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退院後の生活

これからどうしようかな。

病院から自宅に戻った私。眠さやだるさはあれど、痛みや苦しみはないので、身体的な不自由はない。むしろ、今後をどうしていくかという、気持ち的な迷いのほうが強かった。

仕事どうしようかな。お金どうなるかな。いろんな病院に通うことになりそうだな。どういう生活していこうかな。どうやって生きていこうかな。どういう人生歩みたいのかな。QOLってなんだろう。

漠然とした疑問ばかりが頭を駆け巡る。しかしこんな曖昧な質問では答えなんて出るわけがない。モヤモヤばかりが募る。積もり積もったモヤモヤはイライラへと進化し、どうでもいいことで家族にあたってしまう。それに自分で気がついて、そして落ち込む。落ち込みは倦怠感に変わり、辛くなかったはずの身体に重さが加わっていく。そして横になる。頭の中には漠然とした疑問が駆け巡り…

退院してからの生活はこんな堂々巡り。心のコントロールが一番の課題だった。

机に置いてあるカレンダーに目が留まる。

そっか。

7月の最終週の週末は、昔から恒例の行事に埋め尽くされる特別な週末だった。思い出がよみがえる。フジロックで土砂降りの雨というより嵐の中でカッパ被ってノリノリで踊ってたこと、苗場だから一生見れないねと言い合う隅田川花火大会へのお決まりのネタ、学生時代にバイトまでしたラフォーレグランバザールでのお買いもの…

そうだ。

私はすぐにパソコンを立ち上げた。そして体調不良や病気への不安を盾に、あえて自分に蓋をし覆い隠していた気持ちを解き放つが如く、ショッピングサイトを物色し始めていた。自分へのご褒美と未来への投資という言い訳を用意して。

久しぶりのショッピングがすごく楽しかった。クローゼットの服をチラ見して、これと合わせたらかわいいだろうなと想像してみたり、メジャーで服や自分のサイズを確認しながらイメージ膨らませてみたり。店頭に幾度も見に行ったのに変な自制心で買わずに我慢し続けていた鞄がタイムセールになっていたり。マルジェラの香水ミニボトルが日本でも正式販売開始しててニンマリしたり。

この社会状況とステロイド加療中による感染症予防で、しばらく外出できないかもしれない。友達にも誰にも会えないかもしれない。毎晩押し寄せる寂しさをかき消すように、いつかみんなに会える日を楽しみに、オシャレを準備しておこうと動き出す自分がいた。

元気になったら1か月で稼げる金額なら、今元気になるために使って大丈夫。先行投資だ。買い物と一緒に出てきた素直な気持ちが、急に心を軽くした。

そして気づく。

この服着てお出かけするまで、絶対太れないよね。

ステロイドは副作用で太ると言われている。この後バセドウ病の治療を始めたら、それもまた太ると言われている。でもそんなこと絶対に許されない。だって洋服買っちゃったから。

気づいた私は、大急ぎで筋トレ、いや、その筋トレとボディメイクをするための準備として、セレブに人気らしいCalvin Kleinのアンダーウェアを用意した。ポチっと。

なんでもいい。前に進む行動がほしかった。その一歩が漠然とした不安たちをひとつづつキレイにしていってくれるだろうと信じていたから。

できることから始める。だからまずは見た目から。そして自助努力で解消できることは長い目で見て頑張るのみ。

1. ムーンフェイス(満月様顔貌)、バッファローハンプ(野牛肩)、中性脂肪、糖尿病血糖値対策としてのフェイス&ボディメンテ
2. えぐいニキビと吹き出物に対するスキンケア
3. 絶対に虫歯になれない戦いがそこにあるオーラルケア
4. 現実を見つめる仕事とお金対策

以上、見た目三本勝負とお勉強。

退院した私は、すっかり忘れてた「時間を自分に費やす」ということに時間を使うようになっていた。

心のよりどころを探していたら、いい本にも出会いました。「難病患者の教科書」という本。ちょっと古いけど、抱える悩みや不安を解決するためのヒントがたくさん見つかったことも、付け加えておきます。

ちょっと先に楽しみを作ろう。目に見える進化をしよう。疲れたら休んで好きなことをしてみよう。心が悲鳴上げてたからこの際ちゃんと休ませてあげよう。陽気に素直に前に進むだけ。そしたらきっと、この先にすることがわかる気がする。

懐かしいなこのPV。かわいくて大好きだったんだ。まさにこんな感じかな。


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