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ユビーでのユーザーセグメント分析と組織への浸透

こんにちは。ユビーでデータ分析をリードしているおきゆき (@okiyuki99) です。最近はユビープラットフォームのグロースのための定量データ分析を行っています。定量データだけでなく、ユーザーインタビューにも参加して、定性×定量でインサイトを抽出することも行っています。

以前の記事でアナリティクスエンジニアからデータアナリストに戻ってきてどんなことやってるの?について紹介しました。

  • MAU 1000万人を超えるユビーのデータアセットとそれらの活用の複雑度が上昇し、データからの判断・影響力が増している

  • ユーザーをセグメントに分けることでユーザーのN=1の解像度をあげ、セグメントごとに施策を紐づける分析が必要に

  • 複数サービス間のコンフリクトを可視化し、全体最適がより重要に

この記事ではその中でもユビーのユーザーセグメントについて行った分析やそれの組織への浸透の取り組みについて詳しく紹介できればと思います。


セグメントを切るとは?

みなさんユーザーセグメントを切ってますか?そもそもなんでユーザーセグメントを切る必要があるかについてまず考えたいと思います。

前提として自分自身は西口一希氏の「顧客起点の経営」の考え方に影響をうけています。ユビーの場合は、ユーザーセグメントを切ることでどのような患者に(WHO)ユビープラットフォーム上にあるどのサービス(WHAT)を提供するかを明確にし、結果的にROIが最大化されると考えています。そしてこのWHOは不特定多数なユーザー(MAU1000万)と個人(N=1)の間に最適なものがあると考えています。

以下の図は、上記10-20%の顧客(ユーザー)から商品の売上の80%が構成され、そしてそれに必要なインベスト(費用・労力)も最小化されていることを示しています(この図が大好きです)。エンゲージメントの高い行動をすでにしているユーザーの方が獲得コストも低く、CVRが高いことはよくある話と思います。

顧客起点で経営とマーケティングを革新する「顧客ピラミッド」の使い方: https://markezine.jp/article/detail/33400

このように常にどのユーザーセグメントにサービスを提供するかを考え続けないとROIは最大化されません。とくに、ユビーの場合は発症から受診、診断から治療のような、ユーザーの一連の医療体験の流れを構築しています。患者ごとに疾患のステージ・症状の有無で適した医療体験は変わってきます。ユビーのミッションである「テクノロジーで人々に適切な医療に案内する」においても必要不可欠な概念と考えています。

セグメント設計において大事にしていること

ユーザーセグメントを切る上で、自分自身が大事にしている設計方針について続いて説明します。

無いよりはマシくらいの大胆さで始める

シンプルな顧客セグメント戦略を使って成果を出すための方法にも「セグメントはシンプルに」と書かれています。自分も完全に同感で、分析やあれやこれやと議論しているうちにセグメントはどんどん複雑化しがちです。結果、使いにくい・覚えにくい・運用が困難となります。

まず一歩目としては無いよりはマシくらいの気持ちで始めるのが良いと思っています。ある施策での全体的な平均値を見ることから、ある軸で切ってみるを繰り返すことで、自然とセグメント思考が身についていくと考えています。その過程で共通項が見えてくることも多いです。

変更を受け入れ、定義に固執し過ぎない

一度セグメントを決めたから変えないというスタンスを取らず、サービスの変化・深化に合わせて、セグメントも変化・深化していくという気持ちで始めています。一度決めると変えたくないと思う場面も正直多いです。しかし慣性に引っ張られず、様々なケースで使い倒し、継続的に更新することを前提に設計しておくことが必要です。また、セグメント定義を再集計・再分析しやすい中間データマートを事前に整備しておくのも効果的です。

オーナーシップを持ち、全員が信頼できるものを目指す

最終的にはいかに納得できるか?自分たちの気持ちを反映できているか?といった気持ちの面が重要になります。セグメントごとに数値を見ていくとこれで合っているのかなと不安になることも最初は多いです。しかしながら、セグメントに意味・思いを乗せ、自分たちが信じきれるようなものに更新してくことが必要です。そのためにも、各セグメントのボリュームやそれぞれの特性、またビジネス上重要となるKPIとの相関などを多面的に分析していくことが必要です。

セグメントの切り方

大きく今のユビーには2つのセグメントの切り方を組み合わせて、分析を行っています。

ユーザー行動ベースでのセグメント

今月利用者・過去利用者も含め、ユビープラットフォーム上での行動量の多さに着目します。それをもとにユビーへのエンゲージメントの高さとして近似的に定量化したセグメントです。

  • ユビープラットフォームへの訪問利用有無・頻度・間隔・時間など

  • ユビープラットフォーム上の機能/サービスの利用有無・回数など

  • メイン利用チャネル・媒体など

エンゲージメントを表現するために、サービスから発生するログをベースに定義することができます。セグメント設計において大事にしてることを考慮した上で、エンゲージメントの軸を検討・決定し、閾値を調整します。とくにエンゲージメントを評価する軸は無数に存在するため、こっちのほうが適しているのでは?といった議論は発生します。妥当性はあとから変わりうる前提で、関係者で方向性をすり合わせたら大胆に一度決めることがここでは大事と感じています。

