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3000文字チャレンジ!第88弾!【海】

日本人はふるくは縄文時代、弥生時代には、すでに動物の骨をけずり釣り針をつくり魚を釣っていたという話を読んだことがある。

それだけ日本人のDNAの染みついた魚釣り魂、日本人の食生活と切っても切れない食材【 魚 】

おっちゃんの父は、ぞくにいう釣り◯チだった。いま使ったら駄目なんだってねキ◯って言葉。文章を書く仕事をしている人は、NG言葉を覚えておかないとダメだね。

30年前は今ほど交通網が発達しておらず、美味しい魚をスーパーでなかなか買えなかった時代だった。

父は考えた、「美味しい魚が売ってないなら、美味しい魚を釣ればいいじゃない」

今も昔も大阪に住んでいた父は、仕事が休みのたびにソソクサと釣りにいくようになった。

おっちゃんも釣りに興味をおぼえ、父の釣りについて行くようになった。

はじめての釣りは、和歌山の防波堤だったと思う。和歌山のどこだったか場所は覚えていないが、まっ平らでキレイに整理されており、防波堤の幅10メートルほどあった。

3~5メートル間隔で釣り人が、釣り竿をたてて釣りをしていた。30本ほどの黒色や赤色、青色、の釣り竿が海面に反射した光でキラキラし、釣り人により釣り竿がピョンピョン動かされている光景がとてもキレイだった。

釣り人のいない場所をみつけ、釣り場所をする場所を確保する。

父が釣り竿をセッティングしてるあいだ、父に「オレンジ色のライフジャケットを着ておけ」と言われた。

「ライフジャケットなんて大袈裟だろ」と考えたいたが、釣りをする防波堤のハシから海面をのぞきこむと、防波堤と海面までの距離は2~3メートルほどの高低差があった。

海面にすいこまれそうな、恐怖感をかんじた。そして思った。

「あっこれは落ちたとき、ライフジャケットなかったら死にますわ」

おったろうが最初に教えてもらった釣りは、サビキ(小さいエビ)を容器に大量にいれ、小さい釣り針5~6個で、小魚を釣る方法だった。小エビで魚をおびきよせ釣る方法だ。

防波堤の端っこから50cmほど離れて立ち、魚を釣るための仕掛けをつけた、長さ2メートルほどの釣り竿をチョコンと防波堤から突きだす。

釣り竿のリール(釣り竿についれる糸を巻き巻きしてる釣り道具)のストッパーをはずすと、オモリをつけた仕掛けがシュルシュル~と海底に沈んでいく。

海底に到達したら、リールから糸はでなくなる。リールを操作し魚のいる場所にエサをもっていけば魚が釣れるのだが、魚のいる場所をさぐるのが、とてもムズかしい。

父のアドバイスも「リールを使って、上下さしとけ」だった。

仕方なくエサを上下させておく。リールをまいてぇ~、仕掛けをさげてぇ~を繰りかえしていると、フィ~~シュ!!!

釣り針に魚がかかると、グググッと釣り竿がU字にしなり釣り竿折れない?と心配してるあいだに、手にビビビッとした刺激を感じる。

「早くリールをまけ(リールをくるくる回し、糸を巻きあげること)」という声がきこえ、慌ててリールをくるくる回し糸をひきあげる。

釣り針にかかり、逃げようとする魚の重さをかんじながら、リールを巻きとっていく。ついに海面から釣り針にかかった小魚3匹が見えてきた。

はじめての釣果であったが問題が発生した。

小魚を釣りあげ防波堤にあげてから困った。ピチピチはねる小魚をさわるのが怖い!!!釣り針をはずのも怖い!!魚の目も怖い!!生臭い!!生きている魚を見るのは水族館以外でハジめてだった。

泣いて父に、小魚をはずしてくれるように頼んだ。釣針からの小魚の取りはずしかたを見て、知り、覚えた。2回目からは釣りあげた小魚に恐怖をかんじなくなり、釣った小魚を釣り針から取りはずせるようになった。

人間は順応できる生き物。釣った小魚を、海水をいれたクーラーボックスにドンドンいれた。空気をブクブクだすエアーをいれ忘れると、小魚が死んじゃうぞ。

小魚を釣ったら1匹につき、おこづかい100円いただけるシステムだった。防波堤から釣り針をたらし、小魚をつり1日で2000円以上も荒稼ぎしたと思う。めっちゃボロい商売でっせ!!

