見出し画像

Q.広汎子宮全摘術を受けられる、受けれらた方へ

子宮頸がんⅠB2期以降であると広汎子宮全摘術というのが標準治療となり、受けていらっしゃる方も多いのではないのでしょうか。

今日はこの手術に伴う性生活への影響について、お伝えできればと思います。

広汎子宮全摘術では子宮と子宮を骨盤内に固定する靱帯が広く切除されます。
年齢やリスクによっては卵巣を摘出されることがあります。また周囲のリンパ節を郭清します。
子宮頸部とその周辺の3~5センチ程度の膣も同時に切除されます。
頸部を切除したあとは膣の上部を縫い合わせます。その後瘢痕組織となって閉じるので膣は先が閉じた筒のような形となります。

一つ目は膣の短縮という問題があります。
医師はがんを完全に切除するために十分な長さで腟を切除しますが、必要以上には切除しないよう注意して手術を行っています。
それはセックス行うのに致命的な短さにならないよう、膣の伸縮性がなるべく損なわれないようにしているのです。
しかし挿入したときに浅く感じたり、瘢痕部が硬くなっていて伸びずに痛みを感じることがあるかもしれません。
人によって膣を切除する長さが違ったり、もともとの膣の長さによったりするので、個人差が大きく見られる問題です。
十分に興奮することで膣の伸びがよくなって、挿入するのに十分な長さになることが多くあります。

二つ目に卵巣摘出による影響があります。
卵巣は片方でも残っていれば女性ホルモン分泌は保たれます。
両側卵巣が摘出され、女性ホルモンの分泌がなくなってしまうと、挿入時痛みの原因になることがあります。この記事をご覧ください。
(https://note.mu/olas/n/nab2f79c99986)

三つ目に排尿障害という問題があります。
手術操作によって子宮周囲の神経がダメージをうけて一時的に尿を自分で出せなくなってしまいます。
このため自分で溜まった尿を出す操作が必要になる場合があります。
(自己導尿といいます)
尿がたまってスムーズに出せないと尿路感染症になるリスクが高くなり、
セックスなどはそのリスクを高めるので予防する必要があります。

する前にかならず膀胱を空にし、後はお水をよく摂ってたくさん尿を出してあげるといいでしょう。

四つ目にリンパ浮腫の影響です。
子宮周囲のリンパ節をとりますと下肢のリンパの流れが悪くなり、むくんだり、鼠径部のあたりがぴりぴりしたりしていつもと触られている感じが違ってくるかもしれません。
また見た目がいつもよりぼてっとした感じになって、手術の前とは違うなぁと感じることがあるかもしれません。
ただこれらが必ずしもマイナスに働くということではないようです。
下肢マッサージを一つの二人の関わり合いとしているカップルもいたりします。

手術の前と全く同じ状態ではないかもしれない。
でももしかしたら、新しい方法が見えてくるかもしれない。
相手とセックスについてコミュニケーションを取るいいきっかけなのかもしれない。

難しいけれど、少しでもそう思っていただけると嬉しいです。

活動、研究資金とさせていただきます。