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さゆり奥様ストーリー【3】

結果、妻は俺に対して溜まっていたことを吐き出し、俺は妻の容姿を批判した。
 互いに段々と声のボリュームが大きくなってゆき、二階の部屋で眠っていた大学生の息子と高校生の娘が間に入る騒動にまで発展した。
 子供たちが間に入ったことで、一旦は落ち着いたが、俺は財布と車のカギを持って家を出た。頭を冷やすためだ。
「あいつ……、こっちは稼ぐために苦労してんだぞ!」
 運転席に入った直後、俺は文句を吐き出した。
 妻の不満の大半が「家事に協力的じゃない」といったことだった。
 事実、俺は仕事が忙しく、家のことはすべて妻に任せている。だから、コーヒーの淹れ方すら分からなかった。
「家にいたら、イライラする。どっか出掛けよう」
 俺は車のエンジンをふかし、家を出た。

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