、と思って反対していたんです。

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( 写真:アップダウン二人芝居劇 音楽劇 桜の下で君と )

けれども、2人乗りの特攻隊の話を竹森から聞いたときに、とてもドラマティックだと感じ、自分達でこの作品作ったら「とてもいいのができるんじゃないか」と思ったんです。

戦争を知っている方が90歳以上になっていて、しっかり伝えようとしても若い人達がしっかりとそれと受け取れるのかな、と疑問に感じました。

だったら、お笑いや歌を使った自分たちのやり方で戦争というものを、若い人にも届けられるんじゃないか、分かりやすく伝えられるんじゃないかな、と思ったんです。二人の特攻劇を東京公演をやってみて、そこに着地できたと実感しています。

お笑いで元気になったり楽しんでもらうのは、もちろんありますが、お客さんに診てもらう商売をしているので、お客さんが自分達の発信したものを「どう持ち帰ってくれるのか」ということを素直に突き詰めたら本質になってくるんですね。

特攻隊の方達が戦争のことを伝えたい想いを、ちゃんと僕らが純粋に受け取って発信していたら、それが(本質)を発信していることに辿り着くような気がするんです。考えたり、言葉にすると全然分からないですけど。 

本質を考えるきっかけの事件

Q6:なぜそんなにも本質を伝えたいと思うようになったんですか?
竹森:そう言われると前世の話になっちゃうと思うんですけど、これはもう遺伝子レベルで受け継がれているじゃないですかね。自分の考えじゃないっすよ、これ(本質)。自分が本質を伝えようとしていることなんておこがましいです。
記者:そんな本質のことを考えるようになったのは、いつ頃からですか?
竹森:そこまで達観している状態まで腑に落ちてないけど、子供の頃から違和感を感じるんです。 
記者:どんな違和感ですか?
竹森:良いものは消されるんですよ。強いものに良いものが消されるです。例えば幼稚園の時に、すごい横暴な顔が黒いヤツがいたんです。他の園児達が、彼のことが嫌なのに、そいつの言うことを皆んなが聞くんですよ。

でもそんなことは絶対にダメだろうと思って、他の園児、そして担任の先生が見ている前で顔の黒いヤツに僕は決闘を挑むわけですよ。

そして、自分が出した手がたまたま相手の鼻にあたって鼻血がブーと出て、決闘に勝つんですよ。当然のことながら、みんなで「ウォーって!」叫んで、自分はヒーローになって賞賛の声を浴びるわけです。

実は顔の黒いヤツがどうしてそんなに横暴なことができたかというと、年上の小学4年生の兄がいたんです。

幼稚園の帰り道に階段を登ろうとした時に、その年上のお兄ちゃんと友達が上から睨みきかせられて「お前このやろー弟をよくも!」と、報復にきて自分がボコボコにやられるわけですよ。

その時に、決闘に勝った時に「わーい、わーいっ」と賞賛していた仲間の園児達が見て見ぬ振りをして逃げるわけですよ。
今考えたら逃げるのは当然ですよ。だって怖いもん。けれども、その時は「皆んなあの時一緒に喜んでいたじゃないか?」と思いました。

「何でだ?人間ってなんだ?」と。そこから次々と「人間ってなんだ?」って思うようになることが起きるようになりました。

記者:そんな小さい時から「人間とは何か?」と考えるようになったんですね。 

竹森: 小さい頃からそんなことを考えているので、あまり友達がいなかったですね。 
記者:見て見ぬふりをして逃げる友達をみた竹森さんはその時に「逃げない」と決断したんですかね。

竹森:そうかもしれないですね。逃げて良いことないし、逃げたとしても、別のことで補うしかないので辛いと思うんです。

記者:その体験があったんですかね?
竹森:具体的なことは分からないですけど、やっぱり逃げた人の末路って、ちょっと悲しいと思うんですよね。

あい(愛)にきてください。

記者:最後に読書に向けてメッセージはありますか?

竹森:とにかく愛がすべてですね。  愛以外いらないんじゃないでしょうか。 

愛は、良い悪いではなく、「どんな時も笑える自分を作る」みたいなことだと思うんですよ。

記者:良いも悪いもなく、それがどんな時でも笑えるということが本当の愛のイメージなんですね。素晴らしいですね!阿部さんはどうですか?

阿部:メッセージですか、そうですね・・・。まずは、ぜひ劇場へ足を運んでください。どんなことでも体感しないと分からないですし、ここで面白い話しをしたとしても、実際に劇場に行ったら面白いことやってないかもしれないし。一度見てみて、感じることもありますし。

竹森:ぜひ、あい(愛)にきてください。

記者:貴重なお話しありがとうございました。以上でインタビューを終了させて頂きます。ぜひアップダウンさんの二人劇を見に行き、会い(愛)に行こうと思っています。

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アップダウンさんの活動、連絡についてはこちらから  
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【編集後記】インタビューの記事を担当した中西&原田です。

後先を考えずに「できない理由が分からない」と自分がやるべきことをする竹森さんと、石橋を叩いて渡り現実を作り出す阿部さん。この2人のコンビが繰り出す融合がとてもバランスが良く素敵だなと思いました。

それと「逃げない」という心がけをしている竹森さんが「特攻隊の話を聞いて、涙する人は多いですが、命を燃やしてシンプルに生きれたことは幸せだったんではないかとも思う」と語った瞬間に、敵戦艦に突っ込んでいった特攻隊と重なり合いました。生死を超えた人間の本質を垣間見たインタビューになり、あっという間に2時間が過ぎてしまいました。

公には記事に出来ないような話がたくさん飛び交い、今回はそれを削除する編集作業が大変でしたが。。笑

そのアップダウンさんの本質を発信しているあり方は、実際に彼らのステージを見ることが一番早いと思いますので、今後の公演や、二人劇、お芝居などで、それを感じて頂けたらと思います。ありがとうございました!

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