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栃木SCの躍進と課題についての考察

こんにちは!

今回は大宮サポとしてではなく、いち栃木ファンとして記事を書かせていただきます。今回は躍進と課題についてです。

実は昨年から注目しているチームでこの躍進は予想通りだと思っていました!ひいきの塩さんや川ちゃんもいるし、大宮サポにとっても今後見るのが楽しみチームです!

もう一つはいい意味で「弱者が強者を食うサッカー」だと感じるからです。学生で選手だったとき、きっと相手はこういう思考なんだろうな…というのが手に取るようにわかる。いわゆる「攻撃的守備サッカー」が私の選手時代そのものだったのもあって、本当に親近感がわきます。これが試合を見ようと思ってきっかけです。

では雑談はこの辺に、本題に行きましょう!

1 攻撃的守備サッカーのシステム

みなさん栃木についてどう思いますか?プレスをかけまくる、走り回るイメージが強いと思います。ただこのサッカーの本質は「攻撃的」だと思います。その中で、カウンターに特化することで、異質に変質した守備陣形。それにを成立させるために、運動量が必要になってるのだと思います。繰り返しますが、「攻撃的」だと思います。

図1

栃木SC基本フォーメーション

今回はジュビロ戦を参考に、一番多い、442をベースに考えていこうと思います。

図2

栃木SC右肩上がり

図2を見てください。以前話題になった「右肩上がりの守備」です。根本的な理屈はSHとSBがセオリーよりも一列高い位置で守備をすることで、相手バックラインをほぼマンツーマン状態にすること。これが基本的な形です。普通逆サイドのSHやSBにはよほどのことがない限り、ダイレクトでここに来ることはありません。だからSBはCBのカバー、SHは相手SHのケア。展開してきたら、一列ずつ前にでる。これが基本的な守備。そうしないと、CFとCBが数的同数になってしまうからです。ただこの守備陣形ならボール奪取後、前線4枚のため、カウンターの威力が半端じゃない。

ただこの陣形、違和感ありませんか?この424の陣形は本来、ボール保持しているチームがブロックを崩す際によくみられる陣形です。それを守備で成立させているんです。これがすごいところ。だから「攻撃的」。

図3

栃木SC弱点

当然、これだけのことをやれば守備に穴はできます。とにかくこの守備を成立させるには、前からどんどん人が出てこないと成立しない。つまり超コンパクトに陣形を保つ必要があります。そのため図3で示したところに広大なスペースがあるんです。特にCBの裏(ここはキーパーが処理したい)とCHの脇ですね。CBの裏に関してはもともと川ちゃんがフィールディングがうまく、塩さんがコーチングに長けているのであまりやられません。むしろCH脇ですね問題は。覚えていたほうがいい、見るべきポイントは、プレスはがされるかどうかはともかく、とにかく縦パスが入ると一気にカウンターをもらう可能性が大きいということです。スペースがこんなにあれば当たり前ですね。

これに対する田坂監督の答えが、昨年終盤に見え隠れしていたので期待してました。答えが「運動量」です。とにかく縦を切り、ボランチに出させないのはもちろん、この陣形だとフィードもまずいので、容易に蹴らせないくらいCBにプレッシャーをかける。ずらされても、二度追いをしてやすやすと蹴らせないことで解決しています。とにかく明本選手が本当にすごい。

ブロックを敷いた、ゾーンディフェンスも見事。相手のバックパス、遅い横パス、トラップミスなど、遅れるタイミングを各選手が判断して、惜しまずスプリントをかける。こんなことを使い分けているので、そりゃ強いですよね。(ゾーンのやり方は以前の記事を見てください)

2 課題と今後の展望

CH脇の弱点を突く手段はいろいろあるので割愛します。今回はジュビロ戦で相手のロングフィードが多かった理由について考えてみたいと思います。当然、前からくるので、嫌がって前に蹴ることもあると思います。ただ、本質的にはこれが成立するような陣形なのが今の栃木の守備だからだと思います。

〇ロングフィードの多用

図4

栃木SC 弱点の突き方

前述しましたが、とにかくこの陣形は前に蹴らせてはいけない。特に相手CFがフィジカルに優れている場合。図4を見てください。今回試合中かなりあったのはこの形(ざっくりですが)。フィード⇒収められる⇒展開⇒押し込まれる。まずセカンドボールを拾えない理由ですが、そもそも前にベクトルが行く際にセカンドボールを拾うのはかなり難しい。ボランチを例にすると、一回反転して追いかけますよね。その時点で運動量どうこうではなく、「遅れてしまう」んです。後ろ向きなんですから。運動量はあるうちは、すぐ戻って帰陣してブロックを敷ける。ただそうならないときがくる。後述しますが、それが必然の遅れなんです。

