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大河内健志短編集(スマホ版)

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スマホで読む短編集をまとめています。
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記事一覧

短編小説『北国に住んでいた頃のほろ苦い想いで』

彼女がさっき言った「自由」、どういうことなのだろう。 コタツに足を深く入れて、仰向けにな…

大河内健志
3か月前
19

短編小説『私は生きている』

「エイ!」 森田必勝君の気合と共に、 「ゴツン」 頭をバッドで思いっきり殴られたような…

大河内健志
3か月前
19

私の投稿スタイルについて

2020年4月より、NOTEに投稿をはじめてから、2年余り経ちました。 現在までに340作品を投稿し…

36

短編小説『近鉄京都線 桃山御陵前駅』

妹の旦那に送ってもらって、新田辺駅から京都行の急行に乗り込む。 今日中に東京に戻らなけれ…

大河内健志
7か月前
84

短編小説『あの頃は誰もがみんな悪魔だったのか』

1945年、秋も深まった頃、進駐軍が名古屋に入ってくるという。 噂によれば、戦時中に日本軍に…

大河内健志
9か月前
31

スマホで読む文学作品  芥川龍之介『トロッコ』

小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八つの年だった。 良平は毎日村外…

大河内健志
9か月前
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『仮面の告白 第二章』第1話 輪廻転生

「エイ!」 森田必勝君の気合と共に、 「ゴツン」 頭をバッドで思いっきり殴られたような衝撃が走る。 小刀を握った手を握り直した。 まだ意識はある。 力の限り左へ引く。鼻の奥にしびれが走る。身体の中に鉛を流し込まれたように、重くだるい。段々と力が抜けてくるのが分かる。もうこれ以上、小刀を動かすことが出来ない。 「カァ・・・」 「介錯せよ」その言葉が出ない。 「浩ちゃん頼む」 遠くで、森田必勝君の泣きそうな声が聞こえる。 森田君は、私の介錯に失敗したのだった

短編小説『迷える子羊』

私たちは、現役高校生の青春パンクバンドとして、人気が出てきました。 色々なライブにも、フ…

大河内健志
10か月前
18

短編小説『無への旅立ち』

耳鳴りのするほど音のない世界。 吸い込まれるような暗闇。 身体が軽くなって宙に浮かぶ。 …

大河内健志
10か月前
26

時代小説『近江屋に潜入せよ』

齊藤一は、菊屋峯吉から十津川郷士と名乗っている三人組みは近江屋の二階にいるとの報告を受け…

大河内健志
10か月前
13

短編小説『宝石屋さんの不思議な古時計』

「キクちゃん、早よ寝なさい」 お母さんは、そう言うと階段をきしませて降りていかはりました…

大河内健志
10か月前
31

短編小説『あのメロンパンをもう一度』

焼きたてのクッキーの香りが、部屋中に漂う。 香ばしくて、鼻の奧が生クリームで満ち溢れるよ…

大河内健志
10か月前
23

AI小説『我々は人間を超えることが出来るのか』

人間は、我々の考えもつかないような効率の悪い行動をする。 人間は、行動のミスを反省するこ…

大河内健志
11か月前
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短編小説『饗宴』

めっきり人通りが少なくなった。 道行く人は、誰もが伏せ目がちに、逃げるように急ぎ足で行き交う。 何かを恐れているように、何かから逃れるように、一体何処に行こうとしているのか? 街は、色を失ってしまった。 戦禍に巻き込まれた街のように、全てがグレーの濃淡で描かれてしまうようになった。 何処かで見たことのある風景。 でも思い出せない。 確か私はこの風景を見たことがある。 この鼻の奥に埃が入ったような匂い。 でも思い出せない。 でも確かに、私は嗅いだことがある。