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従業員目線でのOKR導入のメリット

 OKRは「自分と組織を常に望ましい最終形態に向けて進むようにするための指針となるツール」です。OKRはどうしても、組織が掲げる(ムーンショット的な)目標に向けてメンバーの全力を集中させるという文脈で語られることが多くなります。まぁ、組織が導入する取組なので、そんなもんです、といえばそんなもんなんですが、実は従業員にとっても良い方に作用することが多いです。なので、今回は「従業員目線でのOKR導入のメリット」について紹介していきます。

1.仕事に関する意欲低下を避ける

 特に大企業などで働いていると、自分の業務は一体何のために行っているのだろう、と思ってしまうケースがあるのではないでしょうか。その要因には、主に①自分の業務が組織目標に繋がっていると思えない②前後工程が判らない③与えられた数値目標に納得出来ていない、と言ったものが考えられます。仕事柄、経営者の立場に立った発言とか記事とかをよく書きますが、いち従業員/労働者の立場で考えても、「人生の1/3とか1/2ぐらいの時間を使って働いているんだから、どうせだったらなんか意味のあることをしたい」ですよね。そのためには、意味を見つけるのが手っ取り早い方法です。

①自分の業務が組織目標に繋がっていると思えない

 自身の業務の意義が判らなくなる理由の一つ目に、自身の業務と組織目標との連動が曖昧になってしまっている状態が挙げられます。本当に意味の無い目標に取り組んでいるときと、本当は意味があるんだけどその意味が判りづらいときの二つが考えられ、OKRはその双方を解消してくれます。
 OKRでは目標(Objective)を重要なもの一つに限定します。そのため、自然とメンバーの取り組むことは組織のOKRに直結したものとなります。メンバー一人ひとりの成果は組織の成果に欠かせないものとなるわけです。
 また、チームでOKRを設定します。OKR設定を通して「チームでの目標だ」と感じられるようになりますし、個別のアクションプランを作る際には「この行動は組織のOKRに関係あるのか?」という目線で見ることになります。そのため、そもそも意味の無い目標に取り組む可能性は極めて低くなります。

②前後工程が判らない

 自身の業務が他の組織にどのような影響を与えているのか判らない、と感じると、どうしてもモチベーションは上がりづらくなります。

 3人の石工が居た。3人ともレンガを積むという作業を行っている。通りがかりの人が「何の仕事をしているのですか?」と効いたところ、Aさんは「見れば判るだろ、レンガを積んでるんだ」と言った。Bさんは「壁を作っているんだよ」と言った。Cさんは「大聖堂を作ってるんです。出来たら週末は家族全員でミサに来るのが楽しみなんです」と言った。

 というような石工の話は割と有名かと思います。成果が高かった順にC>B>Aになったと言う奴ですね。
 Aさんほど近視眼的な考え方しかできない人はこんな長文を読んでないと思いますが、それでも自分の仕事を聞かれたときに「封筒ののり付けしてる」とか「伝票に捺印する仕事」とか「淡々と電話を掛けるだけの仕事」とか自嘲気味に言ってしまうことはあります。
 単に冗談でそう言っているだけなら良いのですが、自分の仕事を理解出来ていないと、仕事に意欲を感じるのは本当に難しくなります。

 OKRでは、上位組織の目標は公開されます。そのため、自組織やあなたの目標が上位目標の何を実現するためのものなのかをいつでも確認出来るわけです。これにより、前後工程が判らないと言ったことは激減します。また、隣の組織の目標も公開されるため、よその部署はどんなことに取り組んでいるのかをいつでも確認することが出来ます。「自部署によく来る他部署の人」は何のために来ているのかも判るわけですね。

