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#10 精神科病院に35年入院していた彼との日々。

わたしが 精神障害者のグループホームに勤務し、1年目の時の話です。

18歳で精神科病院に入院し、53歳で退院の彼に出会いました。

若い頃は、家庭で派手に暴れていた彼に実母は恐怖心を抱き…彼と一緒に暮らすことを拒否していました。 

母が亡くなったこと、
精神科病院の在り方が隔離→地域への動きがでてきたことで、
彼に退院の話がでるようになったのです。

彼自身は、退院を希望していませんでした。
彼の暮らす場所は、すでに病院だったからです。

・買い物をしたことがないので、買い物できない。おにぎりを買ってきたら?と、提案したらおにぎり煎餅を買ってきました。
シャンプーは、いきなり詰め替えタイプで、毎回派手にこぼしてました。

・拾い癖があり、電池やラジカセなど、ゴミ集積場から持ってきてしまいます。最大壊れたラジカセ4台、ラジオ3台に囲まれてました。
1番びっくりしたのは、工事現場で休憩中の作業員さんの靴を持ってきてしまったこと。2人で謝りに行きました。

・熱が出ていても、気づけない。副作用でパーキンソン症状があり、急に歩行が早くなってしまい、たびたび転倒してしまうのですが、かなり出血してもそのまま放置でした。

まだまだ、エピソードは、あります。

病院の中では、トラブルなし、問題なしの彼は、地域ではたくさんの失敗経験を繰り返しながら…その後、介護保険になるまでグループホームでの暮らしを13年続けました。

旅行が好きで、グループホームの旅行はいつも実行委員に立候補してくれました。

上手に失敗体験をすることは大事。
好きな事、楽しい事はやっぱり力になる。
あの時は〜wの思い出は、合言葉。

この他にも、
たくさん教えてもらったことがあります。

彼は、2年前に亡くなりました。
今は、お父さん、お母さんのいるお墓に一緒にいます。

ふっと時々思い出す彼との日々です。

明日は、いよいよOmoshiroでの初イベントが準備されていませ。イベント開催までのエピソードを書きたいと思います。

今日は、皆既月食
曇りで見えないぞー!!

BY.スグロ