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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」三共生興(8018) 2016/02/16

※このレポートは2016年2月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

◇銘柄研究 三共生興(8018)
◇コラム 忍耐力の訓練だと覚悟を決め、相場と向き合うことが投資力を鍛える


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◇銘柄研究 三共生興(8018)


 本日は、1920年(大正9年)に創業され、1994年(昭和13年)に法人として改組され、繊維専門商社として2015年に創業95年を迎える三共生興を研究銘柄として取り上げます。


 日本株の大きな下落は続いており、いつ下げ止まるのかは予想もつきません。だから、今はこれから新たに買いを入れるにしても、持っている株を売るにしても、我慢して投資行動を少し休んで様子を見るべき時だと考えています。

 もちろん朝が来ない夜が無いように、この日本株の暴落が永遠に続いていくわけではないことも確かな事だと思っています。

 トレードの技術が高い投資家は、大きな株価の乱高下を利用して利益を掬い取ることも可能だと思います。しかしトレードが得意ではない投資家や、常に株価を見るためにパソコンなどで株価の動きをウォッチしつづける時間的余裕がない投資家、企業のファンダメンタルズから考えて、あまりにも下げ過ぎた企業に投資して時間をかけてもよいから利益を得ようとする投資家ならば、この日本株の行きすぎた下落が底を打って止まるまでの間は、投資したい銘柄を見つけ出だし、そのリストを作ることに大切な時間を使うべきだと考えています。


 私も1月20日までは一切の売買を止めていましたが、それから証券会社に置いていたキャッシュで、少しずつ買い増しをスタートして、日銀のマイナス金利導入後の急反発のあと、もう大丈夫だと判断ミスをして、証券会社に置いていた、ほとんどのキャッシュを買い増しに使い切り、含み損を増やしてしまいました。


 先週のコラムに書いたように、預貯金に預けて、ゴマのように小さくて安い利息を得るのは投資とは言えないと感じます。またマイナス金利の導入によって、金融機関が普通預金に手数料を取るなどということが出てきたら、預金をする気にさえなりません。

 2月3日の日本経済新聞にも、普通預金に口座手数料を導入する大銀行の記事がでていました。引用させていただきます。

『三菱東京UFJ銀行は日銀のマイナス金利政策への対応として、大企業などの普通預金に口座手数料を導入することを検討する。手数料の水準によっては事実上のマイナス金利になる可能性がある。中小企業や個人に対しては定期預金の金利引き下げを検討し、口座手数料導入は見送る。~今後ほかのメガバンクも同様の取り組みで追随する可能性がある。』

(以上で引用を終わります。)


 それならば、配当利回りが高い企業の株に投資しておいた方が、ずっとましだと感じるようになっています。しかし預貯金を株にシフトするのは、もう少し待とうとも考えています。

 つまり配当を得るために投資しても、あっという間に1年間の配当の数倍の損をしてしまっては意味がありませんし、無念です。

 もちろん株式投資には、そのようなリスクはつきものです。そこで投資して一時的には配当の数倍も下げてしまっても、自分が持ち続けて耐えることのできる魅力を持っている企業の株に投資すべきだと考えています。

 もう下げ止まったと思っても、判断ミスも起こすので、できるだけ投資する金額が少なくて、投資のタイミングを間違ったと考えても、時間分散で買い増していけるような株が良いと考えて研究銘柄に選んでいます。


〇投資単元が100株で、5万円以下で投資できること。

(投資単元が1000株でもミニ株やポケ株など、投資単元以下で投資できる証券会社で取引をしているなら、その制度を利用して1000株単元株に投資しても良いと考えています。私もそのような制度を利用することがあります。)

〇配当利回りまたは配当優待利回りが3%を超えていること。

〇創業後の歴史が長く含み益の大きな土地を保有している企業であること。

〇PERが10倍未満またはPBRが1倍以下の企業であること。両方の条件を満たしているほうが良い。


 上記のような条件をできるだけ多く満たしている企業から、本日の研究銘柄を選ぶことにしました。


 三共生興は、上記の条件をすべて満たしている企業です。

 三共生興は、創業から常に繊維を事業フィールドとして、原材料の調達から製品の企画、生産、販売に至る迄、あらゆる繊維分野でノウハウを蓄積し成長を続けています。
 三共生興を中心に専門特化したグループ会社各社が、様々な分野で事業を展開する繊維専門商社グループです。

