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年が暮れていく様子を傍目で感じながら,自分の作品を振り返っていると,3月に発表した「VIRUS」が凄い形相をしていた

年の瀬だし、自分の作品を聴き返している。この時期になってくるとストリーミング各社がまとめを出したり、年間の活動をまとめあげるようなレジュメがでたりする。年が暮れていく様子を傍目で感じながら無意識的に自分もいろんなものを整理していく思考に変わっていっている。

ライブもひと段落し、年末年始のゆったりとしたインプットの時間のために今は脳内を空っぽにしていく作業に入っている。忘年会と銘打って即席の飲み会を実施すると、意外にも今年の思い出は溢れてくる。

実際、自分の2020年の作品を発表順に聞いてみることにした。どの曲も様々な想いが思い返されるが、3月に発表したVIRUSが凄い形相をしていた。本作は忌野清志郎の「ウイルス」をオマージュした作品で、当時の閉塞感を叙事詩的に歌った作品なのだが、今じゃ書けないほどの異常な空気感をしている。

今思い返せば、異常だったと思う。何を言っても自分に帰ってくる言語空間と、何かアクションを起こさなければいけない、何か啓蒙しなくてはいけないという無自覚的な居心地の悪さとバツの悪さ。正解が何かわからないまま、何もできず留まることしかできない暗闇。

何かを発言することすらも息苦しくなっていたし、達観しているつもりでも他の人の意見に飲み込まれてしまいそうなあの全体主義的なムード、自分を肯定するコンテンツが周りにない状態は異常だったと思う。

この閉塞感を言葉にすれば誰かが受け取ってくれるのではないかと、当時の僕の救いはそれしかなかったように思える。当時、忌野清志郎の「ウイルス」を聞いたとき、救われたと思った。残虐で苦しい歌なんだけれども、この状況に、もがき苦しみ、歌う人がいるということ自体に救われた。解決策はないけれど、人はどんどん低迷していくけれど、閉塞感だけは共有できた。絶望を共有することで生まれる希望もあるのだなと。


歌詞

Baby この重く気怠い世界 I Know
Baby 冷めてく心臓の鼓動 I Know

未だ謎と矛盾に満ちてる
あのコメンテーター
錯乱するデジタル砂漠
散布する不安感

I’ve been a romantic for so long
夢見たいな現実は今すぐにOUT
I dare you
 
I know
夢見たいな熱が高まり駆け巡る
I know
せいかつの中で朽ち果てても彷徨うの
I dare you

素晴らしき世界
潜在的に脅威に感じる
荒廃する都市
How dare you

未だ謎と矛盾に満ちてる
あのコメンテーター
錯乱するデジタル砂漠
散布する不安感

これからどうなるかはまだ判明はしないまんまだ
ぼくはここに留まることしかできないようだ一晩中
でも進む受け入れろ
この脅威に対抗する術はおそらく僕自身なのだから

I know
夢見たいな熱が高まり駆け巡る
I know
せいかつの中で朽ち果てても彷徨うの


これからどうなるかはまだ判明はしないまんまだ
ぼくはここに留まることしかできないようだ一晩中
これからどうなるかはまだ判明はしないまんまだ
ぼくはここに留まることしかないあれもこれもないな

あれもこれもないな
潜勢的な大いなる力を
留める壁はここにはないな

でも踏み留まるのだ
夜の深い輝きを急速に失って
空が灰色になったとしても


制作について

忌野清志郎の「ウイルス」の他にもインスピレーションを受けた作品があるので、ここで紹介しながら、作曲方法についても言及したい。

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