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#88 全国保証(7164) 2020/12/01


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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第88号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


■はじめに
■全国保証(7164) 客員アナリスト 田中雄一
■モデルポートフォリオ 更新!


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガを提供しております。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します


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■全国保証(7164)

【会社概要】

 ◆沿革


 1972年に設立され、当初は厚生年金転貸(転貸)住宅融資の保証業務を開始します。
 1997年に民間金融機関向けの住宅ローン保証業務を開始し、それ以降も全国各地に支店を開設し、現在では、本店と支店を含めて12店舗で全国をカバーする形となっています。
 創業以来一貫して、ローン保証業務(近年サービサー業務も行っていますが)を生業としており、アパートローン、教育ローン、カードローンの保証業務も行っています。

 少し、信用保証について触れると、保証人の歴史を遡ると大宝律令で規定された「保人」が歴史上最古の記載となっており、古くからの商習慣(現在は民法で定められている)として受け入れられてきたものと考えます。
 しかし、近年、連帯保証人のリスクが大きい(債務者がいなくなると全てを保証しなければいけない)ことから、連帯保証時に支払い限度額を契約で定めなければいけなくなるといった民法改正などにより個人による連帯保証自体が行われづらい環境になってきており、保証会社が活躍しやすい環境になってきています。

 近年、家賃保証を行う上場企業が増えてきていますが、このような時代背景があるものと思います。

 ※住宅ローン保証については、昔から金融機関の子会社として設立されていたケースが多く独立系で上場している住宅ローン保証会社は当社のみです。


 ◆事業内容


 近年、M&Aであけぼの債権回収株式会社やみのり信用保証株式会社を子会社として設立していますが、基本的な営業収益は住宅ローン保証一つの柱から得られているものとなります。

 ※20年末において、保証債務残高に占める住宅ローン保証債務残高が99%を超えています。

 住宅ローン保証は言葉の通り、金融機関とローン契約者の間で住宅ローン契約を締結する時に、ローン契約者と全国保証の間で保証契約を結ぶもので、ローン契約者がローンの返済を行えなくなった場合に、全国保証は金融機関に対し、ローンの残額を支払い、ローン契約者に対し、債務の回収を行うものです。

 ※債務の回収は一般的にはサービサーにて行われますが、当社は子会社にあけぼの債権回収株式会社を有しており、自社で一貫して住宅ローン保証審査から債権回収業務まで行える体制にあります。


 ◆市場環境


 2010年以降、金融機関の健全性を評価するための枠組みとして、バーゼルIIIが適用されていましたが2017年12月にバーゼルIIIの最終化が行われ、リスク計測手法が見直されました。

 ※バーゼルIIIでは、自己資本比率8%以上を求められ自己資本比率の計算は自己資本をリスクアセットで除するのですが、リスクアセットとして、例えば、株式はリスクウェイト:100%(株式投資額の100%がリスクアセットとして計上される)、国債はリスククウェイト:0%(国債投資額はリスクアセットとして計上されない)というように計算されます。
  よって、リスクウェイトが低いリスクアセットは沢山保有することが可能となります。

 リスクアセットに対するリスクウェイトが見直され、基準が軽減されたものや強化されたものがあるのですが、特徴的なものは、株式のリスクウェイトが2022年(100%)から段階的に2027年(250%)まで強化される点です(投機的な非上場株式においては、2027年でリスクウェイト400%になる見込み)。

 バーゼルIIIの段階的施行により、金融機関はリスクアセットの比率見直しを行わなければいけない環境に置かれており、住宅ローン保証債務もリスクアセットに含まれています。

 ※あるメガバンクでは、リスクアセットのうち、7割程度が株式で運用されています。
  自己資本比率については10%強であり、8%に対して、余裕が大きくある状態とも言えません。

 また、民法改正により、連帯保証人に対する説明責任や保護の観点が強化されており、連帯保証人の減少が見込まれており、住宅ローン保証会社に対しては追い風にあります。

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