あのときの、あいつが。

身のまわりの変わり者がどうなっていくのか、を眺めるのは、もしかしたら人生の楽しみのひとつになるかもしれない。

初めて『ピンポン』を観た。映画のほうでなく、アニメのほうを観た。

『夜明け告げるルーのうた』をきっかけに、『夜は短し歩けよ乙女』『DEVILMAN crybaby』『四畳半神話大系』という順番で、湯浅政明の手がけた作品を観てきたが、その流れで『ピンポン THE ANIMATION』を。

(↑ぜんぶNetflixで観れるやつ)

映画版ピンポンは観たことなく、窪塚洋介がヒーローポーズをとっている画を土曜映画ロードショーなどのCM告知でなんとなく記憶してるだけで、勝手にギャグスポーツ作品だと思っていた。おそらく稲中卓球部と一部混同していたのかも。

水戸黄門の歌詞にある「後から来たのに追い越され~♪」じゃないけど、真逆の性格同士のペコとスマイルが、幼なじみがゆえの感情織り交ぜながら、卓球と向き合っていく姿が描かれていて、「少し泣く」のようにところどころ印象的なセリフがあってよかった。

(ちなみに、映画版も観てみたけど、アニメのほうが尺があったぶん、登場人物それぞれの背景(なぜ卓球をやっているのか?)について丁寧に描かれてた気がするし、そのせいか、彼らが吐くセリフの前フリが効いててグッとくるシーンが多かった。あと精神世界を描くのはアニメのほうが強いなぁと思ったり)

アニメを観ながら、気になったことがあった。なんか聴いたことある声だなぁ、ふと思ったのだ。中国から留学してきた選手、コンウェンガの声に。

エンドロールの声優を確かめてみると、おぉまじか、と思ったが、それは彼が大学のときの同級生だったからだ。東京外国語大学日本語学科、45名定員の中で、日本人は15名、留学生が30人がいて、その中の一人であったのが彼だ。

日本語は流暢で、論文も書ければ、ディスカッションも問題なし。一時的留学生ではなく、ふつうに日本人のように4年間を過ごす留学生枠で入学してきた彼らは、普通にエリートだったと思う。

で、その中でもすこしだけ浮いていた(ように見えた)のが、コンウェンガ役の彼だった。

学業のためのアルバイトが忙しくあまり絡みどころがなかった他の留学生とは違って、妙にフレンドリーで、たしかアニ研みたいなものも入っていたし、キャンパスライフを存分に楽しんでいる様子だった。

でも、へんなやつだよなぁ、という変わり者レッテルを、なんとなくぼくは彼に貼っていた。べつに仲悪くはなかったが仲良くもない、それとなしにFacebookでつながってるだけの可もなく不可もない関係性だ。

変わり者だと思っていた人が、数年経って(ほとんどの留学生は自国に帰るなか)今も日本に残っていて、自分のやりたいことに向かってやんややんや言ってるのはおもしろいなぁとこの歳になると感じるわけだ。

そのときの自分には未知だっただけで、理解しようとしなかっただけで、身近なところの、いろんな領域のいろんな考えを持ってる人たちが、未来に向けて日々を積み重ねてる事実はおもしろいったらないね。

こう思えるようになったのも、歳を重ねた成長のひとつなのか。

今振り返ると、あいつへんだよなー、と思ってた人、だれかにそう漏らしててた人が自分のまわりに数えきれないくらいいたけど、彼/彼女らの「あの人は今」を垣間見る瞬間がどこかであるかもしれない。

そう思うと、残りの半生も少しはましになるかなー、とちょっぴりジーンときている年の瀬。可も不可もない関係性なので、ピンポン観たよーと彼に伝えるまでもなく、2018年は終えることでしょう。

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