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私の沈黙。少し違うものは大きく違う。
Virgin Atlanticの機内誌『CARLOS』を初めて手にしてどれだけの月日が過ぎただろう。
Upper Class限定の薄い冊子はラフな更紙に2色で刷られていた。
その後神保町の古書店で手にするまで、私は『CARLOS』を忘れていた。
Kate Mossの記事が記憶として鮮明にあるのに、どうして自分はあの冊子を持ち帰らなかったのかと思うが、縁の無さ、無念さが日常無限にありすぎて、こ
九州の冠水と、連絡がこなくなった本の仕事
去年の夏あたりにめずらしく食べ物、弁当の本のの撮影を関係者たちと数日くりかえしていたことを忘れていた。仕事の途中で連絡が来なくなることに驚きはない。誰かが、何かの拍子にふと何かを思いついたり、何かが、ふと誰かを立ち止まらせたりすることに不思議はないし、寝て覚めると突如感情に支配されていることもあるだろう。どうであろうが、
本を作ることも、作らないこと、どちらも〈いいアイデア〉に違いはない。
自
ずっと持っている靴べらがなくならない話
もうずいぶん昔の話。出版社を辞めて、自分で仕事を始めるしかないと思って、いくつか物件を探し始めていた頃、作家の沢木耕太郎さんと席をともにする会食があった。大作家を前に自分の身の上話をするつもりなどなかったし、これまで付き合いのあった人たちとはすっぱり縁が切れることになるだろうと腹をくくっていた。独立するというより去るという感覚だった。しかし、同席した編集者が話題に困ったのか私の独立話を急に切り出し
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