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先日Twitterにも投稿した内容ですが、不思議なチラシが舞い込みました。
内容は『家事代行サービスの広告』と『家事代行サービスの求人』の二枚。
どちらも同じ会社が発行・投函したようですが、もやし的にこれの何が不思議なのか。
少し深掘りしていきましょう。

1:内容の精査

まずは家事の代行業とは、要は『労働力の販売』です。
人材派遣と変わりませんし、この辺はそんなに難しくはありませんよね。
ではそれぞれのチラシの内容です。

◆家事代行サービスの広告(お客様宛)
・毎週定期的に時間単位での家事代行
・家事経験豊かな一名が担当
・2時間7000円から(1時間4500円)
・必要な道具はお客様宅のものを使用

◆家事代行サービスの求人(労働者宛)
・時間単位で働ける
・日常の家事ができること
・時給950円から

共通していることは時間単価であることくらいでしょうか。
広告側は結構抜粋したんですが、求人側はほぼそのままです。
驚きの情報格差ですね。

こうして並べてみるといろいろなことが浮き出て見えます。
たとえばクオリティに直結する技術面では、広告側の『家事経験豊か』なのに対し、求人側では『日常の家事』とかなりの開きがあります。
広告の方は言わずもがなですし、求人するにも集客と同様に来てもらわなければ始まりません。
ハードルは極限まで低いに越したことはなく、低水準の相手は採用時に選別すればいいだけなのでしょう。
また、おそらく研修を始めとした人材育成は必須なので、広告の『家事経験豊か』も噓偽りではない。
少なくとも何の説明もなくいきなり仕事を任されることはない……はず。きっと。

そして特に気になるのが報酬です。
広告には『2時間7000円(時給4500円)』で、求人では『時給950円』です。
どちらも『から』と入っているので、技術や内容によって変わるとして。
その差は何と4.5倍。差額にして3500円もの開きが存在するわけです。

2:違和感の正体は――

この情報を得るタイミングが同時でなければ、きっと「へぇ、そうなんだぁ」で終わったでしょう。
ポイントは今回の話が『できないことの代行である(専門性がある)』ところです。
つまり利用者と労働者の立場は、基本的に自由に行き来ができないことになります。

そして同時に情報を手に入れたことによる『比較ができること』が大問題でした。
何せターゲットは真逆の立場の相手です。
提示する条件も、知らせたい情報も、知らせたくない情報も、すべてが正反対。
その二つが同時に目の前に置かれれば、否応なしに比較されるのは当然です。
そうなれば露骨に空白になる『企業の取り分』が浮き上がってしまいます。

実際にこれだけ見ると――

誰でもできる仕事で暴利を貪ってる!!

なんて印象しかありませんよね。
しかし現実は得られる利益よりも経費負担の割合が大きくなります。
広告・宣伝費は馬鹿になりませんし、求人にも費用は掛かります。
人件費にしても税金・福利厚生を始めとしたもろもろが必要です。
単に時給分を差し引けばいいだけではありません。

また、特に利益は生まないけれど、絶対必要な事務系の部署の負担分も乗っかります。
ようやく利益の話ができると思ったら、今度は税金で持っていかれたり。
こうして数字を積み上げてみると、想像しているよりも会社の利益って残らないんですよね。

とはいえ、ですよ。
こんな風に並べられるとやっぱり比較してしまいますよね。
そして問題なのは、比較によって出てくる数字が大きく感じてしまうところにあります。

利用者側からすれば『時給950円の仕事に4500円も支払うのか』と感じます。
労働者側からすれば『4500円も請求するのに貰えるのは950円って』とがっかりすること受け合いです。
まさに正反対の意見で、どちらに転んでも心証はよくありません。

このように、もやしを含むほとんどの人が、額面だけ見て『こんなに違うの?』と感じるでしょう。
むしろ内訳をすぐに想像できるようなフリーランスや経営者はごく少数だと思います。
さらに言えば、この状況を両者が知っていれば『時給2500円で直接頼めばいい』なんてことにもなりかねません。
まぁ、間に立つ会社は、問題が起きた際の保険も兼ねているので、行動する前によく考えた方がいいでしょうけれどね。

3:まとめ

今回の反省点としては『正反対の属性の人に、同時にマーケティングしない』ということでしょうか。

ここまでの話で分かるのは『相手によって渡す情報は選ばないといけない』ということです。
相手の立場や状況によって、与える情報が不利に働く可能性は大いにあります。
内部事情を知らない第三者であればなおさらで、いらぬ疑惑を発生させかねません。

なんて偉そうなことを言うもやし自身も初心者です。
もやしの話に価値を感じてくれる人がどんな人なのかさっぱりです。
むしろマイナスイメージばかりを積み上げている可能性さえありますからね。
発信者となって改めて伝える難しさに直面しています。

いやぁ、それにしても。
日常には必要のない情報に溢れていて、当たり前だと思っている『人が喜ぶこと』って本当に難しいと痛感させられます。
もやしも早く人に求められるものを提示できるようになりたいですねぇ。


あと、今回の話には全く関係ないけれど広告側の『必要な道具はお客様宅のものを使用』が少し気になりました。
労働者側からすると身一つで行けるので、とてもありがたい一文ですが、よくよく考えると『道具一式揃えて待っててね』って結構すごいですよね。
しかも『家事しない人の家にある道具って使えるのかな?』ってちょっと疑問に。

たとえば外食メインの家主の包丁が『怖いくらいに切れるぜ!』とはならないよね。
最悪、かびてた、錆びてたとか普通にありそうだし、まさか道具の復旧からスタートとかあるのかな?
でもそんな家にメンテ用の道具があるとは思えませんよね。
となればその日はもう諦めて家主に『次回までに用意しとけよ』ってなるのかな?
何の要望も叶えられずに終了した上に、家主に宿題を残して帰る家事代行サービスとか面白いな。
見てる分には、だけどね。

#もやしいため #日常エッセイ #不思議 #チラシ #相対性


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