2024年7~8月ごろに試行錯誤していたユーザーセグメント分析Notion上もボツ案が並ぶ

ユーザーのペイシェントジャーニー上での疾患ステージに基づくセグメント

ユビーでは、発症から受診、診断から治療のような、ユーザーの一連の医療体験の流れを「ペイシェントジャーニー」と呼んでいます。

あるユーザーが今のどの疾患に罹患して、どのようなステージにいるのかといった軸で切るセグメントです。ユビーのミッションである「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」から考えると、このセグメントはジャーニーを直接表現し適切な医療に案内できているか?を直接評価・計測するセグメントの切り方です。ユビーでは社内に複数の医師が在籍していますので、医学的にも妥当なセグメントを切れるように連携して進めています。

複雑な疾患ジャーニーを捉えるために、ユビーでは独自のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)データをつくる・ためる・つかえる開発をしています。これらのデータを用いることで、よりユーザーを分析・理解することが可能になってきました。ご興味があれば以下の記事もご参照ください。

セグメントの組織への浸透とアップデート

冒頭に話したとおり「不特定多数(MAU1000万)」と「個人(N=1)」の間の最適なものがセグメントになります。それが実際のプロダクト開発で見る日々の数値との親和性や事業戦略とマッチしていないと容易に形骸化していきます。私自身も過去そういったケースを複数見てきたので、正確なセグメントを作るよりも、組織へ浸透させることがより重要で難しいと思っています。

組織への浸透のために行ったこととしては、①トップダウンからの推進と②ボトムアップ的に日々の運用での利活用のしやすさの両面から浸透施策を進めました。

トップダウンからの推進

具体的に行ったこととしては、ユビーのプロダクト開発を担う組織リードのメンバーと連携し、四半期に一度のオフサイトでのワークショップ開催とユーザーセグメントと紐づけたOKRの策定です。

オフサイトでは実際に現在ユビー上で重要となるセグメントについて定量での示唆や定性インタビューの結果を交えて紹介しました。そういった方にどういうサービス(WHAT)を提供することができるのかといったお題目でワークショップを行いました。また、全社で定めるOKRの一つのOのなかに「セグメントAであるxxx人のKPIをN倍にする」といった目標も掲げられ、複数のプロダクトチームと連携して進めることになりました。

現在は、ユビーの事業計画における数値もユーザーセグメント別の数値・総和が使われるように進んでいます。ユーザーセグメントの数値が、事業計画に直結した定義になっています。

組織全体に浸透するためにはセグメント戦略の重要性をプロダクト全体をリードするメンバーとデータ分析者が適切に連携し、早く・深く浸透を進めるのが大事だと改めて自分自身も学べました。

ボトムアップからの推進

OKRにセグメントが紐づけられたことで、各チームもセグメントごとの数値を日々意識して開発に取り組めるようになりました。しかし、日々の施策分析でセグメントごとによる分析結果が容易に見れるデータ分析環境の構築が必要になります。

ユビーではLightdashというBIツールを導入しており、その導入によってデータ分析者以外の多くのメンバーがGUIから分析できる環境を整えており、それの一つの軸としてユーザーセグメントも提供しています。Lightdash導入事例や効果については以下をご参考にしてください。

また、日々の施策分析の結果がセグメントの意味するところと期待どおりであることも重要です。極端なケースでいうと、ある施策ではロイヤリティが高いとされているセグメントのほうがCVR(コンバージョン・レート)が小さいといったことが起こってしまうと、そのチームにとってセグメントの解釈が難しくなります。そういったときに、原因を深堀りアップデートを重ねることでより洗練されたセグメントに深化していきます。一つの施策に振り回されすぎないことも大事ですが、どのチームから見ても信じられるようにセグメントに再アップデートし、継続的に信頼できるものが得られる状態を作ることが必要です。今まさに私もそこにチャレンジしています。

日々の分析でセグメントを切ることが各メンバーに徐々に浸透してきていると感じています。その中で、セグメントの更新の必要性や課題もさらに浮き彫りになり、アップデートが現在進行中です。すでに初回定義した2024年7月ごろから複数回バージョンアップしています。これも壊しやすさ・固執し過ぎない方針や、中間データマートも同時に設計・整備していたので、セグメント集計の負荷も少なく運用できています。アナリティクスエンジニアをこれまでやっていた経験も生きています。

セグメント戦略やユビーのデータ分析を支えるポジションを積極採用中です!

ユビーで進めているユーザーセグメント分析の設計方針・実運用を踏まえたアップデートおよび組織への浸透施策も含めて紹介しました。ユーザーセグメント分析のように、ユビーではユビープラットフォーム全体を俯瞰し横断的なデータ分析をするメンバーを積極的に募集しています。プロダクトを中心としたデータ分析だけでなく、疾患や症状のヘルスケアデータ分析にフォーカスした職種としてヘルスケアデータアナリストも積極的に募集しています。ご興味があればいつでもXのDMからご連絡お待ちしています!


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