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フォトグラファー・春菊が切り撮る、香りの手触り

毎月オリジナルのお香を10本お届けするサービス「OKOLIFE」。そんなOKOLIFEの連載企画「フォトグラファーが切り撮る、香りの手触り」では、さまざまな分野のクリエイターに、毎月のお香からインスパイアされた写真を自由に撮影していただいています。

今月の撮影に参加してくださったのは、関西をテーマに写真集の制作をされている春菊(しゅんぎく)さんです。5月のOKOLIFE「あやめ御前」の写真と、寄せていただいた春菊さんのテキストをお楽しみください。

「あやめ御前」は、平安時代のあるエピソードに着想を得たお香だという。
鵺(ぬえ)退治で名を上げた源頼政が、鳥羽院の女官であったあやめ御前を恋わずらった。それを知った鳥羽院は、御簾越しに並んだ十二人の女官たちの中から彼女を見破れるかどうか頼政を試した。すると、返答に窮した頼政はみごとな和歌を詠み、その出来栄えが讃えられあやめ御前を賜ったといわれる。

権力のあいだをうつろうあやめ御前の後景には、歌人(うたびと)としての天皇を冠した詩的天皇制が控えている。そして、その古層には、はるかな時空を超えて日本へとたどり着いたアジアの残り香が漂っているのではないだろうか。
早月の京都で撮られた数枚の写真にも、匂いのように失われた記憶を呼び覚ます力が宿るかもしれない。

春菊(しゅんぎく)
東京生まれ東京育ち。2019年からフリーのフォトグラファーとして、関西をテーマに写真集の制作をはじめる。
主な作品に『OSAKAN SOCIALISM』、『KOBE LOSTFUTURE』。2021年、京都に移住。作品制作と並行してクライアントワークもおこなう。
https://twitter.com/shungi9

連載:フォトグラファーが切り撮る、香りの手触り
第1回:飯野美穂(作家) / 待宵
第2回:池田さおり(フォトグラファー) / 菊枕
第3回:タカハシアキラ(フォトグラファー) / 初時雨
第4回:吉田沙織(よしだ造佛所運営) / 福禄寿
第5回:山田悠介(麻布 香雅堂 代表)/ 歳寒三友
第6回:中山由希子(io 店主)/ 春靄
第7回:Ryo Yoshiya(フォトグラファー)/ 光る君
第8回:小野田陽一(フォトグラファー)/ 海の原

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