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はなむけの言葉2「あの鐘を鳴らすのはあなた」

 こんばんは。3月もあっという間に一週間が過ぎました。
 卒業生に贈りたい言葉として、3/1の記事で、王之渙の詩「登鸛鵲楼」について書きました。

 今回は、もう一つのはなむけの言葉について書きます。和田アキ子さんの歌「あの鐘を鳴らすのはあなた」(作詞・阿久悠、作曲・森田公一)です。動画サイトで聴けるので、よかったら再生してみてください。
 それにしても、和田アキ子さんのワンピース姿はすてきですね。芸能人にはいろいろな評価がつきまとうものですが、私は和田さんの歌唱を聞くといつも心が動かされます。声はもちろん、歌う姿にも。プロだなあと思います。

 歌詞の一部を引用してみましょう。

 あなたに逢えてよかった あなたには希望の匂いがする

 「あなた」とはだれのことでしょうか。
 ここで私がこの歌詞をはなむけの言葉という文脈でみなさんに贈るとき、「あなた」とは卒業生一人ひとりのことだと理解できます。「あなた」を卒業生として読む場合、2番の歌詞には(少し無理があると感じられるかもしれませんが)、人間愛といっても過言でない、人間同士のつながりを得られたことを素直に感謝する気持ちが描かれていると解釈できます。やさしさ、いたわり、ふれあう事・・・この詩に述べられているのは、まさに人間愛の復権です。教育の仕事は人間同士のつながりを築く仕事。その基礎となるのは、教師と学習者のあいだに築かれる人間関係であるはずです。
 もちろん「あなた」は他にも考えられます。たとえば、誕生したあたらしいいのち、つまり赤ちゃんのことだと解釈することもできます。また、恋人やパートナーを代入することもできるでしょう。

町は今 砂漠の中  あの鐘を鳴らすのは あなた

 「砂漠の中」というのは比喩でしょうから、その言葉の意味するところを具体化して読み取ってみましょう。まるで砂漠のような町、砂漠の中で生きているようなのです。人影もなく、緑もなく、強い風が吹きすさび、あらゆるものが湿度を失い、ざらつき、かさついている。そんなイメージでしょうか。互いに孤立を深める人間の姿、人間関係の乾ききった社会の姿が思い浮かびます。
 この楽曲は1972年3月25日に発売されたそうです。その頃はどんな時代だったのでしょうか。時代背景から推論するのも大切ですね。
 それと同時に、この歌が時代を越えて愛される理由を考えると、やはりいろんな状況にあてはまるんだと思うんですよね、この歌詞が。詩としての言葉の選択、具体性の削ぎ落としがうまいからでしょうね。
 新型コロナウイルス感染症の拡大をうけて、予定していたイベントが次々にできなくなり、楽しいニュースも少なくなり、情報量と不確実性ばかりが増大して、なんだか疲れてしまったなあ。そう思っていたときにも、わたしはこの歌を思い出しました。

 開けた時代にも、閉塞感の漂う状況の中にあっても、子どもたちとの出会いのなかにつぎつぎに希望の匂いをかぎ取っていくことのできる仕事として学校教育が続いていきますように。

 この春ご卒業されるみなさん、本当におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

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