釣りあげた小魚は、さらに大きい肉食魚を釣るための"エサ”につかわれる。

小魚の鼻の当たりにやや太めの釣り針をとおし、釣り竿をググ~と後にそらし、リールのストッパーをはずしソイヤと釣り竿をふると、180度、海と空と水平線しか見えない視界に、小魚とオモリがついた仕掛けが"ひゅ~るりっ”と飛んでいく。

小魚が飛んだ距離は50メートル~100メートルのように見えた。

父は5本ほどの釣り竿をとりだし、小魚をつけ次々と海へ投げこみ、釣り竿をたてかけておく専用道具にドンドンたてかけていった。

あとは小魚がてきとうに泳ぎ、大型の肉食魚が小魚に食いつくのと待つ釣り方だ。釣り竿の先に鈴をつけ、大型魚が小魚にくいつけば、鈴が「チリンチリン」と鳴る仕組みだ。

波の影響か、小魚が泳いでいる影響かつねにチリンチリンと5個の鈴は音をだしていた。鈴の音がなるたび「父にかかったんじゃない?」と聞くと、「小魚が食べられたときの音じゃない」としか答えてくれなかった。

ヒマだったので、1~2時間ほど小魚をずっと釣っていた。とつぜんジリリリリリリっと、けたたましい鈴の音が鳴り響いた。

鈴の音がなった釣り竿はドレだ?父はすぐに鈴が鳴った釣り竿を判断できたようで釣り竿をもち、リールを巻いている。

鈴の音がし、魚が釣れたら「釣れた竿以外を巻きとれ」と父に言われたいたので魚が釣れていない釣り竿を巻きとり、小魚を回収していく。

父がもつ釣り竿の先が右へ左へうごく、くいくいっと釣り竿をあげたり、さげたりしながら、リールを巻きとっていく。松方弘樹や!

小魚に食いついた魚影がウッスラと見えてきた。50cm~70cmほどの銀色の魚影だ。防波堤から魚影までの距離は10メートルほど。あと少しで釣りあげれる。

ゆっくりゆっくりとリールを巻きあげる父。右へ左へと暴れるまわる魚だが、父がたくみに釣り竿をあやつり確実にリールを巻きあげていく。

もう少しで釣り上げれるだろうと思ったのだが、ハッと気づく。

防波堤から海面までの距離を書いたのを覚えているだろうか?防波堤から海面までの高低差は2~3メートルほどのあるのだ。

あとになって父は言った「あんな大きい魚が釣れるとは思わなかった」

魚を釣りあげようとしていた父もあせっていた、釣り竿の力だけで大きい魚を2~3メートル持ちあげることは不可能だ。

「タモ、タモ」と父は言うが「タモ」ってなんじゃろホイ?と戸惑うばかりの昔のおっちゃん。

そこに横から声がきこえてきた「手伝いますか?」と。救世主が現れた。

声のしたほうに顔をむけると、身長は180cmほどの男性がたっていた。イメージとしては釣りキ◯三平の鮎川魚神さん。あくまでイメージである。

【 タモ=魚をすくう網 】のことだった。魚神さん似の男性はスルスルとタモをのばしていく。如意棒のように伸びたタモは長さは3メートルほどなっていた。

父は魚を防波堤の下まで寄せていた、ピチピチとハネなんとか逃げようとする魚。魚神さんはタモを海面ちかくにおろしていく。

魚のうしろから、ソーっとタモ(網)をちけづけ、サッと一瞬タモを魚の下に潜りこませると、一気にグンとタモをひきあげる。

ぐわぁ~んとたわむタモの柄、海面から一気に魚を2~3メートルもちあげ、つづけて魚神さんは体を45度ヒネり、魚を防波堤にゆっくりと置いた。

釣りあげた魚は50cm~70cmの銀色の魚だった。キレイな目をしているなと見ていたら、サクっと包丁で魚を〆た。

父は「ナンチャラホニャララ、アジだ」と言っていたと思う。尾っぽのあたりを掴み、魚をもちあげるとズッシリした重みをかんじた。



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