支援事例「廃業危機の事業を存続させたい」
令和 3 年 4 月 11 日 沖縄タイムス経済面掲載
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◆ 企業名 Y社
◆ 業 種 調剤薬局
◆ 所在地 本島南部
◆ 資本金 非公表
◆ 創 業 非公表
◆ 従業員 非公表
【相談】
高齢のため、30年以上営んできた事業を退く気持ちが強くなってきたが、地域の利用者も多いため廃業はできるだけ避けたい。事業を存続させるための方法を教えてほしい。
【回答】
相談者は長年、地域に根ざしたサービスを心がけ、信頼を積み重ねてきた専門サービス業を営む。営業する地域は商業地区の近くで利便性が高く、近年開発が進んでいるためさらなる発展が期待される地域である。
また、地元の利用者が多く顧客の信頼も厚い。さらに地域との関わりも強いため、どうにか事業は存続させたいと考えてきた。しかし後継者が決まっていないことが最大の課題であった。
Y社の事業は国家資格を必要とするが、後継者候補として念頭にあった親族の従業員はその資格をまだ保有しておらず、今のままでは引き継ぐことが難しい状況にあった。
一方、廃業してしまえば、顧客や取引先に迷惑をかけることになる。代表者である相談者は親族承継よりもしっかりと事業を引き継いでいくことを最優先としたいと考えた。しかし、会社は債務を抱えており、この状況で第三者への承継は不可能なのではないかとも思っていた。
相談を受けて財務状況を見てみると、確かに借入金はあるものの、資産状況は悪くなかった。さらに会社が好立地にあることに加えて地域での信頼性もあるので、M&A(第三者承継)による事業承継を本格的に考えてはどうかという提案を行った。
そして事業承継を前提とした情報収集を進め、財務状態の把握と事業価値(強み)の評価を進めながら、事業引継ぎ支援センターなど他の支援機関への相談も提案していった。
相談者は支援機関や金融機関の連携によるサポートを受けながら、納得できる解決策を模索していった。その結果、代表者がこれまで営んできた事業への「思い」も含めて承継したいという企業が見つかり、無事M&A契約が成立する運びとなった。
借入金や経営課題を抱えているために自社の価値を過小評価し、廃業という選択肢を採ってしまう前に、専門機関に相談することで新たな選択肢への可能性が開けることもある。
(県よろず支援拠点コーディネーター・遠山康英)
詳しくはコチラ >> https://yorozu.ti-da.net/e11894360.html
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