 創業95年の歴史に裏付けされたノウハウをフルに発揮して、テキスタイルなどの素材の供給や、取引先ブランドの商品化ビジネスであるOEMビジネス、ロンドン・ミラノ・パリコレクションに出展しているファッションブランドなどの企画、生産、販売、物流に至るまで繊維・ファッション業界を網羅した事業をグループ全体で展開しています。

 三共生興の子会社である三共生興ファッションサービスは、ターゲットをラグジュアリーゾーンに絞り、「DAKS」「レオナール」といった海外有名ファッションブランド製品の企画・生産や、全国の有名百貨店、専門店および銀座をはじめとする直営ショップでの販売を行っています。


 三共生興はインバウンド関連としても有力な企業です。

三共生興ファッションサービスのホームページ
http://www.sankyofs.co.jp/index.html

店舗情報
http://www.sankyofs.co.jp/search/index.html?category=&area=

 また、三共生興は海外子会社や海外支店を中心としたネットワークを駆使し、有名ブランドのインポート・ライセンスビジネスや、海外での店舗展開を行うなど、三共生興のビジネスフィールドは、日本国内にとどまらず世界各国に及んでいます。 

 2015年に創業95年を迎えた三共生興グループは、その伝統に甘んじることなく、「株主」「顧客」「社員」などステークホルダーの共生をはかり、それぞれの満足度の極大化を目指す中・長期計画を策定・推進中です。

 主力の繊維時事業でも、世界に通用する有力ブランドライセンスを有して安定的な業績を上げています。

 ファッション関連のブランドとしては、英国王室御用達であり、英国3大トラディショナルブランドの1つとされている「DAKS」や、世界一美しいプリントとして世界中のセレブに愛されている「レオナール」といったブランドを展開しています。

 これらのブランドに共通していることは、すべてがラグジュアリーブランドであることです。
 消費者の嗜好の変化により、「ラグジュアリーゾーン」と「ボリュームゾーン」に2極化している繊維・ファッション業界において、三共生興は「ラグジュアリーゾーン」に経営資源を集中した事業展開を行っています。ラグジュアリーとは「贅沢品、高級品」という意味で使われています。


 三共生興を本日の研究銘柄として選んだ理由を具体的に説明しておきます。


1.三共生興は、2月4日に2016年3月期第3四半期の決算短信を開示しました。今年は暖冬でコートなどの重衣料の売上が低迷している可能性があるということで、大きく株価を下げていた三共生興ですが、第3四半期時点の利益の状況から、下げ過ぎていると判断したこと。

 三共生興の株価のチャートです。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=8018&ba=1&type=year

 三共生興の株価は、2015年3月20日に付けた高値552円から下げ続けています。

 3月には、1年に1回支払われる配当が15円あります。配当利回りだけで4.05%と、4%を超えています。

 三共生興の利益は、コートなど利益率の高い高額の重衣料が売れる下期に伸びます。上期(4月から9月まで)の6か月間の一株利益が13.66円であるのに対し、第3四半期(10月から12月まで)の3か月間の一株利益だけで22.90円です。

 今期は2月になっても、東京など大都市圏で雪が降るなど寒い日が続いており、三共生興の売上は第4四半期(1月から3月までの3か月)にも順調に伸びることが期待できます。


 他のブランドがクリアランスセールで値引きを行って処分売りを行うのに対し、三共生興のDAKSなどの直営店などは、ブランド価値を維持するために値引き販売を行わないことから、寒波が続いてコートなどの売上が伸びると、ストレートに利益が増加することが期待できます。

 三共生興の株価は、この決算短信を受けて上昇しかけましたが、日本株全体の大きな下落に巻き込まれて、また下げだしてしまい、ますます配当利回りが高くなっています。


2.三共生興の2016年3月期の一株利益の予想額は53.02円です。
一株純資産は9月末時点で759.2円(⇔四季報の情報による2014年9月末時点の数字)です。

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