ごねるべし

ふと考える、自分にはどの程度価値があるだろうか?
今、自分が消えたら泣いてくれる人はどの程度いるだろうか?
誰だって、飯を食べてクソをひる為に生きているのではない
しかし、日常、自分の価値を客観的に見るのは容易ではない。

それが切実なのは家庭で家事を取り仕切っている奥さんだろう。
外での仕事と違って家事をしても収入はない。
自分がどの程度、家族に貢献しているのか?
自分は必要とされているのか?
子供が小さければ、ママにべったりだから使命感も感じるが、
ある程度大きくなって手がかからなくなると、それも感じづらい。

私は家族に必要とされているのか?
都合のいい無料のお手伝いさんになっているのではないか?
こんな具合になると、気が滅入ってしまう。

そんな場合にはごねるに限る。
敢えて具合が悪いと言って家事を放棄して寝ておくのだ。
旦那が帰ってくる、あなたが寝ている。
最初は
「なに寝てるんだよ、こちとら疲れて
帰ってきているのに飯は?風呂は?」と
無神経な事を聞くだろう。

ここで怒ってはいけない。
どこまでも元気なさそうにすまなさそうに
「ごめん、具合が悪くて家事が出来ない」と言いなさい。

旦那は憮然として自分で風呂を沸かして風呂に入り
インスタント食品を食べる。初日はこれでいい。

翌朝、やはりあなたは起きてこないフリをする。
ここで、普通の旦那なら心配になる。
普段ならイライラして当たり散らすあの旦那が

「具合、まだ悪いのか病院行くか?」

なんて、付き合っていた頃の優しい彼に戻る。
もっと鈍感な旦那でも、二日目帰ってきて
あなたが、初日同様に寝ていたら、
もう、落ち着かなくなっているハズだ。

この時、旦那の心の中では
あなたは唯一無二のかけがえのない存在になっている。
深刻な病気なんだろうか?
どうして気づいてあげられなかったのか?

それまでの家事は妻がやって当たり前だという傲慢さが消え
いままでの日々がかけがえのないものだったと気づく
ここから先も、当たり前に続くと思っていた日々が
ある日、突然に終わるものだと実感できるのだ。

そこで、あなたは深刻な顔をして
今日病院に行って来たんだけど・・と切り出す
旦那はこの世の終りのような顔をしているだろう。

そして一呼吸置いて

「ただ疲れが溜まっていただけみたい」

あなたが慈悲深いタイプなら、それで許してあげよう。
旦那の顔に安堵の色が見え、しばらくはあなたに
うんと優しく接する筈だ。

それは、素っ気ない態度に慣れたあなたにとって
気恥ずかしかったり、鬱陶しかったりするかも知れないが
これこそ、お金では買えない、旦那があなたに感じている
あなたの本当の価値である。




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