薄雪

ポストのダイヤルを回し溜まりに溜まった広告を選り分けていたのだが両手共々あまりにもかじかんでいてうまく進まない

少しでも良くなればと思い握りこぶしに息を吹き入れてみたのだけれどこれのせいで微妙に湿った手のひらを晒すことになり余計寒くなる
もう時間も無いしそれより何より部屋を出てほんの数秒で凍ったように動かなくなった指をこれ以上動かしたくなかった僕はダイヤルを小突き、肩で乱暴にマンションの玄関ドアを押し開ける

寒い 白い だ

単語二つで昨日の夕方から雨の降る音がしないのにもかかわらず謎に聞こえていた水を撥ねる音にも納得をした

清澄な冬の朝の空気をゆっくりかき混ぜるかのように雪が降っていた

始まりの波を立てながら

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