ジュビロ戦で多用されたのは理由はシンプルでルキアンの存在でしょう。ここと空中戦で戦えていたのが、田代選手だけでした。この陣形できれいに裏にボールが行くことはほぼない。ならCFの頭の上での空中戦になります。この時に、特に一失点目以降、高杉選手側が裏抜けや空中戦にかなり対応できていなかったので、フィード⇒セカンド回収⇒押し込むほうがリスクがかからないから多用したと感じました。とにかくこの陣形やゾーンも使うなら、CBは空中戦で絶対に負けてはいけない。

〇ポジションチェンジによるミスマッチ

この試合では大森選手がそうですが、守備に堅いイメージがある割に、選手の流れる動きにはあまり対応ができていない印象がここのところ感じます。基本は受け渡しですが、そこがうまくいかない。流れる動きはともかく、大宮や徳島みたいなミラーマッチではない、後ろから繋ぐタイプのチームにはかなり手を焼くことになるように感じます。そう考えると塩さんのコーチングがないのは、かなり痛いですね。

〇押し込まれる時間

もう一つはゾーンをする場合に、押し込まれる時間が増えるのは必然です。大宮の場合は守備のスイッチがあいまいで連動していないから押し込まれます。ただ栃木の場合は、昨年の大宮のような理由を感じました

図5

栃木SCブロックの弱点

図5を見てください。このシーン多くありませんか?基本、栃木は低い位置でとってもほとんどつなぐことをせずに、矢野選手にボールを預けようとしますよね。これ、昨年の大宮もなんです。これ結構問題です。ほぼパスワークがないのはわかってますから、相手CBは必ずCFに強く出ます。相手は前向きに守備するため、高確率で収まりません。昨年の大宮にもフアンマ、今年はイバが加入しましたが、このレベルのフィジカルでもそう何度も収まるもではありません。だから取れてるのに、陣地奪回ができない

3 今後どうしていくのだろうか?(こうあって欲しいと思う変化)

ではどうすればいいのか。色々考えありますが、ここでは私の私見を書きたいと思います。基本的にはこの守備を「変えてはいけない」と思います。あくまでも変化を加えるだけ。

栃木の守備には穴はあります。それは当たり前で、穴のない守備なんて存在しない。そしてそれを埋める肝が「運動量」。それがなくなってくる後半が栃木はどうしてもやられてしまう。これは必然。ならどうすればいいか。それはポゼッションをすることで、守備の時間を減らすことで、運動量を「温存」することで栃木らしさの時間を増やすことではないかと思います。

当然、ポゼッション率が40パーセント前後なので、それは改善しないといけません。ただそんなことはわかってるでしょう。ただそこではありません。

図6

栃木SC改善策

今年の大宮が取り組んでいて、カウンターの良さを失いつつある原因の一つでもありますが、ビルドアップです。基本的にビルドアップはパスワークでつなぐ、川崎のようなイメージですかね。当然それもあります。図6を見てください。矢野選手を見るのは変えない。なら収めやすいように、パスで少しはがして、収めやすい時間を作ること。この少しのビルドアップをすることで、大幅に安定して試合を運べると思います。特にゾーンの場合、必然的に選手の距離感が近いので恐れなければ、比較的やりやすい。これをするだけで、ポゼッションも必然的に上がります。とにかく蹴りすぎることを減らすこと。そしてこれができるユニットが、見ている感じでは西谷選手ではないかと思います

4 最後に

今はチームとして歯車がかみ合って、うまくいっていますが、今年中に高確率で勝てなくなる時期が来ると思います。カウンターでの得点の場合、実は再現性が高くないため、最後は選手の質と運と勢いが大事。昨年の大宮も点が入らなくなってから、歯車が狂いだしました。特に懸念されるのは、栃木のサッカーでキーマンと感じた田代選手・西谷選手・明本選手。この三枚が負傷した場合、一気に失速するかもしれません。それだけタフな戦術を取り入れているチームです。

ただ、最初にも言いましたが、このサッカーは面白い。どんどんチャレンジしつつ、後押しして欲しい。勝たなくても、連敗しても。偉そうであんまり普段言いたくないですが、今年J1で見てみたいサッカーの1つなんです。ぜひ継続して、行って欲しいというのが、栃木サポですらない、いち栃木ファンからの小さな希望です。今後も躍進を楽しみにしてます!

今回はこの辺で!

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