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本との距離⑫(1100字)

本よりも漫画で、絵を軸に活字に徐々に慣れていった不登校時代(小学3年生、横浜)。家族が持ち寄った単行本と少年誌に支えられながら、カルチャーらしきもに触れていた時期とも言える。

TVアニメ化された作品のおかげもあってか、コロコロ、ボンボン、語呂のいい少年誌にのめり込んでいた。振り返ると、小学低学年がどれだけメディアの影響を受けやすいかがよくわかる。YouTubeはおろか、インターネット検索すらも子どもじゃやらない頃である。

あんなにも本や漫画がテレビと手を組めてのか、その情報にまんまと引っ張られていたのか、時代と幼さの興味深さ、そして小さな恐怖を感じたりもする。「情報リテラシー」とは若すぎるときほど、研磨されたほうがいいのだな。

さて、その後も漫画を軸に人生をのっそり歩んでいくのだけど、タイトルに沿った「本との距離」を思い出していきたい。

小学4年生に上がる手前で、同じ横浜市内で引越しすることになった。転校で心機一転したのか、ここからまた学校に行くようになる。だけど、あんにも本との接点をつくり、広げてくれた「図書室」という存在からは距離を置いた生活が続いた。

授業で図書室にみんなで行くときとか、最低限の利用に留まり、その関心は遊びのみに注がれていた。

先ほど触れたコロコロコミック作品で、ちょうどアニメ化もされた釣り漫画『スーパーフィッシング グランダー武蔵』に刺激され、ルアー釣りに夢中だった。もちろん、それ以前に、漫画童貞を奪った『釣りキチ三平』『釣りバカ日誌』の影響も多大であった。

また「お笑い」に興味を抱き始めたのもこの頃で、テレビで「吉本新喜劇」を観るようになっていた。そして、ほとんどの余暇を使っていたのがゲームで、特に、ゲームボーイの『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』はやり込んだ。人生初の発売当日に手に入れたゲームでもあるので思い出深く、その発売を待ち侘びていたのは『Vジャンプ』のおかげでもあった。

学校には可もなく不可もなく行けるようにはなったが、そういった遊びに現を抜かし、本との距離はどんどん遠くなっていった。強いて唯一手にとっていたのは、釣りの仕掛け(ルアーや針の付け方などが解説される)などを指南してくれる本くらいか。しかし今思えば、「実用書」に触れるようになったのはこの時期であり、微々たる変化はあったようだ。

4年生の二学期が終わる頃、友達と仲良く慣れたかどうかも不明なタイミングで、母の出身でもある沖縄の伊平屋島に引っ越すことになる。ここで生活環境は大きく変貌を遂げる。

都会から田舎へ。慣れぬ島暮らしを通じて、本との距離はどうなっていったのか。


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