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気合を入れてディズニーをみるnote。ちょっと長いけど、読んだ後にその作品がもっと好き…

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気合を入れてディズニーをみるnote。ちょっと長いけど、読んだ後にその作品がもっと好きになる、そんなレビューを目指します。

最近の記事

リトル・マーメイド(1989) 「愛し愛され、推し推され」

人間の世界に憧れる人魚姫アリエルが、まっすぐに世界を信じることで夢を叶えていく様子を描く。眠れる森の美女(1959)以来のディズニープリンセスの登場、ハワード・アッシュマン&アラン・メンケンの美しい音楽、幻想的な海の世界観で、第二次黄金期「ディズニールネサンス」の原点とされる作品です。 「信じる」とか「信頼」という言葉は、ディズニー映画によく出てくる言葉ですが、時代によって、作品によって、アプローチは様々です。2021年3月に公開された「ラーヤと龍の王国」では、クドイくらい

    • カールじいさんの空飛ぶ家(2009) 「人生という名の冒険」

      愛する妻に先立たれた孤独な老人カールが、少年ラッセル、そして「空飛ぶ家」と共に、幼い頃に夢見た伝説の滝を目指すロードムービー。切ないメロディーと美しい色使いで、人生という冒険を鮮やかに描く。現ピクサーのCCOピート・ドクターが送る、老若男女楽しめる優しいファンタジー映画です。 何と言ってもこの映画の代名詞は、カールじいさんの半生を描いた冒頭のサイレントシーンでしょう。この「至高の4分20秒」は、公開当時から観客の度肝を抜きました。カールとエリーの暖かくも切ない人生を、セリフ

      • アナと雪の女王(2013) 「愛と恐れを育むもの」

        ディズニー初のダブルヒロインに、強めのミュージカル演出、華やかな絵面と強いメッセージ性で、新生ディズニーを世界に知らしめた記念碑的作品。過去のディズニー映画のエッセンスを汲み取りつつも、「愛」という伝統的なテーマの新しい解釈に挑戦した見応えのある作品です。 言わずもがな、主題歌の「Let It Go」が日本でも大ヒットし、映画館で歌いながら見る「応援上映」がちょっとしたブームになるくらい、その音楽で知られた作品です。改めて音楽の力を思い知ると同時に、ズートピアのレビューでも

        • ノートルダムの鐘(1996) 「あの鐘を鳴らすのは」

          全篇を通して哀愁と切なさが渦巻く異色作。鐘つき堂の中に囚われた「怪物」が、愛を知ってしまったが故に苦しみながらも、大きな一歩を踏み出す姿をアラン・メンケンの荘厳な楽曲に乗せて描く。巧みな演出とキャラクター描写によって、観た人に一歩踏み出す勇気と優しさを与える傑作です。 この作品は、ディズニー映画好きにとっては特別な作品であることが多いイメージで、あの風間俊介さんも「音楽も映画も一番のお気に入り」として挙げているくらいです。風間さんは「差別や偏見を無くしたいという想いを確立し

        リトル・マーメイド(1989) 「愛し愛され、推し推され」

        • カールじいさんの空飛ぶ家(2009) 「人生という名の冒険」

        • アナと雪の女王(2013) 「愛と恐れを育むもの」

        • ノートルダムの鐘(1996) 「あの鐘を鳴らすのは」

          プリンセスと魔法のキス(2009) 「二つの星が輝く理由」

          ジョン・ラセターがディズニー復活をかけて送り出した、渾身の「胸熱」映画。ディズニーの名作モチーフ使いながら、敢えて手書き風のアニメーション表現にこだわり、王道のミュージカルを蘇らせることでかつての輝きを取り戻した、新「星」ディズニーの記念碑的作品。作り手の魂の叫びが、気持ちよく、そして真っ直ぐに心に届く、味わい深いディズニー映画です。 正直この作品は、ディズニー好きとそうじゃない人で、もっとも温度差が激しい作品かなと思います。というのも、この作品を語る上で、どうしても過去の

          プリンセスと魔法のキス(2009) 「二つの星が輝く理由」

          リメンバー・ミー(2017) 「人が家族で生きる意味」

          ディズニーの柱とも言える要素「音楽」をテーマに、家族の絆の価値を問いかけたディズニーピクサー渾身の一本。美しい映像と素晴らしい音楽、確実に観客の琴線に触れるストーリーテリング、映画単体の完成度で言えば、ディズニー映画の中でもベストと言えるかもしれません。王道のテーマを「トイ・ストーリー3(2010)」のリー・アンクリッチ監督が真っすぐに描き切った、アニメーション映画史に残る至極の一本です。 まず、アンクリッチ監督という人は、あらゆる人が持っている「思い出」に引っ掛けて、感動

          リメンバー・ミー(2017) 「人が家族で生きる意味」

          ズートピア(2016) 「皮肉と真実のアンチディズニー」

          可愛いキャラクター、練り込まれたプロット、美しい映像、時代に沿った強いテーマとメッセージ、どれを取っても非常にクオリティの高い、大人も子供も楽しめる素晴らしいアニメーション映画。 と、表向きはそうなっており、実際文句のつけようもない面白い映画なのですが、これをディズニーが作るのかという、ファンとしては心を蝕まれ続ける要素満載、ディズニートップクラスの「エグい映画」でもあるのです。ムーランやラプンツェルといった比較的王道のディズニー作品に携わってきたバイロン・ハワードと、シン

          ズートピア(2016) 「皮肉と真実のアンチディズニー」

          アラジン(1992) 「本当の自由とは何か」

          音楽・ストーリー・全てのキャラクター、どれをとってもディズニーの良さが詰まった不朽の名作。 もしディズニー映画を一回も見たことない人がいて、まず一つ勧められるとしたら、僕は間違いなくこのアラジンを推します。誰が見ても楽しめる純粋なエンタテイメント作品であると同時に、見れば見るほど、考えれば考えるほど、隙のなさに感動してしまう。「昔は良かった」では決してない、今なお輝きを放ち続ける傑作です。 「アラジン」のテーマを一言で言うならば、「本当の自由とはなにか」だと思います。劇中

          アラジン(1992) 「本当の自由とは何か」

          ディズニーの民主主義的構造分析による、暇つぶしの勧め

          皆様こんにちは。 僕は広告代理店で働く独身男です。僕はディズニーが大好きなんですけども、その前に、映画を見るのが大好きです。 映画って、一見つまんないなと思うものでも、見方を変えれば発見があったり、色んな楽しみ方ができるじゃないですか。 「みうらじゅんの映画ってそこがいいんじゃない!」っていう本があるのですが、その本は「面白さが見出せなかったのは、己の力量のなさではないのか?」という信念のもと、”つまらな…”が飛び出そうになった時にかます呪文「そこがいいんじゃない!」に

          ディズニーの民主主義的構造分析による、暇つぶしの勧め