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母の精神が崩壊⑱ 流れに身を任せてみる

母の精神状態が悪化し始めてから、
旦那と言い合いすることが増えた。

壊れていく母を毎日目の当たりにして、
仕事をしていても、
家にいても
友だちと会話をしていても
買い物に行っても
常に頭から、離れることがなかった。
脳が、母のことでいっぱいになっていた。

仕事から帰っても、母のことが心配で
すぐ実家に行っており、
旦那が仕事から帰ってきても、
私が居ない状態が、何週間か続いた。

加えて、実家から帰ってきても、
母から、時間関係なく、
かかってくる電話。

旦那からは、
そんな電話すぐ切れや!
と言われ、喧嘩が始まる。
そんな毎日を、過ごしていた。

母がこの先どうなってしまうのか、
見通しのつかない恐怖。
毎日錯乱した状態で、
かかってくる母からの電話に出る恐怖。

母への対応に神経をすり減らし、
仕事でも神経をすり減らし、
家に帰ってくれば文句を言われ、
責め立てられ、

心の休まる場所がなかった。

絶望した。

こんなことを、
思ってはいけない…と、思いながら

この世からいなくなれば、この苦しみから
解放されるのかな。
そんなことを、思うようになっていた。

極限まできていた自分の精神を、
思考で大丈夫と、押さえつけ、
毎日を過ごしていた。

その頃、産まれて初めて、
体中に大きな水ぶくれの蕁麻疹がでて
痒くて、眠れなくなった。

体は正直。

自分の細胞から
『あなたは精神的に限界がきています』
そう宣告されている気がした。

自分にウソはつけない…

何も用はなかったが、
有給をとり、仕事を休み、
張りつめた、心と体を休めることにした。

お母さんのほうが大変だから。
お母さんに比べたら、ぜんぜん大丈夫…
そう思っていた。

確かに、一番辛いのは、母に違いない。

ただ、毎日精神が崩壊していく母を間近に
見ることも辛かった。

そう…
私は辛かったんだ。

その言葉を口にすれば、
自分が崩れてしまいそうだったのを、
必死に自分で隠していたんだ。

辛かった、という思いを
受け入れた途端、
嗚咽するほど、泣いた。

次の日の朝、通勤時の信号待ち中、
空をみあげると、空高く、
大きく翼を広げ、
飛んでいる鳥を見た。

風に逆らわず、
風をとらえ、
気持ち良さそうに飛んでいる。

私もこの鳥のように、
今、目の前に起きている出来事に、
逆らわず、流れに任せてみよう…
そう思うと、肩の力が抜けた気がした。

その日から、自分の中で
何かが変わっていった。





















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