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わたしたちが毎日電話をする理由。

今日、何時に家に着く?
帰ったら電話しようね。

仕事終わり、彼からLINEがきていた。
毎回にやついてしまう。
わたしたちは毎晩、テレビ電話をする。
これはいつからの習慣だろう。

付き合って1年半がたった。
初めの頃は、月に一回会うくらいの遠距離恋愛だった。
直接会えない代わりにテレビ電話をしていた。
でもそのときは3日に1回とかだった。

きっかけはたぶん、わたしが社会人になって初めての仕事で精神的に苦しくなった頃。心配した彼が毎日スマホ越しに声をかけてくれた。

お互いが見えるようにスマホを立てかけ、夕飯を食べるなどしながら今日の出来事を話す。


彼は自分のことを話すのがあまり好きじゃない。
わたしの話をにこにこしながら聞いてくれる。
むしろ「今日はどんな日だった?お話聞かせてよ」と聞いてくる。
職場での出来事、食べたいもの、見たい映画、最近読んだ本の感想、次の休みにしたいことなど、なぜか毎日話が尽きない。

たまに彼が仕事で落ち込んだことを話してくれるときもある。
そんなときは、不謹慎だけど、頼ってもらえたと嬉しくなる。
弱っている姿を見せる、つまり信頼していると感じるから。

時には、片方は漫画を読み、片方は調べ物をするときもある。
お互い好きなことをやっている時間が好きだ。

無理に話さなくてもいい。
ただお互いの存在を感じられればいい。

意味のない言葉を発したり、突然踊ったり歌ったりすることもある。
ふざけられるのが嬉しい。
話している途中に眠くなってそのまま寝てしまうときもある。

次の日の朝、彼からのメッセージ。
「君の寝息が聞こえてきて幸せだった」
私も同じ気持ちだった。
スマホの向こうで寝息を立てていた彼が愛おしく感じ、彼に会える週末が待ち遠しい月曜日だった。

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