支援事例「コロナで低迷 建物も老朽化」
問題整理し解決へ行動
◆ 企業名 非公開
◆ 業 種 宿泊業
◆ 所在地 沖縄本島
◆ 資本金 非公開
◆ 創 業 非公開
◆ 従業員 非公開
【相談】
コロナ禍後も宿泊施設の売り上げは上がらない。経営課題に加えて建物の老朽化などの問題が起こり、目の前の問題の対応に追われる毎日が続いている。何をどうしていいか、相談に乗ってもらいたい。
【回答】
相談者は沖縄本島で特色ある宿を運営しており、経営は順調であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売り上げが減少し、借り入れでしのいできた。コロナ後も客足は戻らず、借金返済も含め経営は厳しい局面が続いてきた。宿の運営以外にもさまざまな問題が重なり、相談者本人が精神的にも参っていたので、知人からよろず支援拠点に相談するように促されて去年11月に相談に訪れた。
お話をうかがって分かったことは、宿兼住居として契約している物件は老朽化などの問題もあり、貸主側から4カ月後に退去するよう求められていた。金融機関等からの借入総額は1200万円、手元資金は60万円しかないとのこと。返済するための事業収益はない。金融機関や不動産業者にも相談はしていないとのこと。相談しなければ協力してもらうこともできないし、解決に向けて動き始めなければ状況を変えることができない。
相談者の漠然とした不安を払拭するため、問題を具体的に整理して今後のシミュレーションを一緒に実施してみた。最終的に個人破産も含め、どうなっていくのかを具体的に認識していただくことができた。今後を予測することで、今何をするべきかが分かることが多い。
相談者は複数回の相談を通して事業を再建する意思を固め、翌月には金融機関、不動産事業者との協議を始めた。結果、理解と協力が得られ、建物からの退去は7カ月間延長され、その間は事業と住居も継続することができた。同時に家族との生活を守るために弁護士を通した私的整理にも着手した。個人事業主の多くが事業と生活が密接に重なっている。
2024年10月末、約10年間続けていた宿は閉鎖した。新たに家族の事情に沿った住居も見つける事ができた。残念ながら宿泊事業は一時休業を選択。アルバイトなどで生計を立てつつ、事業再開に向け、一つずつ課題を解決することに取り組んでいる。
相談者からは「家族と一緒に努力できるだけでありがたい」と前向きの言葉を頂いた。
(県よろず支援拠点コーディネーター・赤嶺輝昌)
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