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No.881 世代を統べる時代のかじ取り

1991年(平成3年)にカナダ人のダグラス・クープランドが書いた小説『ジェネレーションX~加速された文化のための物語たち』(1995年、角川文庫)が、名称の由来となったという、アルファベットが付けられたその最初の世代が「X世代」だそうです。
X世代 1965年頃~1980年頃(個人主義的でとらえどころがない世代)
Y世代 1981年頃~1994年頃(ミレニアル世代=2000年以降に成人)
Z世代 1995年頃〜2010年頃(真のデジタルネイティブ世代)
α世代 2010年頃~
 
では、日本ではどんな世代の呼ばれ方をしたのでしょう?
「新人類」とは、1980年代(昭和55年以降)に経済学者・評論家の栗本慎一郎(1941年~)氏の造語になるものだそうですが、その前後の世代は、何と呼ばれるのでしょう?ネットの記事によれば、さまざまな呼び方が知られます。概略、次のような世代名が知られました。
団塊世代     1947年頃~1949年頃
断層世代     1950年頃~1960年頃(しらけ世代)
新人類世代    1961年頃~1970年頃(バブル世代)
団塊ジュニア世代 1971年頃~1978年頃(氷河期世代)
バブル後世代   1979年頃~1983年頃(氷河期世代)
少子化世代    1984年頃~1988年頃(プレッシャー世代、新人類ジュニア世代)
ゆとり世代    1987年頃~2004年頃(さとり世代?)
つくし世代    1992年以降に小学校に入学した世代で、「尽くし世代」
 
この説に拠れば、1953年(昭和28年)生まれの私などは、団塊の次の「断層世代」だそうです。団塊世代で活発だった学生運動が沈静化し、しらけたムードの漂う時代に位置するという評論家の認識なのでしょうか。確かに、学生運動は下火になり、ノンセクト主義・ノンポリティカルな学生が少なくありませんでした。純粋に学問できることを喜べる時代でした。でも、逆にいえば、自由さが過ぎて自分を見失いかねない世代でもありました。
 
さて、連合艦隊司令長官(海軍大将)だった山本五十六元帥(1884年~1943年)は、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」
という言葉を残していますが、それに続く言葉があるのだそうです。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
がそれです。信用よりも信頼に到らなければ人は成らないもののようです。
 
1991年(平成3年)年の「サラリーマン川柳」(新人類編)の中に、
「宴会で 上座に陣取る 新人類」
「肩書で おさえきれない 新人類」
「オンとオフ 切り替え上手な 新人類」
「酒無しで 歌えるカラオケ 新人類」
「やってみせ ほめても動かぬ 新人類」
等々、新世代の扱いに手をこまねいたり、恐れ入ったりしている上司同僚の思いが川柳に刻まれていました。山本元帥に言わせれば、「それこそ外面ではなく、内面の信頼を交わす努力をなさい。」という事でしょうか。
 
しかし、今や新人類と騒がれたのも30年以上前のことです。先行きが見えにくいAI社会の過渡期から成長期にあって、世界を震撼させたコロナによる世界的なダメージにより、多くの人々が抱えきれない不安と焦燥の中で生活しています。
 
歴史が経験したことのない時代や社会構造や情勢が、大きなうねりとなって世界中の人々をのみ込もうとしています。上に立つ者のかじ取りの手腕が問われるのは言うまでもありません。しかし、世代を一つにまとめて統(す)べる「オール・オーバー・ザ・ワールド」の将来を見据えた、視野の広い、人間の尊厳と命を重んじ、愛と勇気のあるトップであれと心から祈っています。地球の将来を尊び、守り、伝えるトップであれと願います。


※画像は、クリエイター・イカノヒモノさんの、タイトル「楽しく生きる方法」の1葉をかたじけなくしました。「世界平和」を意味する画像でもあるようです。お礼申し上げます。