メイちゃんを想うロイズの話。
ロイズっていうのが僕の名前だけど、昔は飼育員さんの中だけで呼ばれてたみたい。
僕は和歌山県のアドベンチャーワールドで生まれたんだけど、3歳のときに鳥羽水族館に引っ越してきたんだ。そのあと、サンシャイン水族館にいた時期もあったけど、ミールさんが虹の橋を渡ってからはまた鳥羽水族館に戻ってきたんだ。それからはずっと、僕は鳥羽水族館でメイちゃんとふたりで過ごしてきたんだよ。
僕はメイちゃんのことが大好きなんだけど、メイちゃんはどうなのかな……。メイちゃんはかわいいし、イカジャンプはすごく高いし、何より鳥羽水族館のアイドルだし。だけどメイちゃんは飼育員さんのことの方が好きそうだな。
「ちょっとロイズ、何してるの?」
「急に見ないでよ、メイちゃん!!」
ブログの下書き書いてるとこ見られちゃった。メイちゃんのことばっかり書いてて恥ずかしい。
「メイちゃんメイちゃんっていっぱい書いてあったね。」
「そ、そんなことないよ……」
「へー、違うんだ。『大好き』って見えたような気がしたから」
「やめてよメイちゃん」
メイちゃんさすが頭いい。言葉で攻めてくる。翻弄してくる。ドキドキする。興奮する。
「メイのこと好きならそう言ってくれたらいいのに。メイはロイズのこと好きだよ(^_−)☆」
その星印があるせいで少しだけ冗談に聞こえるんだよ……。でもメイちゃんすごいよね。すごく愛嬌がある。
「……なんてね。別にロイズにわざわざアイドルしなくてもよかったよね。メイはロイズのこと、優しくて好きだよ。食いしん坊だなとは思うけどね。」
嬉しかった。メイちゃんの気持ちが聞けて。
「それに、ずっと前から気づいてたしね。ロイズがメイのこと好きだって。それくらいすぐわかるよ」
やっぱり。バレバレだったか。
「メイちゃんには敵わないな。初めからメイちゃんの手のひらの上で転がされてたわけじゃん。
アイドルしてるメイちゃんもいいけど、ありのままのメイちゃんが僕は一番好きだな。だらんとしてても、ふてぶてしくても、その全てが愛おしいんだ。」
「ちょっと照れるじゃん、やめてよ」
昔のことを思い出していた。今なら胸を張って愛してるって言えるんだけどな。僕はメイちゃんを置いて先立っちゃったから。今はキラちゃんと仲良くしてるみたいだから良かったけど、たまには僕のことを思い出してくれたら嬉しいな。
(終わり)
(あとがき)
ロイメイ尊い。あとロイズのブログ見てみたい。
ロイズの話を書いてたらメイちゃんが出てきたので、あとは本人たちに語らせた。
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