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奥濵春彦のフラメンコ舞踊理論講座  開講のご案内

皆様こんにちは、奥濵春彦です。

さて、この度【フラメンコ舞踊理論講座】を開講させていただくにあたり、まず初めに、この講座がどのような内容であり、どういった方々に向けたものであるかを説明させていただきます。

私自身、フラメンコと出会ったのが大学のサークルで20歳という年齢で、それ以前には舞踊の「ブ」の字も知らない人間でした。身体も滅茶苦茶固く決して舞踊、特に柔軟性を必要とする洋舞においてはどちらかというと不向きな人間でした。

幸いなのは、独学とはいえピアノを小中学生の時に嗜んでいたが故に、音楽に興味があり大好きだったことと、美術高校&美術大学で油絵を専攻していたために空間の意識があったとこでしょうか。特に音楽においては、ピアニストまたは音楽家になりたいという夢があったのですが、その環境に恵まれず断念したので、大学のサークルで初めてサパテアードを踏んだ時、全身に電撃が流れたような感動を覚え、その場ですぐ『この世界のプロになるんだ!』と決意した次第。そういった面では【フラメンコに出会って】と言うよりは、足で奏でるリズム=サパテアードに惚れてこの世界に入ったという方が正しいでしょう。

その時から全てをフラメンコ、リズム、そして舞台表現に注ぎ込むように生きてきましたが、当然のようにフラメンコにおいて外国人である我々日本人がぶち当たる壁というものは物凄く高く、そして分厚くて何度もくじけそうになりました。その度に『何か打開策はないのか?』と日々いろいろと模索をする舞踊人生でした。その手始めとして、解剖学でスペイン人と日本人の身体機能の違いを研究したり、クラシックバレエで西洋人的な動きとして必要なテクニックを学んだり、またそれとは逆のアプローチで『日本人とは何か?』を知るために日本舞踊を習ったり、仏教の道にも進んだりもしました。(どの国においてもその国の文化というものは、その国の宗教から生まれてきている、とある本で読み納得したため)

【スペイン人と同レベルでフラメンコを表現できるために】を目標で突き進んできた28年ですが、今は亡き私のバレエの恩師・上原まゆみ先生と解剖学をベースに身体の意識の試行錯誤し続けた期間はとても重要であり、そのお陰で今でも新しい発見もあります。また、リズムにおいては習える先生が日本にはいなかったため独学で研究をして、いろいろな練習方法を編み出し今に至る次第です。

よく「プロ」と呼ばれる方々が「充電切れ」と言いスペインに行き、パソや振付を貰ってきては日本で発表、またはクラスで卸売りをしてまたスペインに仕入れに行く、という繰り返しを見て疑問に感じることがありました。もちろんスペインのアートですからスペインに留学することはとても大切なことですが、それではスペインに行かないとフラメンコが出来ない(踊れない)というものどこか寂しいものがあります。「あちらに行かずとも何か自家発電的に生産できることはないのか?」というものも、私のフラメンコというアートに対する研究課題でした。

「フラメンコを’フラメンコ’として捉えるか」             または、                                  「フラメンコを’アート’として捉えるか」                      

この意識の違いによってアプローチの仕方、研究の仕方が変わってくるのはもちろんのこと、そして何よりも踊り方や表現の仕方が変わってくるということはご理解できるかと思います。因みに私は、「アート」として捉えるタイプです。                             

しかし「フラメンコ」として捉えようと、「アート」として捉えようとやはりフラメンコはスペインのアートなので、先ずは彼らの踊りや表現方法をしっかりと学び、研究する必要があります。                    その中で、例えスペイン人のようになれなくても、スペイン人のような超絶技巧サパテアードや速い動きが出来なくても、ご自身のフラメンコという踊りを成長させたい、磨いていきたいという方々のために。またフラメンコというジャンルだけではなく、広い意味での【舞踊芸術】として踊り続けたいという方々のために、少しでも彼らの踊りに近づけるためのヒントをここで紹介していきたいと思っております。

マガジン形式で【サパテアードの技巧】【ブラッソの技巧】【ブエルタの技巧】といったフラメンコ舞踊に欠かせないテクニックの説明から、【リズムの知識やリズム感の鍛え方】【舞台での見せ方・基礎知識】【舞踊理論】または【コンパスや各曲種の説明やポイント】など、様々な項目で細かくフラメンコ舞踊における基礎というものを説明していきたいと思っております。

日本人がどのようにしたらフラメンコという西洋の踊りに近づけるか、その道しるべや近道を余すことなくお伝えしたいと思う願いで連載をいたします。【日本人の為のフラメンコ舞踊理論書】として皆様のお役に立てる情報を提供していく所存です。                      ここに紹介する講座の内容全てを覚えたり身に付ける必要はありません。 ご自身にとって必要であること、または欲しいものだけを参考にしていただければ幸いです。

この講座を通して、皆様の【フラメンコ舞踊】という表現がより一層大きくなれるように願っております。​

2021年7月吉日 奥濵春彦




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