さゆり奥様ストーリー【2】
妻が俺の淹れたコーヒーを口にした。 「薄い」 一口飲んだ後、妻は顔をしかめてコーヒーの味に文句をつけた。 「……水っぽいけど、コーヒーだろ」 コーヒーを口にいれる。
いつもより水っぽいが、コーヒー独特の香りと苦みはある。 「インスタントのコーヒーは一人前なの。朝食にいつも淹れてるやつは、隣の粉になってるコーヒー豆をフィルターにかけて使うのよ」 「へえ……」 知らなかった。
俺の手元を見てないのに、コーヒーの味が薄くなった原因が分かっている妻をみて、俺は感嘆の声が漏れた。
実際にインスタントコーヒーが仕舞ってある棚の隣に、挽いたコーヒー豆と紙フィルターがあった。
いつも朝食に出されるのはこれを使っているのか。 「ごめん、次からそうする」 俺は素直に謝った。 「はあ……」 妻はわざとらしくため息をつく。
「コーヒーも淹れられないなんてね」 ぽろっと愚痴がこぼれた。
それを聞き流すこともできたはずだが、俺は妻の言い方にカチンときた。
「仕方ないだろ! やり方知らなかったんだから!」 俺は逆ギレし、強い口調で妻に言い返した。
そこから、最悪な夫婦喧嘩に発展した。
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