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誰も知らない葛藤。


ガタッ。
歩道橋から、身を投げて死のうとしたら、トラックの荷台に飛び乗ってしまった。

ぐぅぉぉぉぉっっーっっ
と、風の音と、ともに、凄いスピードっ。
僕は、必死でしがみつきながら、
「うぉおっ、ぐぅ、うぅっ」
と、声すら出ない。

怖い。怖い。
いや、さっきまで死ぬとか言ってたけど、ここから落ちるのは怖いぞ。
もっと、一瞬の、パっと、
とか、考える暇もなく、

ぐぐぐぐぐぅぅっ、風と振動、スピード、また曇り空、からたまに稲光。
怖い怖い怖い怖い。

いや、信号待ちになって、シレっと、飛び降りよう。
って、結構荷台高いけど、大丈夫。
って、いやいやいやいやいや。

そのまま、高速道路に入っていく。
「!」
高速って! 誰か気づけよ。テクノロジーとかで発見しろよ、なんかさ、って、
グゥゥゴゴゴゴゴゴゴゴーッッッガタッグトッガッグググググっっ
と、風、振動、スピード。
ってか、走ってるほかの車とか、気づけよっって、荷台高すぎなんかっ
って、どうにか停まらないか。停まらない車なんかこの世に存在しないだろって、

ジャンプすっか、どうせ、死のうとしてたんだしって、痛そうだしな。怖い怖い。
僕は、這いつくばりながら、ジリジリと、運転席の方へと動く。
ミラーとか、何かに、映ったら、さすがに運転手も停まるだろ。
と、一台のスポーツカーがものすごいスピードで、トラックを抜いていった。
と、すぐあと、トラック、加速して、そのスポーツカーについていこうとしている。
「煽られんなヨっ、何してんだよ、早まるなっつうのぅぅ」
て、一気に身体に風が当たり、ぐぐぐぐぐっっっ、ふるい落とされないために必死。

指も痛い。気も張ってる。
ダメ、このまま、限界が……。

と、車が停まった。
サービスエリア到着。
運転手が降りて来た。

って、気づかないし。

「はぁ……死ぬかと思った」

と、その時、雨が降ってきた。
気持ちいい。と思った。

とりあえず、僕が死のうとしていたなんて誰も知らない。
それでいいや。

今日も生きてる。

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