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なんたって源氏物語②

前回の記事はコチラから:なんたって源氏物語①

「源氏物語を通読したことがありますか?」という問いに、おずおずと手を挙げたのは、なんとわずかお二人だけ。しかもそのうちのおひとりは「『あさきゆめみし』なんですけど、、、、」。
えええ~意外!!! ふうぅ、助かった、、、という心からの安堵を顔には出さず、穏やかに言葉を続ける。「大丈夫です、全く問題ありません。『源氏物語』を全部読んでいなくても、源氏香は楽しんでいただけますから。」

その後、源氏香で体験香席を開催するたび、同じ質問をしているのですが結果は同じ。源氏物語は全部読んでいないけれど、源氏香を体験してみたい、という方がほとんどなのであります。そうか、源氏物語は読まれていない割に絶大な人気があるのか、ということは新鮮な驚きでした。
おそらく日本人の大多数が文学としての「源氏物語」に接するのは高校の古文の教科書でありましょう。「いづれの御時(おおんとき)にか、女御(にょうご)更衣(こうい)あまた侍ひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際(きわ)にはあらぬが、すぐれてときめき給うありけり。」という『桐壺』の書き出しとか、「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを とて、いと口惜し と思へり。」という『若紫』の場面を記憶している方も多いことでしょう。

原作に触れるのはほんの一端、でも玉のような容姿に類い稀なる香りを身にまとった光る君、この世のものとは思えない高貴な方への永遠の憧れ、手の届かないやんごとなき世界への崇敬などなどが一千年以上綿々と日本人のDNAに染み込んでいるのでしょうか。それによって「源氏香」=なんとなく素敵そう、というイメージを持たれるのかもしれません。恐るべし源氏物語パワー。恐るべし、紫式部。
折しも、タイムリーにNHKで「いいね!光源氏くん」というドラマが始まり、いつの時代も繰り返し蘇る「光る君信仰」を裏付ける格好となっています。

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※「香遊び雛」手作りのお人形たちが香道を楽しんでいます。後ろの棚や文台、硯箱など木製のものは全て香木で作られています。

かく言う私が源氏物語を通読したのは20ほど前になります。充電期間と称して仕事に就いていなかった時期、時間だけはたっぷりあるので「今こそ日本人として、一度は源氏を読んでおくべきではないか」と突然思い立ち、円地文子訳、谷崎潤一郎訳、瀬戸内寂聴訳を続けて一気に読んでみました。異なる現代語訳を3連続で読み比べることができたのはすなわち、それだけ魅力的な内容で飽きることがなかったということです。   

次回へ続く

【連載】香雅堂スタッフの日々和気香風
麻布香雅堂の自称番頭の「ゆう」が徒然なるままに語るお店のあれこれ―店頭や体験香席でお客様との触れ合いを通して思うこと、和の香りに包まれて仕事する喜びなどをお話ししていきます。敷居が高いと思われがちなお香の世界に親しみをもっていただけると幸いです。
【プロフィール】ゆう
香雅堂勤務8年目のスタッフ、入社とともに香道のお稽古を始める。茶道歴20年で着物好き。大学ではスペイン語を専攻し、スペイン留学歴あり。外資系金融機関で長く勤めた後、転職。三度のごはんよりソフトクリームが好き。手話も勉強中で、「仕事もプライベートも全力で」が口ぐせ。

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