私の沈黙。少し違うものは大きく違う。
Virgin Atlanticの機内誌『CARLOS』を初めて手にしてどれだけの月日が過ぎただろう。
Upper Class限定の薄い冊子はラフな更紙に2色で刷られていた。
その後神保町の古書店で手にするまで、私は『CARLOS』を忘れていた。
Kate Mossの記事が記憶として鮮明にあるのに、どうして自分はあの冊子を持ち帰らなかったのかと思うが、縁の無さ、無念さが日常無限にありすぎて、これも運命とばかりに、すぐに記憶のゴミ箱に放り込んだのだろう。自分がやりそうなことだ。
古書店のバックナンバーにKate Mossの記事はなかった。色味のない紙面の中綴じの真ん中にVirginのカラーの写真広告がある。言葉は何もない。それがなんともカッコイイ気がした。
あれから出版の仕事をしながら、自分の中の『CARLOS』を再現する機会を探っていたがチャンスどころか、提案することすらしなかった。僅かでも違うものになるということは、まったく違うものになるからだ。
諦めていた頃『OLDNEWS/13F』という新聞を作る機会を得た。これはクライアントもなく仕事でもはない。そうなると堰を切ったように話は進む。迷うことなく絵は遠藤拓人。他には考えられない。臆面もなくカッコよさを提示できればいいのだけれど。もうすぐ幻の新聞『OLDNEWS/13F』が始まる。
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