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駐妻さんとごはん

タイ、というか海外に住む人は大きく分けると「自分の意志で来た人」と「会社や家族の都合で来た人」ではないだろうか。
働いてたりリタイアだったり、期限があったりなかったり、きっとみんな色んな事情で住んでいる。
その中の働いている人も、自営だったり会社員だったり中には不法就労の人もいるかもしれないけどまぁ色々で、「会社員」は駐在員と現地採用に分かれる。

私はといえば現地採用、いわゆる現採というやつで、タイで仕事を探して働いている人。
駐在員との違いはお給料や手当がうっすーいことと、自分の意志でタイにいて、これからもいるかどうか自分で決められること。

そして、駐在員の奥さんは駐妻と呼ばれる。
イメージが先行してあまり良く言われないということも聞くけど、twitterで見る限り良い人ばかりで、噂に出てくるような駐妻さんなんて実在するんだろうか?と思う。
Twitterでしかほぼ存在を知らないのは、基本的に関わることがないから。
実際に知り合う機会なんてほとんどない。駐妻さんは働いていない人が多いだろうし、駐在員のお子さんは日本人学校に通うことが多いし、なんだか自然に棲み分けがなされている。
日本に住んでいた時には感じたことのなかった線引きがある。

私は駐在員のちゅの字もない(言いづらい)会社で働いているので、駐在員とすら関わることがない。
だいぶローカル寄りに生きてる部類。
なんだけど、
そんな私にはじめて駐妻のともだちができた。

正確には駐妻になる人。
友達の友達で、彼女にとって「これから住まないといけないバンコクに住んでいる、初の現地の知り合い」になるべく紹介された。
未知の世界での現地の知り合いがめちゃくちゃ心強いのは身に沁みて知っているので、喜んで連絡先を交換した。

でも正直な気持ちを言うと、うっすらとした不安みたいなものも感じた。
私と友達になることが、この人にとって不利益になるのではないか、という変な心配だ。

先日、長男をコーディングスクールのイベントに連れていった時、ファランやタイ人ファミリーの中にひとりだけ日本人のお母さんが来ていた。
スタッフが気をきかせて私に紹介したその人は、もうすぐ日本に本帰国しなければいけないと哀しそうに話す駐妻で、私が現採であることを告げると驚いていた。
向こうも現採と話す機会はあまりなかったんだろうな。

子供たちが勉強している間に色々と話したけれど、彼女はしきりに私を羨ましいと言った。
ここで仕事をして、現地の学校に子供を通わせて、親子共に現地に馴染んでいることを。これからもタイにいられることを。

来たばかりの頃は右も左もわからなくて、狭い狭い世界で必死で、二年ぐらい経ってやっと余裕ができた。
思い切って子供を日本人学校からインターに転校させて、世界が広がって、やっと楽しいと思えるようになった矢先の帰任。
「ほんとに、本当に狭いんですよ。あの、日本人だらけのコンドミニアムと日本人学校と日系スーパーと、あの一角が世界の全てみたいな生活だった。」

「みんなと違うことをすると色々言われるんです。英語習わせてるとか、インターに入れてるとか。本当に、なんていうか…。もっと早く外の世界のことを知りたかった。現地の学校なんていう選択肢があることも知らなくて。でも思い切ってインターに入れて良かったです。息子も合ってたみたいで、色んな国の友達ができて。こうして英語で学ぶイベントも楽しめるようになって。」

本当は帰りたくないけれど、と言いながら彼女は日本にも少し希望を抱いていた。
今は日本の学校も変わってきているからと、せっかく身に着いた英語を無駄にはしないと言っていた。
仕事が好きだったのにタイに来る時に辞めてしまったから、また働きたいとも。
本帰国を嘆きつつもしっかりと前を向いていていいなと思った。

そして、日本人特有というか、駐在さんたちの世界の同調圧力みたいなものは、ただの噂でもないんだろうなとも感じた。
昔に比べたら随分と気楽になったと聞くけど、今も昔も私には未知の世界なのでよくわからない。
でもきっと私の想像の及ばない苦労があるんだろうなと思った。
現地採用で、給料が安いが故に現地校に子供を通わせるのが精いっぱいの私と子供たちを羨ましいと言うぐらいには。

今日は、これから駐妻になるともだちが下見も兼ねてバンコクに来ていたので一緒にごはんを食べて来た。
楽しくてあっという間の時間。
笑いながら食べるごはんは美味しい。

彼女はなんていうか、駐妻としてやっていけるのかなと私が心配してしまうかんじの人で、本人もそう言っていて、だから多分うっすら変な心配なんてする必要はないんだろうけど。

何よりも、彼女もお子さんたちもなるべく快適に過ごせるといいなと願う。
彼女だけじゃなくって、みんなもっと自由にいられたらいいのにな。
みんなそれぞれ違うのに、勝手にカテゴライズされてそこにハマってしまうのはなんだか勿体ないよね。

というようなことを考えた日でした。
人生は大変らしいけど、楽しく生きたいですね。

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