③与えられた数値目標に納得出来ていない

 上司から「あなたには今期○百万円の売上を期待します。」「とにかく街角で100人と名刺交換してこい」とだけ指示され、一体何のためにやっているのか判らないまま取り組んでいるものの、やる気も出ず時間だけが過ぎていく・・・。このように、数値目標だけが与えられるというケースはよく見られます。管理職向けの教科書や研修資料なんかにも「目標は数値化しましょう!そうすれば部下は動きます!」といったようなことが書かれたりしていますが、数値目標“だけ”で人は動けるほど単純ではありません。ごく稀に数値目標だけで頑張れてしまう、異常に目標達成意欲の高い人も居るには居ますが、そういう稀少人材は取り合いになっています。
 数値目標が効果を発揮するのは「大義名分への共感」とセットになったときです。今居る組織の理念に共感しているとか、製品を売れば売るほど社会貢献に繋がるということが判っているとか、そういう状態ですね。で、そういうった状態を作るためには数値目標を設定するに至った背景を理解しておくことが欠かせません。
 「○○techに関する新製品を1000人に売ってくる」という目標に対してやる気を出すためには、「何故自社のSaaS製品を1000人に買って貰う必要があるか?」と考え、「自社の製品は既存ワークフローを省力化することが出来る意義深いものだから」とか「ネットワーク効果が効くので、今年度1000人に使って貰えたら後は爆発的にシェアが伸ばせる筈だから」とか言うことを理解出来ることが欠かせません。
 

仕事での自己実現を後押ししてくれる

 仕事で高い成果を出したい。それによって給料が増えれば嬉しいし、何なら一目置かれたい。同窓会で旧友に囲まれて賞賛されたいという気持ちは誰しもあるのではないかと思います。(同窓会云々は私だけかもしれませんが)しかし、高い成果を出すためには、高い目標を設定することが欠かせません。何故なら、目標直前なら少しだけ人間は体力・気力を振り絞ることが出来ますし、目標を達成すると手綱を緩めてしまうからです。

①成果を大きくしてくれる

 OKRでは難易度の高い目標を設定することを目指します。そのため、最後まで成果向上に全力で取り組むことが出来ます。OKRをチームで設定し、チームで取り組み、チームで毎週進捗を確認するため、全力を出さざるを得ません。週の最後にはウィン・セッションが設けられており、一週間の成果を賞賛し合います。

②素早い軌道修正で成果創出の可能性を高める

 OKRは原則3ヶ月毎に設定します。よくある目標管理制度では年に1回の設定が主流なのと比べると、かなり多頻度になります。2020年はコロナによって事業計画が目茶苦茶になってしまった企業も多かったと思います。目標を短スパン・多頻度で立てるように変更すると、その時々の事業環境の変化を計画に反映することが出来るようになります。

 また、事業環境自体はそれほどかわらなくても、もし今の取組のままでOKR達成が難しそうだ、となったときは毎週のチェックイン・ミーティングにおいて軌道修正が行われます。無駄な努力をやり続けるという可能性は減ります。

③生き生き働ける・組織の雰囲気が良くなる

 OKRは難易度の高い目標に挑戦することを大切にしているため、目標未達はままあります。出来なかったからといってメンバーを責めることや、必達目標ばかりを立てることは推奨していないので、組織の雰囲気も向上します。

④インシデント(割り込み業務)に対する反論になる

 重要な業務にフォーカス出来ない理由の中で、大きなウエイトを占めるのがインシデントです。インシデントは割り込み業務と言ったりします。上司や他部署の人がふとした思いつきをあなたに突然頼んでくる、アレです。17時を過ぎて「ちょっとお願い」、金曜日に「今週中でいいんだけど」という前置きでやってくる、そんな仕事です。

 インシデントが厄介なのは、重要度にかかわらず緊急度が高い状態でやってくるという点です。重要な仕事は、より緊急度の高いインシデントに邪魔され、後回しにされ、期末に我々を苦しめます。断ろうにも断りようがないというのも問題です。しかしOKRがあると、インシデントに対する強い盾になります。

 OKRは全社に公開されます。そのため、他部署の人もこちらのOKRを確認することが可能になります。そのため、OKRを理由に断ることが出来るようになるかもしれません。

さいごに

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セレクションアンドバリエーションシニアコンサルタント・中小企業診断士
山本遼